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幽霊さんと宇宙人くん  作者: 御手洗団子
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不運な日常

6月16日夜0時過ぎ、東京の武蔵増戸駅の遥か上空に円盤型の宇宙船が現れる。誰にも気づかれずに円盤は漂っている。そして、エインはある生命体に目を付けていた。

エインは一週間前からその生命体を追っており名前は卯鈴優というらしい。いつも一人で行動しており、親も親戚も居ない様なので勿怪の幸いだった。また自分と同じ学生という身分である為、知的生命体なのは確実であろう。実技試験も上位成績は間違いないだろうと感じていた。

6月15日時刻は21時頃、大学生である卯鈴優は宇田川通りで足を止めていた。卯鈴は欣欣然とした足取りで渋谷駅を降り神宮通りから渋谷センター街を抜け、井の頭通りを道なりに進み宇田川通りの本屋に来た。そうライトノベルや漫画を買いに来たのだ。卯鈴は浮き立った気持ちで入っていく。背よりも高く積まれたライトノベルや漫画、グッズ、色紙コーナー、そしてケースの中に居るキャラクターまでもが季節やイベントに合わせて服装を変えているのだ。この空間はとても煌びやかに見え、膨大な作品に陶然となる。

一か月に一度、バイトで貯めたお金をここで散財するのが悦楽なのだ。卯鈴は一頻り作品を見ていくと一か月毎に新刊を出しているラノベ、今月出たラノベや漫画、グッズを籠の中に入れていく。やがて籠は一杯になりレジへ向かって行く。店員はそんな客を見慣れているのか顔色変えずに商品をスキャンしていく。金額は5万を超え6万に届きそうだった。財布に入ってるお金は殆ど飛んでいったのだ。

来店した時よりも重くなった両手に卯鈴優は恍惚な表情で店を後にした。気づけば22時30分を回っており急いで渋谷駅に戻り新宿、立川、拝島で乗り換えをして武蔵増戸で降りた。

時計を見るとすでに日をまたいでいた。駅を出てスタスタと帰っている途中で私の周りが急にスポットライトの様に明るくなった。変だと思い夜空を眺めようと頭を上げると、そこには円盤型のいかにも“UFO”がいた。夢でも見ているのかと茫然自失になっていると急に身体が軽くなって少しづつ宙に浮いていく、買ったラノベや漫画、グッズも一緒になって浮いてくる。まるで掃除機の様に吸い込まれていく。声も出せないままビル20階ぐらいの高さまで浮いた時、UFOからボンッと音が鳴り自分を覆っていた光が徐々に弱くなっていくと身体が重力を感じ落ちていく、死ぬと感じた卯鈴優は(買った作品読みたかったなぁ、推しのグッズ飾りたかったなぁ)と思う暇もなく「もっと美人に生まれたかったー!!そしてイケメンにモテたかったよ!!付き合いたかったよ!!もういっそのこと異世界転生させてよ!!」とでかい声で辞世の句を詠んで逝った。

一方エインは、顔面蒼白になっていた。「ヤバいやばいヤバいどうしよう。あれもう死んじぁってるよんね。動いてないしなんか液体出てるし。生命体を死なせてもダメなのに知的生命体を死なせたとなったら学校退学だよ。せっかく特待生で入ったのに爺ちゃん婆ちゃん、母さん父さんに迷惑かけてしまう。高得点を狙って知的生命体を捕まえようとしたのが間違いだったのか。もうお先真っ暗だよう。」と恐怖と不安が混じった震えた声で呟く。そして、気が動転していたエインはしてはいけない決意をする。

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