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故国

 城内に設えられた、ラーディガスト公主のための客室にギボールはいた。

 彼が戻ってきたとき、年若い侍従は主君がひとりであることに驚き、また明らかに機嫌が良くない様子にまったく声をかけることができなかった。ギボールもまた無言のまま、侍従に目を向けることもなく、まっすぐに控えの間の奥にある寝室に消えていった。

 そして主人に遅れること数刻、カドーシュが姿を現し、侍従はようやく肩の力を抜くことができたのである。

 カドーシュが室内からの許しも待たずに寝室に入ったとき、目の前に広がる光景は、床の上に脱ぎ散らかされた衣装と、ふてくされたようにソファに転がる主君の姿だった。とはいえ、見慣れたものなのだろう。さして驚くこともなく、衣装を拾い上げながら歩み寄った。

「ただいま戻りました」

「……遅かったな」

 ギボールが体勢を変えず、目も閉じたまま呟く。

「申し訳ありません。途中、いくつもの『障壁』に遭いまして」

 障壁とは他の客人たちからの挨拶攻勢のことである。独立統治の公主だけでなく多くの王国貴族が誼を通じさせたいのは、今やその支配も権威もほぼ形骸化した王家や中央政権ではなく、王国随一の豊かさを誇るこのふたつの公国だった。現に王族までもが、持参金目当てに公主の第二子以下を花嫁や婿にと欲するほどなのだ。

 もっとも、カドーシュに先立ち、ギボールが眉間に皺を寄せてひとりで歩いていたときは、誰も声をかけようとはしなかったが。

「やれやれ」

 うんざりしたような声を出して、ギボールはようやく上体を起こした。が、視線はどこか定まっていない。

「……それで?」

「はい?」

「だから……」

「はい」

「………」

 ふたりのあいだに沈黙が流れた。主君の言いたいことはわかっていながら相変わらず微笑を浮かべているだけの側近と、そいつに心の底まで読まれていることがわかっていながら何も言えない不器用な男である。

「だ、だから、送ってきたんだろ。彼女……」

「ルシィナどのと申されます」

「そうか。それで……」

「それで、と言われましても……あ、そうでした」

「なんだ?」

「お礼をおっしゃっていました」

「………」

 ギボールがふたたび転がる。何を聞きたかったのか、自分でもよくわからない。ただ、ふたりがどんな言葉を交わしたのか、そんなことがなぜか気になる、これまでにない感情に彼自身が戸惑っていた。

「閣下、明日のご予定ですが──」

 自分でも説明がつかない、どこか釈然としない心持ちの一方で、宮廷書記官の事務的な声がいつものように分刻みの面会の予定を連ねる。こちらもいつものように馬耳東風の主君の耳に、ある瞬間、唯一、脳にまで行き着いた言葉があった。

「ルシィナどのの──」

「──?!」

 思わず跳ね起きたが、カドーシュは目も向けようとしない。ただ、他の一連の客人と同じように、彼女との二度目の「会談」の時間を無味乾燥に伝えるだけである。すべての予定が言い終わるのを待ち、ギボールがはやる気持ちを抑えながら尋ねる。

「おい、ルシィナどのっていうのは……彼女のことか?」

「はい、あなたが助けられた歌姫です」

「それで、彼女がなんで……」

「何かお礼をしたいとおっしゃるので、閣下があなたの歌をお気に召していたとお伝えしたのです。それならば、せめて閣下のために歌いたいとのお申し出です」

「………」

「ご判断も仰がず、ご予定に加えさせていただきましたが、お許しいただけますか?」

「………」

「閣下?」

「あ? あ…あぁ」

「それでは、明朝もいつもの時間にご起床いただきますので、早めにお休みください」

 カドーシュはそう言ったが、ギボールにとってはなかなか眠れぬままに朝を迎え、その日、多少、睡眠不足ではあったが、公主としての外交の務めを果たし終えたのは夜も更けたころだった。対外用の表情が強張ったまま部屋に戻ったのち、ほどなくしてふたりの姿は室内から消えていた。

 支配層の居城には珍しくないことだが、この城にも緊急時のための秘密の通路というものがある。それはトシュラータの公主一族の部屋と、あわせてラーディガスト公主のための客室にも用意されていた。この「双子公国」では、たがいの領地にある城に相手方専用の部屋を、主人のそれと遜色ないように設けることが暗黙の決まりごとになっていた。

「わざわざ、あんな離れた場所にする必要があったのか?」

 灯火が規則正しく並ぶ木立の中の小径を歩きながら、ギボールがやや不機嫌そうに問う。

「あの方の歌声がお部屋から城中に響き渡ってもよろしいのですか?」

 いたずらっぽい微笑を浮かべ、カドーシュが答える。さらに衛兵を迎えにやったことと、向かう先はトシュラータ公主一族の私的な庭であることを付け加えた。

「まあ、それなら、また昨夜のようなことは──そういえば、おまえ、なんであの男の名前を知っていたんだ」

「ブルソンどののことですか? 閣下もご存じのはずですが」

「なに?」

「閣下が即位なされてのち、初めてこちらにお越しになった際、トシュラータのすべての貴族がお目通りされたでしょう。そのとき、お父上とともに拝謁を──」

「もういい」

 今さら、こいつの頭の中、特に一度見聞きしたものをすべて記憶する能力を訝しんでも意味がない。何十人もの貴族たちが入れ替わり立ち替わり、心にもない世辞を繰り返していたあの状況で、ひとりひとりの顔なぞ覚えられるわけがなかった。ギボールは訊いたこと自体を悔やみながら、やがて木立の中から視界が開けたとき、湖のそばに建つあずまやが目に入った。

 木の影に立っていた衛兵にカドーシュが手で戻るよう指示し、一方でギボールはしばし足を止めてあずまや──正確にはその中に座っている白い輝きに目を奪われていた。

 心地よい夜風に身を預けていたルシィナもまた彼らに気づき、あずまやを降りると、膝を折ってふたりの到着を待った。

「ネツァー閣下におかれましては、このような場所にまでご足労いただきましたこと、恐悦至極に存じあげます」

 黄金色の頭を下げ、完璧な礼をもって迎える。昨夜の舞台衣装のように芝居がかった華やかさはないが、貴人を前にした清楚な礼服はその人の美しさと気品をいっそう引き立たせた。ギボールがなかなか声をかけないため、ルシィナもまたいつまでもその態勢を変えられないでいたが、そんな膠着した状態を解決したのは、やはりカドーシュであった。ルシィナの前で彼もまた膝を折り、なにがしかの声をかけ、ふたり同時に立ち上がると、主君より先にあずまやへと入っていった。

 そして、ギボールが落ち着かない腰を堅い椅子に落とし、カドーシュがおよそ女性という存在に対する変わらぬ態度で美しい客人の対応をし、ルシィナも促されるまま、ふたたびその歌声を披露したのである。

 終始、魅入られるままだったギボールが我に返ったのは、歌も終わり、カドーシュがルシィナに賞賛の言葉を並べ立てているときだった。自分も含めて大抵の人間ならば、言うほうも聞くほうも赤面してしまうような美辞麗句でも、この男に限ってはそうはならないと、なかば感心し、なかば呆れて見つめていると、不意にルシィナが腰を折った。

「せめてもの感謝の意を表すための機会を頂けただけで幸甚の極みでございます。では、わたくしはこれで──」

「そうおっしゃらず。ぜひ、もう少しお言葉を交わしたいと閣下もお望みです」

 勝手に名前を出されて、驚いたのはギボールである。頭を上げたルシィナに視線を向けられ、思わず体を固くした。

 その後、実際には、主君の正面に座ったカドーシュとルシィナがおもに言葉を交わし、ギボールはたまに振られた話に短い返事をするくらいである。やがて、その会話もひと区切りついたころ、カドーシュがこれまでとは違う視線をルシィナに向けた。

「ところで、ルシィナどの」

「はい、カドーシュさま」

「失礼を承知で申し上げます。あなたの首を飾るその宝石、並の価値ではないと存じますが、いかがです?」

 途端にルシィナの表情が固まり、我知らずとっさに首元のそれに指を当てた。確かにその細首には大人の親指の先ほどもある青く透明な石が掛かっている。ギボールも彼女の変化には気づいたが、それが何を意味するのかはわからなかった。その一方でカドーシュはかまわず続ける。

「拝見したところ、それは旅芸団が所有できるはずがないもの。青玉だったとしてもその大きさと色合いならば相当の価値があるでしょう。ましてや、ガラスなどの贋物でもない」

「………」

「はっきり申し上げれば、それは青金剛石です。違いますか?」

 青い金剛石はおよそ宝石に興味を示す者なら、手に入れることは叶わずとも一度は目にしたいと思う幻の妖石である。その価値は計り知れず、大きいものになれば城ひとつと交換できるとまで言われていた。

「あなたのことを少し調べさせていただきました。団長のご息女だそうですね。ただし九年前から」

「調べた? おい、カドーシュ」

 ギボールが驚き、カドーシュを鋭く見据える。が、彼が絶対的に信頼すべき男は主君に顔も向けず、冷たく言い放った。

「閣下にお目通りする者の身辺を明らかにするのは、当然の務めです」

「だがな……」

「あなたの仕草や言葉遣いにも妙なものを感じていました。芸団の人間として貴人への礼節に長けておられるだけではない。言うなれば、生まれ持った──」

「いい加減にしろ!」

 真意がわからない詰問に最初に耐えられなくなったのは、されている当人ではなく、それまで傍観せざるを得なかったギボールだった。ルシィナの表情に、明らかに悲しみが漂い始めたからだけではない。彼が身分に関係なく謁見を許していることはカドーシュが一番よく知っているはずであり、誰よりも賛同してくれていると思っていたかららこそ余計に腹立たしかった。足を踏み鳴らすようにして近づくと、その腕を乱暴に掴んで立ち上がらせ、無理にでもその場から退かせようとした。

「お待ちください」

 それを止めたのはルシィナだった。彼女もまた立ち上がり、強い瞳でまっすぐにふたりを見つめる。

「カドーシュさまのお見立てどおり、これは青金剛石です。旅芸団の者が所持していれば、その素性を疑われるのも、そして閣下の御身を案じられるのも当然のことです」

「そんなことはない!」

 叫んだのはギボールである。しかし、ルシィナは小さく頭を横に振った。

「ただ、閣下に何ら危害を及ぼす意思のないこと、この宝石がわたくしのものだということはどうかお信じくださいませ。そのためにと仰せでしたら、わたくしの身上をお話しいたます」

 ルシィナの視線は変わらず揺らいではいなかったが、その瞳には疑われたこととは別の深い悲しみが漂っていた。

「お聞きかせいただきましょう」

「おい、カドーシュ!」

 視線も言葉も交差しないふたりの男の前で、ルシィナはゆっくりと目を落とし、そして口を開いた。

「わたくしは……わたくしの真の名は、グラティアスと申します」

 ルシィナ──グラティアスの生まれ故郷は、サンダルフォン王国を離れ、さらに北に位置する小国だった。しかし歴史は古く、質実な国王と勤勉な国民はともに平和な国を築いていた。

「でも、九年前──」

 それはある夜、突然起こった。

 その何年も前から、宮廷は病弱な国王と王弟の二派に別れ、冷たい炎を燃やしていた。いくつかの小競り合いも繰り返されていたが、やがて成長した王太子により、王弟派は徐々に追い詰められていた。

 そして、彼らは一気に形勢逆転を図った。

 国軍の長でもあった王弟が買収していた将軍たちとともに、深夜、王城を急襲したのである。不意をつかれ、近衛隊も国王一家を護ることができず、また同時に襲われた国王派のおもだった貴族たちも、抵抗も逃亡もできぬままにほとんどが惨殺された。

 それは国王の側近であった彼女の両親も例外ではなかった。

「グラティアス! グラティアス、起きなさい!」

 真夜中、母に揺り起こされた。何が起こったのかわからぬまま寝室を出ると、そこはもう、つい先ほどまでの彼女の住み慣れた世界ではなかった。

 父や衛兵たちは険しい形相で剣を構え、その中には既に傷を負っている者や血塗られた刃もあった。侍従たちは逃げ惑い、狂ったように泣き叫ぶ年若い侍女もいた。遠くでは怒号や悲鳴も聞こえ、まだ十四歳だった彼女も母の腕の中で震えることしかできなかった。

「お館さま、こちらへ!」

 衛兵たちに護られながら両親とともに屋敷を脱し、庭や街を走った。季節は春先、この北の国ではまだ夜は凍えるほど寒いはずなのに、街のあちこちに放たれた火のために夜空は不気味な明るさに焦がされ、空気が息苦しいほど熱く感じられたことを覚えている。

 どこをどれほど走ったのかはわからない。それでも、味方ではない声が徐々に、しかし確実に近づいていた。目に見えて周囲の緊張が高まり、そしてついに父が足を止めた。

「ふた手に分かれよう」

 瞬間、娘を抱く母の腕に力がこもった。そのふたりの前に父が歩み寄る。

「そなたはグラティアスとともに行け」

「いいえ、わたくしはあなたとともに参ります」

 母は微笑みすら浮かべ、まるで散歩にでも行くかのように事も無げに言った。驚いたのは父のほうである。

「何を言うのだ。娘をひとりにすることはできぬ」

「この子ひとりのほうが目立たずに逃げることができます。わたくしはあなたのおそばを終生、離れないと誓った身です」

 穏やかな表情と言葉にはけっして譲らない強い意志が感じられた。父はもはや何も言わず、そっと母を抱き寄せた。かたや、両親の様子に娘は大きくなる不安を抑えることができなかった。

「グラティアス、おまえは彼らと行きなさい」

 父はそう言って、残っている衛兵のすべてを娘につけた。

「郊外に旅芸団がいる。きっと匿ってくれるだろう」

「お父さまとお母さまは……?」

「わたくしたちもかならずあとから参ります」

 母が娘の黄金色の髪を優しく撫でる。しかし、いかに彼女でもその言葉を信じることはできなかった。

「いや……いやです。わたくしも一緒に──」

「グラティアス、お願いだからお父さまのおっしゃるとおりにして」

「いや! 絶対にお父さまとお母さまと離れない!」

「グラティアス!」

 母の説得にも父の一喝にも、首を何度も真横に振って泣きながら抵抗する娘に、不意に母は自分の左手の指輪を外し、その手に握らせた。代々の女主人に伝わる家宝であり、かつて父が求婚の際に母に贈った青金剛石である。

「何があっても生きなさい。あなたが生きることを諦めない限り、かならず道は開けます。わたくしたちはいつでもあなたを愛していますよ」

「グラティアス、おまえはわたしたちの宝だ」

「お母さま、お父さま……」

 短い抱擁を交わし、そして両親は怒号と炎の中へ──娘は再会の希望だけを胸に、衛兵たちと街を走った。

 しかし追っ手は執拗に彼女をも襲い、衛兵も次々に倒れていった。最後のひとりも深手を負いながら彼女を無事に届けたあと、ほどなく満足そうに息絶えたのである。

 例えようのない悲しみと不安の中、彼女は待った。ほとんど食事も取らず、夜も眠らず、ただ愛する両親がふたたび目の前に現れてくれるのを──だが、誰ひとり迎えに来ることはなく、グラティアスはその名と故郷を捨て、あてどない旅に出たのである。

 夜気の中に深い沈黙が漂った。

 蒼瞳はその色を洗い流してしまうかと思われるほど、大粒の涙を絶え間なくこぼし、対するふたりは、ひとりは当てのない怒りを抑えるように口を結び、もうひとりはおよそ人の情を感じさせない静かな表情で語り手の顔を見つめている。

「団長をはじめ、みな、わたくしによくしてくれました。わたくしが辛いことを思い出さないよう、いつも気遣ってくれて……だから、わたくしもすべてを忘れ、新しい父からもらった新しい名で生きていこうと思いました」

「………」

「でも、だめなのです。この石を見るたびに、両親の最後の姿が浮かんで……いっそ捨ててしまおうと何度も……でも、どうしてもできなかった……石も過去も、わたくしは何も捨てられなかった」

「………」

「どうして……あのとき、どうして両親にすがりついてでも止めなかったのか……わたくしだけが生き残ってしまったことが苦しくて、辛くて……わたくしをひとり残した父や母が恨めしくて……あのとき、一緒に死ぬことができたほうがどんなに……」

「ばかなことを言うな!」

 突然の一喝にルシィナはとっさに息を呑んだ。視線を上げたその前には、握り締めたこぶしを震わせるギボールが彼女をきつく見据えていた。

「死ねていれば良かったと言うのか! おまえを護ることに命をかけた親や兵の死を無駄にするつもりか!」

「それは……」

「おまえは自分ひとりが残されたと言うが、彼らがおまえに託したのはその石だけじゃない。自分たちの命も人生もすべてを託して、おまえが生きてくれることだけを願っていたはずだ」

「………」

「おまえはどこにいるんだ。『ここ』にいる。今、『ここ』にいる以上、苦しみも悲しみも、罪さえもすべて抱えて、それでも生きなきゃいけないんだよ、おれたちは!」

 ふたたび訪れた沈黙の中、わずかに聞こえるのは荒い息遣いだけだった。

 ある瞬間、唐突に我に返ったギボールが、ルシィナから視線を外せないまま一気に紅潮した。それがやはり突然だったため、つい先ほどまで悲しみ一色に彩られていた顔がかすかにほころんだ。そして、小さくうつむいたとき、その表情にはわずかだが、これまでとは違う何かが浮かんでいた。

「閣下、カドーシュさま。わたくしの駄弁でお心を煩わせましたことをお詫びいたします」

 静かに頭を下げたルシィナに対し、ギボールが掛ける言葉に迷っているとき、素早くふたりのあいだに割って入るものがあった。これまで木のように黙して動かなかったカドーシュがルシィナの前に跪き、彼女の手を取ってその顔を見上げる。

「謝らなければならないのはわたしのほうです。あなたを疑い、辛いことをさせてしまいました。どうか赦してください」

「恐れ多いことでございます──」

「せめて、あなたを無事、お送りするための供をさせていただきたい。それでわたしの気持ちがわずかでも安まるのです」

 ルシィナは断る先を制されて何も言えず、素直に甘えることに決めた。カドーシュに対しうなずいたあと、ギボールをまっすぐに見て、穏やかな微笑みを浮かべた。

「閣下、感謝申し上げます」

「え、あ、い、いや……」

 ギボールが言葉に窮している間に、ルシィナはカドーシュとともに木立の中へ消えていった。ふたたびひとり残された彼の脳裏には、自分に向けられた澄んだ蒼瞳だけがいつまでも焼きついていた。

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