不運な日常
不敵な笑みを浮かべたエインは証拠隠蔽を画策する。(まず、死体を回収して周りで見ていた地球人がいないか確認しよう。)と思い円盤型の宇宙船から死んだ卯鈴優の血やら服、死体を持ち物ごと回収した。周りの家を宇宙船に搭載されている透視できるカメラで見ていくと皆ベットなり布団で寝ていた。
記憶の操作をしずに済んだエインは住民にバレてないと分かり安堵する。すると次はこの遺体をどうするかである。残しては擱けないので生物が入る程大きい筒状の瓶の様な形の入れ物に死んだ卯鈴優を入れ消却液をかけて細胞が一つも残らないまでに跡形も無く消した。はずだった。
エインの背後から「あのぅ」と突如声がする。自分しか居ないはずの空間、ハッチを開けた記憶もない。なのに自分を呼ぶ声が聞こえる。振り向きたいのだが今まで感じたことのない感情に支配され身動きが出来ないでいた。するとスルッと自分の目の前に声の主が現れた。エインは見覚えのある顔に息を飲む。そう死んだはずの生命体だったのだ。エインは(消却液をかけてもまだ生きてたのか?いやそんなはずはない。身体ごと消却液で跡形も無く消したんだ。でも同じ顔の奴がいる。なんなんだコイツ。とんでもない化け物じゃないか。)と考えを巡らし冷汗をかく。
なんだか不思議そうに見てきた卯鈴優が口を開く。「貴方は神様ですか?」と聞かれたエインは(かみ?かみってなんだ?)と思ったら学校で習った生命学で知的生命体の中で信仰の対象として崇拝されているものだったと気づく。答えないでいると肯定ととらえたのか「私はどうなるのですか?」と尋ねてくる。エインは今起こっている事が初めてで何がなんだかわからないので「わ、分からない…」と答えると「私は転生するのですか?さっきの出来事は神様が私を転生させるために態と死なせたんですよね。チート!チートな能力が欲しいです!できれば美人でお願いします!体型はモデルのようなグラマラスで!」と訳の分からない事を言っている。(もし神というものが居るのならば、こんな煩悩の塊みたいな奴が人間として転生できるのか?いいやしない!。そもそも神は態と崇拝している人を死なせるのか?いいやしない!)とエインは疑問に解を出す。
「魔法とかいいなぁ剣術とかもいいなぁ。あっ!魔剣士なんてもいいなぁ。も、もしかしたら聖女だったりして!?それとも賢者なのかなぁ。うふふふふ」と希望と嬉しさが爆発したかのような声ではしゃいでいる。自分は切羽詰まっているのにそんな能天気な彼女に苛々してくる。ほくほくとしている表情の彼女に「私は神じゃない!!宇宙人である!!よって転生など出来ません!!乙!!残念!!無念!!また来年!!まぁ押っ死んじてるから来年なんて有るわけ無いんだけどね!!あはははは!!」と課題が上手く行かない鬱憤と彼女の苛々が混ざって子供じみたことを言ってしまった。はっとして彼女を見ると喜々としていた雰囲気がなく無表情でこちらを見ていた。