忍び寄る過去の夢
お読み頂き有難う御座います。
過去の話が出て参りますので、悲惨なシーンが御座います。
「……デアシラ、よく聞いてください」
「夜も遅いのでゆっくりお休みくださいお客様」
必殺、慇懃無礼後ろダッシュを繰り出し、私は電波魔導師をシカトすることに大成功した。
ふう!危ない危ない!ウッカリ流されでもしたら身の破滅だわ!
未だに怨恨が有り余るもの!軽い気持ちで復讐?未来の敵討ち?に走って、ウッカリ加害者になったら明るい村民計画が台無し!!
目指せ!宿屋を継ぐ婿を迎えて山も谷もない和やか村民エンド!
「はあっ、はあ!!」
「デアシラ、危ない!!」
嫌だ。
嫌だ!!
助けてカーデン!!
貴方の魔術なら、きっと届く!!こんな時ぐらい、早く助けてよ!!
「怖いっ!もう戻りたくないっ!カーデン助けてっ!!」
「ポポピー!デ、デアシラ!?」
あの女が、カーデンに抱きついたショックで術式がほどけて……。抱き合ったふたりの姿に……恐ろしくて、絶望して。
私の視界は、黄金のガサガサの……。
「いぎゃああああ!!」
「デアシラーーーーーーー!!」
叫んでないで助けてよ!!嫌だ、痛い!!
涙と鼻水で、溺れそう。
喉痛い!痛い!
……うん?喉?
「……何て事なの」
この、適当な木が無計画に組まれたせいで変な柄な天井は、私の部屋よね。
目茶苦茶リアルな夢を見ちゃった。
……あの野郎&あの女が……私を……。
嫌だ。
ま、負けたくない。
震えが……。震えが、止まらない。
「水でも飲んでこよう……」
喉ガッサガサだわ。
いや、……ガサガサ地雷です。
いかんな、めっちゃ夜中じゃん。部屋に時計無いから何時か不明だけど。……くそう。鼻水めっちゃ出るじゃないか。泣きすぎて鼻痛いし叫んだせいで喉痛い。
「あ」
「デ、デアシラ?」
何で、灯りも消した食堂裏の井戸にひっそり居るのよアルファーディ先生よお。
幽霊か。彷徨くな。
「あの、デアシラ?」
「……従業員以外お断りな場所に入ってこないでください」
何で話しかけてくるかなあ。こっち来ようとすんな。
「な、泣いてたんですか?」
あ、やべ。どーせ誰も居ないと思って顔すら拭いて来なかったわ。ランプどっから持ってきた。仕度前の乙女の顔を照らすな。
「辛い夢を見たんですか?」
「む、村人も大変なんで」
「……やはり、貴女は……」
何だこいつ。思わせぶりなリアクション止めて早く帰らないかなあ。気持ちが、刺々しくなってくる。
「デアシラ、辛いことがあったなら、聞きますから」
「ありあしたー」
あ、口が回らないわ。おまけに手も震えるし。釣瓶がなかなか上手く動かない……。
「あ」
「僕が汲みますね」
アルファーディ先生が難なく組み上げた水が、私が持ってきた素焼きのカップにトプトプ注がれる。
「……」
「か弱い……、そうですね。……貴女も、守らなくては」
あ、ブツブツ呟きながら帰ってった。
……何だあいつ。
まあ、ちょっと夜中だから手に力が入らなかったから、助かったけど。
あの金髪、夜中でも月夜を反射して綺麗。
……魔術学院関係者でなきゃなあ。
何のイライラもなく……付き合えた、かもしれない。いやでもあの言い回しは地味にイラッとするか。
……うん、いや。悪夢が悪いわ。
詳細な過去の夢って怖そうです。




