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あなたのルートで息の根を止めてたまるか  作者: 宇和マチカ


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個人情報保護が存在しない村

お読み頂き有難う御座います。

 ぐおお!!

 何でこんな所に行き倒れてんのこの男!!黄金のガサガサといい、何なの!?幼馴染みルートを踏んだり蹴ったり踏みにじったりしても湧いてくるのか!?何故!?努力型健気系可愛い村娘(世界村娘ランキングお嫁さんにしたいNo.1の座待ったなし!)の私が何をしたっての!?


「た、助けてください………」

「ふぎいやあああ!!」


 こここここいつ!足首掴んで来やがった!!

 今は初対面のかわゆきか弱い村娘である、乙女の足を!!


「何だ何だ!?」

「どうした!?あっ、宿屋のデアシラ嬢ちゃんじゃねーか」

「また石拾いと草むしりしてたのか!?」


 人を遊んでるみたいに言うな!!

 薬草摘みと採掘だっての!!実はあんたらより高給取りだっ!!ってバレたら酒代をせびられてストーカーされるから言わないけど!!

 私、将来を見据えた堅実確実な村乙女だからねホホホ!

 何だか、酒場土産のお菓子の名前みたいね、まあいいや。


「お、おじさん達助けてっ!変なひとに!!」

「んん?これって、酒場で呼んだ魔導師じゃないか?」

「そうだそうだ、金髪に赤い外套だもんな」

「いかんぞデアシラ、来村者を不審者扱いは。辺鄙な村はイメージが大事なんだからな」


 何で私が窘められてんだオイ!!何処からどう観ても不審者はコイツだろうが!!こんな産業の大してないド田舎村にやってくる魔導師なんて、古今東西村を滅ぼす悪者に決まってんのよ!! 

 魔導師に迷惑を掛けられ、魔導師モドキの無能役立たずヒロインのせいで殺されたストーリーを持つ私が保証する!!


「何でだよ!!小さい頃から知ってる我が村きっての美少女が襲われかけたんだぞ、オッサン共!!」


 乙女の足首を掴むような極悪人を引っ立てて牢屋へ即連行せいよ!!とちょっとお転婆にシャウトしたき所存だけど、お年頃のかわゆき乙女である故にね。

 ちょこっと口調を柔らかーくして我慢したわ。私って健気っ!


「ハイハイ可愛い可愛い」

「酒場に連れてくか。誰か回復魔術使える奴いたらいいな」

「張り紙も見とくもんだな」


 おい!!ちょっとボコってもいいのに、案外手厚く連れていってるし!!

 ああ憎たらしい憎らしい。この恨み晴らさで置くべきか。

 でも、考えてみりゃ、あのまま放置した方が良いかもね。

 コレで私とは縁が切れちゃうし。

 サッサと治療を受けて立ち去るといいわ。流石に今何もされてないから、仕返ししたら逆恨みにすらならないもの。ただの暴漢になってしまうしね!


「じゃあ、後でデアシラんちに連れてくな」

「何ですって!?」


 オッサンが、いや世界が私に優しくない!!


「だって泊まるとこってお前んちの宿屋しかないだろ」

「酒場の廊下にでも転がしといてよ!!」

「廊下は歩きやすいよう荷物を置いちゃいかんだろ」


 酔っぱらい共ーーー!!何を支離滅裂にマトモな風を装ってるんだーーー!!


 で、結局連れてこられてしまった。私の悲しみはどうしたらいいの。


「デアシラー?」

「……お母さん、今私薬草をゴリゴリ潰すので忙しいの」

「あんた、また抜いてきた雑草をゴリゴリ潰して薬師ごっこしてるのかい。忙しいんだから、お部屋のお客さんに配膳しな」


 薬師ごっこじゃねーし!!隣の酒場に卸すリアルマネーになるちゃんとした薬草も作ったし!!確かに今は息抜きで雑草潰してたけど!!

 ………行きたくない!!

 どうせあの毒キノコ踏んじゃった金髪教師向けでしょ!

 ええん嫌だあ!!年頃の娘が若い男の部屋に行くの危ない!!

 とゴネたものの、母には勝てず。結局スープを持っていく羽目になってしまった。


「……」

「お待たせ致しましたお客様、スープをお持ちしました。それでは失礼致します」

「ま、待ってください!!」


 チッ!!流れるような口上と洗練されたマナーによって立ち去ろうとしたのに!!


「……きみ……デアシラ、ですよね?」


 いい歳の割に目茶苦茶プルンプルンな唇から私の名前が出た。近くで見るとコイツ、金髪に綺麗な緑の目で……ツラ良いわね。カーデン程じゃないけど。女子として負けてるっぽくて腹が立つわ。明日、町に薬草卸したついでに唇ケア用品を買ってこなきゃ。


 それにしても、今の時点で私とコイツは初対面の筈よね、何で私の名前知ってんのよ。

 あー!さては、コイツに誰か個人情報を売った奴が居るな!?


「……オッサン共め、よくも名前をバラしやがったな。この恨み晴らさでおくべきか……」

「ひっ!?ち、違うんです!!あの、僕……」

「仰る通り宿屋のデアシラです。失礼致します」

「待って。君は……記憶が、無い?」

「えっ、記憶?初対面ですよ?」


 知らないフリをしまーす!私、命を守る為に女優になる!

 この教師、電波だっけ?関わった記憶が殆ど無くて困るな!意味分からん!早く去れ!


「だって君は優秀で……あれ?でもここ学院じゃない、居ない……」


 ………何だか嫌な予感がしてきたな。

 アルファーディ・ソラニこそ、何でこんなド田舎にいるのか。

 学院でヒロインにへばりつくコバンザメ教師やってる期間では無いのか。帰れ帰れー!魔術学院関係者は悉く去ねー!

冒険者ネットワーク酒場は冒険者のハロワ的な業務と酒場をドッキングさせてチェーン展開している酒場で御座います。何処かにある名前の似た組織は姉妹系列です。

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