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私のトラウマと幼馴染の驚愕

お読み頂き有難う御座います。

そんなにエグく御座いませんが、前世の主人公が酷い目にあっている描写が御座います。

 特効薬は黄金のガサガサという……まあ、詳細は名を体で表す魔物の肺に溜まる水……という、これまたひねくれなくて良いだろって代物。ストレートに解り易く心臓肝臓とかじゃダメなのか。

 倒し方によっては………いや、肺を傷つけずに倒すとかどう考えてもどう見ても無理ゲー。他の部位を傷つけずに、首を落として解体が必須なんだそうな。やだ魔物の解体とかデカくて粘ってるし怖くて無理ー。夜中歩くの怖すぎー!

 だが、これを手に入れないと教師が死ぬ!!


 ……他の有力な人を待つ及び、見殺す選択肢は無いのですか?

 ありません。


 何でそーんな激ムズ素材を入学したての我々が取りに行かねばならんのさ。しかも、無事バトルして倒せて捌ねても………健康な個体だと無いケースもあるんだって!

 ふざけんな!誰か他の教師が行けよ!!それか超強い生徒!!成績優秀さをひけらかし、その魔力を唸らせて!!


 ……でもヒロインがしゃしゃり出て、何故か道連れの私達までもが夜の森へ……。

 普通の暗い森でも危ないのに、超危険ランクの黄金のガサガサが出る森なんてワンランク以上、上!の危険区域に決まってる。

 幾ら腕に自信が有るったって、学習中のガキんちょが野生の超危険生物に歯向かえる訳無いってのに。

 ノリで正義を貫ける、そういうイキった若さって本当に嫌い。


 だから案の定、黄金のガサガサに喰われて死んでしまうのだ。

 何と!

 ……………この、私が。


 頭からバリバリ!!

 この、私、デアシラが!!とても可哀想な死に方を!!

 夜中に魔物退治に誘った張本人、無責任無制限なヒロインの頭でなく、私が!!


 しかも、中途半端に魔力に満ちた人肉(この私)を喰らった黄金のガサガサはパワーアップし、薬としての効能も失せる。

 ヒロインと幼馴染みは泣きながらも黄金のガサガサを倒し……挙げ句諸悪の根元の教師も時間切れで死ぬ。

 一晩で死者ふたりはとっても被害でかい。

 踏んだり蹴ったりか。死に損か。


 学校は管理不行き届きで潰れる。

 そして幼馴染みは病む。


 それをヒロインがへばりついてカウンセリングしてお世話して。

 それなら末は、はい、デキちまったエンドにまっしぐら。

 何故か風に吹かれて何故か私の家の前で微笑んでる無駄なスチルまで思い出しちゃった。

 あ、私が酷い死に方したりしたせいで、両親が引っ越したって書いてたな。

 まさかどさくさで私の家を乗っ取ったの?ヒロインと住むの?お幸せに?


 ふ ざ け ん な!

 どっか故郷を離れた遠くで自力で家を買え!ローン地獄に陥ったり借金取りに引っ立てられて、明日不幸になーあれ!


 そんな感じで私ったら……恨み骨髄な死に損全開で化けて出ないのが不思議なくらい!

 頭からムシャムシャトラウマは、今の私にもしっかり植え付けられた。

 うん、酷すぎるし嫌すぎるわ。悪いことてんこ盛り。何にも良いことない。


 さて、今の幼馴染に夢中で花畑を沸かし気味な私は、どうするかな?


 逃げるに決まってる。

 私、もう幼馴染みとツルまない。管理不行き届き魔術学院行ーかない!

 この目の前の幼馴染みの顔がちょい良くても勘弁。

 ヒロインとくっつこうが魔物とバトろうが知ったこっちゃない。 

 悪いけど、イベントは私の知らないところで!ご勝手に!

 私を死なさないで、勝手に盛り上がって自己責任で死亡なピンチを乗り越えな!


「私受験しない。行きたいならボッチで勝手に行って」

「はあ!?」


 はあ?じゃないんだよ。こっちは家族込みの命が掛かってんだ。お前の不安なんて知ーらない!


「志望動機思い出してみたら、おかしく思えちゃうし」

「今更!?

 えっと、鉱山の採掘を効率的にしたいから、魔術を学ぼうって話?

 凄くいい話じゃ無いか!俺も頑張るよ」


 そりゃーお前は良いさ。何故か魔力はガン上がりでその余波で成績優秀に修められちゃってモテモテで、無駄死にしないヒロインにも秋波送られちゃうんだからね。

 人の死を勝手に利用するボケカス人生を送る無駄モテ野郎!私なんか、努力が実る前にお前のルートのせいで死ぬんだぞ!!


「で、デアシラ?」


 あっ、目線に出ちゃったかな?カーデンが超ビビってる!

 いい気味!私の死を未来でいちゃつきに利用する奴にはメンタル死を!


「うん、よく考えたらさ。私みたいな伸び代の無い人間に鉱石を増やして採掘量を増やすのも無理だわ。

 それに、大型魔術も使えないから掘削も手伝えない。だとしたら、モノにならない魔術をチャラチャラ学びに行くより、物理的なスコップ技術を鍛える他無いと思って」


 ちょっと未来の恨みが募って長科白になっちゃったな。いけないいけない。ポカンとされちゃった。

 でも、それっぽく丸め込むのは私の特技よ!だから頭良さそうって思われるんだよね!メッキだから!


「スコップ技術!?何それ!?どうしちゃったんだよ、デアシラ!」


 煩いやい!

 そんなもん只の誤魔化しデタラメ単語に決まってるだろ。スコップ技術なんて聞いたことねーわ!はん!バーカバーカ!勝手に僻地でモテてお前が怪物に噛られな!


 さて、両親に心変わりを伝えに行きますか。

 街に寮生活させるなんて反対派だったおばあちゃんから。

 援軍は強力な方がいいもんね。


「じゃあな!あばよ疫病神背負った我が家強奪野郎!!」

「デアシラーー!?」


 私はカッコよく地面を蹴った自慢の脚力で家路に向かった。勿論、受験票は破いておいたよ!うわ、このひらりと舞う紙切れに書かれたお値段、授業料ってばウチの年収の三分の一!?

 高っ!バカ高っ!!

 早死にフラグに気付いて良かった!!そりゃこんな大金注ぎ込んで娘が魔物に齧られちゃあ家族も離散しちゃうよ!!

 寧ろよく捻出出来たねお父さん!ゴメンね!魔術学院なんか行かないで長生きするね!!前世の知識でお金儲け頑張る!!


愛よりも命を取った、村娘デアシラです。

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