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ようこそ異世界温泉宿『日ノ本』へ♨️〜とんでも効能温泉に、美味しいご飯とお酒でおもてなし〜  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第41話 招かれざる客


「な、なんだここは!?」


「なんじゃこりゃあああ!」


「いらっしゃいませ、ようこそ温泉宿日ノ本へ」


 人族2人と獣人2人のパーティの次にやってきたのは男5人の人族のパーティだ。ポエルから聞いていたとおり、この世界で一番多い種族は人族だから、当然この温泉宿にやってくるお客さんの多くは人族になりそうである。


「や、宿だと!?」


「な、なんであんな場所に宿なんかが!?」


 他のお客さんたちと同様にナイフや剣を構えてこちらを警戒している。


 ……それにしてもこの温泉宿にやってきた他のお客さんたちと比べると、なにやら人相が悪くて防具などもつけておらず、動物か魔物の毛皮でできたような服を着ている。


 これじゃあどう見ても……いや、人を見た目で判断するのはよくないな。


「そちらの引き戸は魔道具となっておりまして、いろいろな場所からこの宿につながっています。おひとり様1泊銀貨7枚、晩ご飯と朝ご飯の2食付きで金貨1枚で宿泊が可能ですよ」


「転移ができる魔道具か……こいつは高価そうな代物に違えねえな。それにここにあるのは見たこともねえ高そうなもんばっかりだ!」


「お頭……そっちに綺麗な女もいますぜ!」


「それに男はこいつだけで、しかもめちゃくちゃ弱そうですぜ!」


 俺の話はそっちのけで、温泉宿の引き戸や宿にある掛け軸や花瓶などを値踏みするような目で窺い、さらには俺の隣にいるフィアナやフロントのほうにいるポエルとロザリーをジロジロと見ている。


「……どうします、お泊りになられますか?」


 おそらくないと分かっているが、一応お頭と呼ばれていた一番大柄な男に話しかけた。


「へっへっへっ、悪いが金を払う気はねえ! だが、この宿のすべては俺たちがもらうぜ! てめえはいらねえから、命が惜しけりゃ女を置いてとっとと消えろ」


 ……まあそういうことになるよね。どうやら見た目通りのやつらだったようだ。


「てめえら、女は殺すんじゃねえぞ! あとでたっぷりと楽しませてもらうからな!」


「へへっ、久しぶりの女だな。今から楽しみだぜ!」


「俺は奥にいる銀髪の女がいいな! いや、こっちの金髪の女も捨てがてえ!」


 ……なにやら、すでにこのあとのことを想像しているようだ。それにしても本当にこんなろくでもないやつらがいるような世界なんだな。


「フィアナ、大丈夫そう?」


 話していることは完全に雑魚キャラのセリフなんだが、大の男が武器を持って5人もいると、さすがに不安になってくる。なんだったら、この時点で俺はすでにビビっているぞ。


「うん、全然問題ないよ。半殺しでいい?」


「あっ、うん……」


 どうやら元勇者のフィアナにとってはこの盗賊風の男たちは大した脅威ではないらしい。それにしてもいきなり半殺しか……いや、こういう危険な世界だし、常習犯っぽいし、なにより向こうから武器をこちらに向けているから問題ないだろう。


 むしろ即斬っちゃってもいいくらいだけど、さすがに営業2日目にこの温泉宿内で人死沙汰は勘弁である。


「半殺し? 武器も持っていない女が言うじゃねえか」


「へへっ、すぐにヒーヒー言わせてや……ふがっ!?」


「げふっ!?」


「ごふぇ!」


 完全に素手で女性のフィアナをなめていた盗賊っぽい男たちが、いきなり地面に突っ伏してそのまま動かなくなった。


「いででででで!?」


 そして先ほどまで俺の隣にいたはずのフィアナが、いつの間にか移動しており、お頭と呼ばれていた大柄な男を地面に倒して右腕の関節を決めていた。


 ものすごいスピードだな……俺にはまったく見えなかったが、一瞬で決着がついてしまったようだ。


「一応ボスっぽいやつは気絶させてないけれど、なにか聞くこととかある?」


「いや、特に聞くことはないかな」


「いでで! 放しやがれこの胸なしクソ女……ぎゃあああああ!」

 

 バキッという変な音がしたと思ったら、大柄な男の腕が変な方向へ曲がった。


 いや、さすがに腕を決められている状態でフィアナが一番気にしていそうなことを言うとか頭悪すぎるだろ……


 うわっ、人の腕ってあんな方向に曲がるんだな……


「もう、うるさいからちょっと黙っててよ!」


「ふげっ!」


 そしてフィアナが大柄な男の首に手刀を決めると、大柄な男は一瞬で気を失った。なるほど、他の男たちもあの一瞬でこうやって気絶させたようだ。


 これが元勇者であるフィアナの実力か。実際にフィアナの戦闘を見た……いや、正確には見られなかったのだが、少なくともフィアナの実力は多少なりともわかった。


 素手でこの力なら、収納魔法に収納してあるという聖剣を使えば、大抵の相手はフィアナの敵ではないのだろう。


「お、おい。なんだか騒がしいけれど、なにかあったのか……ってなんだこれ!?」


「きゃっ!」


 先ほど案内したお客さんが騒ぎを聞きつけて宿の入り口まで来たようだ。


「お騒がせして申し訳ございません。この宿のお金と女性従業員を襲ってきたので、当従業員が対処しました」


「うわ、すごい! 武装した男5人をお姉さんひとりでやっつけちゃったのね! 怪我とかありませんか?」


「はい、僕はこう見えても結構強いので、全然大丈夫ですよ!」


「彼女は女性ですが、こう見えてもかなりの腕利きですので、当温泉宿にいる間は安心してお過ごしくださいね」


 結構どころか元勇者なんだけれどね……


 とりあえずフィアナのおかげで問題なく強盗や盗賊にも対処できそうなことはわかった。さて、こいつらはどうするかな。


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キャンプ場
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