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召喚魔法の謎!

 扉のノブに手をかけようとした瞬間、リコが開けるより早く扉が開く。そこには保健室の先生が立っていた。


「おや、先ほどの生徒ではないか。司書、呼びましたか?」


「やっと来たわい。めえ、そこの野狐の娘に召喚術のことを教えてやってくれんか。」


「ほう、お前は確かリコだったな。召喚術を使えるとうわさに聞いてはいるが、何かあったのか?」


「え、えっと……その……」

 

 リコはめえと呼ばれた教師の圧に気圧されていた。

 

「はいっ!召喚術は紋章を書くだけでは発動できないのですか?」


 レンはしどろもどろになっているリコの助けになろうと割って入り、質問をした。めえは関係のなさそうなレンの行動に少し眉を上げ驚いたような顔をしたが、少し笑みを浮かべ口を開いた。


「そう、不可能だ。仮にお前が紋章をいくら描いても契約していないから無理だ。」


「そっか……じゃあ、契約出来たら使えるのですか?」


「お前は契約すらできない。補助魔法【召喚】は呼ぶ魔法というより契約の魔法だからな。そういえば『たま』は魂に紋章を組み込んで、精霊との契約を結ぶと言っていたな。それはリコ、お前のほうが詳しいはずだ。」

 

 リコはそう言われ、うなずいた。生得魔法のことは基本的には使い手本人の方が詳しい。似たような魔法はあれ、使い勝手や発動条件は個人によるものが多く、全く同じ条件で発動できるヒトは存在しない。

 しかし、それを可能にするのが紋章による魔法の発動であれば話が変わる。紋章と詠唱を組み合わせることでそのヒトの魔法を完全再現ができる。

 欠点としては詠唱が長くなりがちであり、紋章を正確に描く手間があるのですぐに発動できないのが大きな欠点である。難しい魔法や強力な魔法になればなるほど難易度は跳ね上がる。リコの【召喚】はこの世界に二人しか使い手がいないこともあり、決まった紋章が存在せず、詳しい条件など不明である。

 リコは自分の知っている範囲でめえに【召喚】についてを話す。

 

「私の【召喚】には精霊と会話する力があって、そのおかげで精霊と契約できます。そしてその力と紋章は魂と強く結びついていると……。」


「魔法は魂との強い繋がりでそれは元素・事象・付与・補助どれも同じだ。その中で【召喚】はとても特殊というわけだ。この国最高の魔法技術士が挑戦しても補助魔法の魔道具化は叶えられなかった。まだまだ端くれのお前たちが挑戦できるものじゃない。」


 めえは少し厳しい物言いではあったが、彼女の表情を見ると少し期待をしているような表情であった。

 

「わかりました。もう少し……考えてみます。」


「いい報告を期待している。それでは私は失礼するよ。」

 

 めえは立ち上がると思い出したようにレンに訊ねる。


「先程の件だが、お前たちは無抵抗だったという証人が多かったが、それは本当だろうな?」


「は、恥ずかしながら、抵抗すらできなかったです……。」


「いや、恥じることはない。お前はあの時怪我を負っていた状態であろう。お前には何も罪はない事が確認できた。この件は我々に任せてもらえばいい。」


 そう言うと、めえは司書に一礼をして出て行った。扉が閉まる寸前でめえが振り返る。


「忘れていた。異種族のパートナーは魔法に変化が起きやすい。気を付けることだな。」


 そういうと扉は締まり、足音が遠のいていった。めえの言ったことがレンは理解できず首を傾げた。一方リコはうつむいて恥ずかしそうな感じであった。すると司書が本を持ってきた。


 「めえの言葉の意味は、パートナーがおると魔法は変わったものに変質するのじゃ。」


 その本には生態魔法学と書いてあり、各種族の特徴等が書いてあった。そしてリコの種族である野狐族のページが開かれた。


「妖狐は神族に分類されるが、もともと野狐族から枝分かれした者じゃ。ゆえに近くも遠くもある。」


「保健室の先生が言っていた変化というのは一体どういうことなのですか?」


「た、例えば……例えばですよ?私とレン君が、その……ぱ、パートナーになったら本来持っていた魔法の勝手が変わることがあるみたいなのです。」


「その中でも特に野狐族は変質しやすいということじゃ。」


「……ほぁ?」


 レンはいったい何のことかわからず力の抜けた返事をしながら首を傾げた。

 リコはレンにわかるように身振り手振りで説明しようとする。そんな彼女がかわいくてついついレンは見入ってしまう。

 

「野狐族はもともと魔力や強力な魔法を持って生まれやすい種族で……あ、ここに書いてありますね。」

 

リコが本の解説の部分に指をさしたのでレンは本を持って見てみた。


「野狐族は生まれつき高い魔力、強力な魔法を持っている個体が多い。特にメスはそれが顕著に表れる。また、他の魔法との親和性が高く影響を受けやすい……?」


「そういうことです。なので、パートナーを持つと【召喚】が何かしら影響を受けるってことです。」


「でも、俺は魔法が発現してないから影響がないんじゃ?」


 地雷を踏んだような気がしてリコが慌ててフォローを入れようとすると司書が調査隊の写真を持ってきた。そして先ほどの女王ではない方の女性の妖狐と、カンガルーの男性獣人に指をさした。


「調査隊のころ、この2匹はパートナーになったのじゃ。」


「王族と一般人が!?」


 リコは思わず身を乗り出してずいっと司書に迫る。司書が咳払いをすると、リコは慌てて戻る。

 

「この娘はちょっと事情があっての…それより妖狐は【召喚】、こっちの男は【守護】の魔法の使い手じゃ。」

 

「この二人がパートナーとなって、しばらくすると妖狐の【召喚】が変質して【守霊】という魔法になったのじゃ。【召喚】の基本部分は存在しておって、【守護】よって護りに特化した魔法になった。今までにもパートナーの術が混ざる事例があっての、その確率が高いのがどちらかが補助魔法の使い手なのじゃ。」


 その話を聞いていたレンがふと気になることを聞いた。


「この補助魔法の変質って補助魔法同士だとどうなるのですか?」


「さすがにわからんの。変質は必ずしも起きるわけではないからの。」


「そうかぁ」

 

 と言い、あんまりよく理解できていなかったのか気の抜けたような返事になってしまった。

いつもありがとうございます!

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