貴方のルートで生きて行くの!
お読み頂き有難う御座いました。
エピローグです。
「ふひー」
ああ、ちょっと寝坊しちゃったわ。今日は寒くなるらしいから、薪を多めに用意して暖炉の灰を掻き出しておかなきゃ。
あー、平和だわー。
あの後、黄金のガサガサが売られて、酒場が二階建てになったのよね。……報酬ショボめに見積もられた気がしてならないけど言い出せない。
角の立たない近所付き合いは辛いわー。
あれから……色々有ったなあ。もう三年前かー。
あの後、カーデンのお母さんが……無理が祟って風邪を拗らせちゃって大変だったのよねー。
運良く命は助かったけど、前みたいに働けなくなったの。
仕送りが無くなったカーデンは苦学生になったみたい。一応何とか卒業は出来たみたいだけど、及第点スレスレだから魔術師として働けずに靴屋でバイトしながら魔物研究者の道を目指してるみたい。
……最早何も言うまい、よ。
因みに、これは王都近くにある遠縁の農場にお嫁に行ったナナ情報。……カーデンの両親の肩身の狭さを思うと、あんまり噂を流してやるなよと思うけどね。田舎の噂ネットワークは高速だからなあ。
「魔物研究所って目茶苦茶離職率高いんですよ、デアシラ。
喰われるしなあ。だからバイトくらいなら直ぐになれるかもしれませんね……。青銅のヌチャヌチャの世話に回されそうです」
「へー」
木戸が開く音がして、夫が後ろから籠一杯の洗濯物を持って出てきた。後半の単語はスルーしておくことにする!!知らん知らん!!レアな魔物になんて、この村の付近では生息出来ない!!もっと過ごしやすい地域でお暮らし!!
……そう、そんな禍々しい事より明るい話題よね!
デアシラ、結婚しました!!
入婿の旦那様と二年前にね!ピカピカな新婚夫婦です!!
意外とこの旦那様、見た目貧弱で頼り無さそうなのに、よく働くから両親にも大好評です!!
……そう、井戸をバックに立ってるアル……アルファーディ先生と結婚したの。
やっぱりね、顔がタイプなんてアドバンテージ、全く死ぬ程必要ないの。
優しいのが一番よね!後普通に金髪イケメンだしね!同じ石鹸洗髪剤に同じ水を使ってるってのに、女の子である私より謎のいい匂いするし!魔導師だから理知的だし、気が利くし!兎に角、今の私は無敵って感じね!
「デアシラ?」
あ、いけね。ボヤッとしててアルを忘れてた。
「……アルって洗濯しないタイプだと思ってたわ」
「な、何それ……。僕、普通に家事こなして生きてきたんだけどなあ……」
そういやそうだったかな。
なーんか浮世離れしてんのよねえ。義弟になったガーランド君もだけどさ。
「ガー君は電撃結婚しすぎやしないかしら」
「初対面に婚約を申し込まれてエラさんはギョッとしてたんですよね」
何を隠そう、昨日結婚したガー君ことガーランド君のパーティーだったのよねー。
……義妹であるエラさんは何と王都からやってきた貴族系の警備騎士。
後から聞いた話だけど、肉襦袢着て鎧兜を着てたからフッツーに男の人だと思ってた。
女騎士様って大変ね……。ガー君のせいでその場に居た全員(酒場の冒険者のおっさん達)に即バレしてたけど。
エラさんてば何かを探りに来てたみたいなんだけど、やっぱりヒロイン絡みなんだろうなあ。
素直に聞いたらお義姉さんは知らない方が良いですって言われた。
……お貴族様的に危険なんでしょうねー、と即察知したわよ。宿屋は空気が読めないと駄目なんだから。
もしもの時は、薬草を渡すし晩御飯作って待ってるねって言ったら涙ながらに嫁にしたいと抱きつかれて……ソラニ兄弟からしこたま怒られた。酷い。
実に心が狭いしイラッともしたけど、ニヘッとするのよねー。
「もう少ししたら、エラさんにスープを持っていこうかしら」
「夕方まで寝かせてあげましょう、デアシラ」
こっちに向かって手を差し出したアルの手を握って、私は今日の仕事に取りかかる。
近所のおばさんが言うには、新婚の甘い雰囲気なんて早々に終わって続かないそう。
別にいいわ!
甘い雰囲気なんて、お互い生きてりゃ形を変えて、どうにでもなるの!!
「……デアシラ、痛い痛い痛い!強く握りすぎですから!!」
「幸せの痛みってやつよ!!
……っておい、其処の陰から『鬼嫁の尻に潰されたアル可哀想』って聞こえたぞ!!」
「デアシラ!それ物干し竿です!!デアシラ!!逃げてくださいお向かいのボビさん!!僕のお嫁さんは鬼ではありませんからーーー!!」
……買い出しに行ってた筈のお父さんにしこたま怒られたわ。何か怒られること多くない!?良いけど!!幸せだから良いけど!!
お読みくださった貴方に心よりの感謝を。
良き週末をお過ごしくださいませ。




