清く正しくても、運命は優しくない
あけましておめでとう御座います。
お読みくださいまして誠に有難う御座います。
そもそも私もさ、ムシャムシャされた記憶とかリアルすぎるのよ。
うっわー。残酷な記憶が二回も有るとか不幸。幸せにならなきゃ。取り敢えず早くこの地味に疫病神なアルファーディ先生を野に放たなければ。いや違う、逃避してしまった。あのヒロイン女、どうやったら裏を掻けるの!?
何かしら策を練らないと。
よく考えりゃ夏の休みってもうすぐじゃん。
……あの色ボケカーデンが諸悪の根元ヒロインを連れて……!?
いや、それよりも今森にいる黄金のガサガサ……アルファーディ先生の話が本当なら、弟さんの口に酔い止め薬草を突っ込まねば!!
……ホントに元に戻れるのかよ。怪しすぎよ。大体近寄りたくないしどーすんのよ。
「いや、無理ゲーでしょ。私、前世の記憶がフラッシュバックし過ぎて見るだけで倒れます。近寄れませんけど」
「ふらっしゅ何とかは分かりませんが、怖いですよね。
流石に妙齢のお嬢さんに、男の口の中に薬草を突っ込めなんて言いませんから!僕がやります!」
気にするの其処かよ。いや確かに男の人の口に物突っ込むとかうら若きかわゆき村娘に頼むことじゃ無いからな。其処は加点してやってもいいかも。
「でも、僕に何かあれば……後を頼める人が居ないんです!」
「いやそれこそ、冒険者ネットワーク酒場でパーティ募れば良いじゃないですか!!」
今からでも遅くない!!屈強なオッサン共を募る方が良いわよ!酒飲みだけど黄金のガサガサの抑え係位にはなるし!!
「だって無理です!!討伐依頼が出てるんですよ!?あの黄金のガサガサが弟だなんて誰も信じてくれません!!」
え、信じてくれないって分かってたんじゃねえか……アルファーディ先生よお。
なのに私にはしつこかったな。やはりイレギュラー扱いされたからかな。……事情分かってて魔術学院行かなかったし。くそう!
「わ、私も七割って所ですけど」
「三割信じてないんですか!?」
逆だと言いたいけど、泣きそうだから止めておこう……。泣き顔可愛いな。歳上の癖に。
「兎に角、酔い止め薬草はどれだけ食べさせれば良いんですか?」
嫌だなあ、まさか象の重さ分必要!とかなら在庫が全く無い。後、単純に材料も無いわ。
黄金のガサガサって大きいから沢山要りそう。意外に少なくても効きます!みたいなミラクル起きて欲しいわ!
「前は掌に載るだけ有れば、元に戻ってくれました。姿は戻りましたけど……亡くなって、しまいましたが」
うわ、空気が瞬時に重い。や、止めて欲しいなあ。村娘に重い過去を喋るイベント起こすの。いやマジいい感じのリアクション無理。そんな器用な回転する頭、載ってない。気まずい!
挙動不審になる上、咄嗟に無神経なコメントしかご用意出来ないし!甘ーいいい感じの科白とか無理!
「そ、そのくらいなら直ぐ用意できますから、ええと」
ほらあ!無駄にビジネスライクかつ無難なコメントしか出ない!慰めとかもっと無理だから!!返事はせめて選択肢にしてよ!持ち帰らせて貰えないと!
「五人きりの兄弟なんです……。でも三人亡くなってて」
おい止めろ、キョドるからマイナス情報要らないのよ。
何気に兄弟多いな。でも、突っ込んだらダメなシーンよね、此れ。
き、切り替えよう。兎に角、今まさに!黄金のガサガサは鉱山の森に居る。それは変わらないんだから!
「……兎に角、黄金のガサガサ……弟さん?が森から出ないように結界とか張れないんですか」
「弟と僕の魔力は似ているので……」
おい何なんだ、本気で魔導師的に役立たねえの!?
……ううううう!見たくないのに!図鑑で見ても動悸息切れするのに!!
いいえ、家族の為村の為よ!ガッツよデアシラ!!
「村に入られないようなバリケードとか、阻害用に……土嚢でも積むしかないですね」
「あ、土壁ですね。それなら大丈夫です!お手伝い出来ます!」
蹴散らされる未来しか見えないけど、やるかあ。
……気付け薬と心臓の薬も鞄に入れとこう。
と、思ってたのに。
運命は、踏み台系村娘な私にトコトン優しくないみたい。
「あれえ?あーれあれあれえ?何で、センセ連れなのぉ?」
「!!」
「君は……!!」
夏って、言ったじゃない。
何で、こいつを連れてきたのよ……。
奴が村にやってきましたね。




