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王様は結構強引だった!

 三人が飛んだ先は一軒の石造りの店である。

 「営業中」と書かれた看板を掲げており、町から外れた辺鄙な場所に構えているので客は入ってきていないようだった。

 中に入ろうとすると、二人の従業員が出てくる。


「あ、やはり王様と女王様ですね。アスラン様も!お久しぶりでございます。あれから見た目が変わっていますが、リコです。」


「こんにちは!今日は揃って来られたのですね!アスランさん、お久しぶりです!レンです。」


「あれから、お前たちはこれほどまで成長したのか……!今の私では手も足も出ないかもしれんな!」


「おい少年。」


 そう呼ばれてレンはヴォルフの方へと体を向ける。作務衣を着て、前掛けと額あて、ゴーグルも籠手もしっかりフル装備で仕事をしている状態を見てヴォルフは頷く。


「訳あって、この獅子のおっさんの魔剣が壊れたんだ。新しい武器を作ってやってくれねえか?」


「え!?ポチおさんではなく、オレにですか!?」


「理由はの、お前の技術をあすらんがぜひ見てみたいというのじゃ。」


「え……私は適当な剣でもよかったと言ったので――」


 アスランは市販品でもいいと言おうと思ったのだがヴォルフとふくに遮られてしまう。

 結局、ヴォルフとふくはレンの技術がどれほどのものなのか見てみたいのである。

 

「な?おっさんがこう言っているんだから頼む!」


 ヴォルフが懇願すると、レンとリコは何かを察して目を合わせて頷く。


「わかりました。オレはちょっと設備の運転をするから、リコさんはアスランさんの要望を聞いておいてくれるかな?」


「はい、ではアスラン様。今日はどのような魔道具をおつくりになられますか?」


 いきなり営業モードになった二人に感心していると、リコから名前を呼ばれる。それに気づき、どのような剣にしようか考え込む。


「一応、当店では刀剣も作ることができますし、『いぬの工房』様程ではないかもしれませんが、魔道具型もできますよ?」


「そ、そうなのか……中々しっかりしているのだな。」


「商売ですから。」


 相変わらずリコの淡々としゃべる癖は学生の時から変わっておらず、アスランは懐かしんでいた。

 その光景を見て王と女王の二人はニコニコと見ていた。


「それじゃあ、魔道具型にしてもらおうかな。形はショートブレード二振りでお願いするよ。」


「魔道具型なので魔法の自由度が高いのですが入れたい魔法はありますか?こちらがサクラさんが作ってくれたカテゴリ別のおすすめ組み合わせです。以前お聞きしたときは付与術の使い手とおっしゃっていたと思うので、相性のいい事象魔法カテゴリの中から選ぶといいですよ。」


 リコから魔法の相性の紙を受け取る。アスランの魔法はリコの言う通り付与魔法のカテゴリである【鋭化】の魔法を持っている。これはどんな刃こぼれしている武具やこん棒のような鈍器に使うと鋭くなる魔法である。刃こぼれしていればそれを無視して元の切れ味で斬りつけたり、鈍器のようなものには角材で殴ったように角ができるという効果がある。

 なのでアスランはその辺の剣が壊れない限り刃こぼれしようが血や脂で斬れない状態であろうと斬ることができるので、本当に市販品でいいのだった。

 しかし、アスランにとってレンとリコ、サクラは彼らが学生時代から知っていることもあり、作ってもらうことにした。

 紙を読み進めていくと、気になる魔法が書いてあった。それは【重撃】だった。


「なあ、この【重撃】というのは何なのだ?」


「それはですね、魔法の紋章を多重に増やす効果があります。単体では効果がないので、この魔法を練りこませていただく形になります。たとえば【斬撃】に【重撃】を練りこませると効果が重複して、近衛師団長のカレン様のように多重斬撃が可能になります。あそこまで一撃一撃を操ることはできませんが……。注意点としては魔力消費が莫大ですので、魔石をセットすることをお勧めします。」


「魔法は複数選べたりするか?【加速】と【延長】が欲しいのだが。」


「はい、別個にしますか?それとも複合魔法にしますか?」

 

 アスランはどう違うのかがわからなかった。彼の考えでは一緒に発動しようが別個に発動しようが使い勝手が変わらないと思っているためである。

 悩んでいるアスランにふくは魔法の説明をする。


「複合魔法にするとな、効果時間がそろうというものもあるのじゃ。【加速】と【延長】を複合魔法にすると【縮地】という魔法になるのじゃ。加速時間を延長していくと瞬間移動のように移動できるのじゃ。刀に付与すれば一瞬の斬撃で遠くまで斬りつけられる効果だったはずじゃ。まあ、強い分魔力が必要じゃがの。」


「なぁ、そろそろ飽きてきたんだけど。複合魔法にしてしまおうぜ!嬢ちゃん!【重撃】も盛っちゃってくれ!」


 リコはアスランの意見を聞こうとしたが、アスランは諦めの境地に入っていた。すべてを察して、店の奥へ入っていく。

 アスランは涙目になりながら膝を抱えて座っていた。

 ふくはケラケラ笑い、ヴォルフは腕を組んで鼻を高くしていた。


(絶対こうなると思っていたんだよ……。)

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