表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスターマスター 〜最強のスライム使い〜  作者: 旧暗
第1章 チュートリアル的なお話
2/62

俺とドラゴンとスライムと

 ──グオオオオオオ! グオオオオオオ! 


 どこからか声? のようなものが聞こえる。また、その声? というか叫びは到底人間のものでないことだけは分かった。


「うるさいなぁ……寝させてくれよ」


 そう言いつつ、重い腰を上げる。ったく、こっちはさっき刺されたばっかなんだぞ? 俺は悪態をつきながら 『あることを思い出す』

 そうだよ! 俺刺されたんじゃん! 


「ここどこだ!? 俺生きてるのか!?」


 なんで生きてるんだ俺! もしかして人間じゃなかったのか!? はたまた夢の世界とか!? 

 混乱しつつも俺はとりあえず状況を整理することにした。


 怪我……なし 服……着てる 記憶……ある

 うん、完璧! そうきっと目の前に見えるドラゴンも幻覚だ! 


 そうなんだよね、何かドラゴンいるんだよね。


 ──グオオオオオオ! グオオオオオオ! 


 何か叫んでるだけみたいだし、これ逃げれるくね? 

 状況が良く分かってないけど、二度目の死は免れたい! 


「キャッ! う、嘘でしょ。なんでこんな所にドラゴンが?」


 とか思ってたら、女の子がドラゴンに見つかってた。

 おいおい、現実世界と一緒のパターンかこれ? 

 まぁ刃物持った男だろうと、ドラゴンだろうと負けますけどね! 


 ここで俺が取るべき選択肢

 1.逃げる

 2.倒す

 3.助ける


 いや助けるしかないだろ! 行くぞ俺! 

 意気地なしの俺だが、流石に女の子を見逃すことはできず、走り出す。


 クソオオオオオ! こうなりゃヤケクソだ! 

 頼む! 俺が主人公なら覚醒するやつだろ! 

 異世界転生ってそういうことだろ! 


「あなた、モンスターは!? 生身じゃ無理ですよ!」


 女の子が生身で突っ込んできた俺に向かってそう言う。

 あ、そういう感じなの? いや俺いないよ! 独り身だよ! 上手いって? やかましいわ! 

 嘘だろ? また俺死ぬのかよ……


「やるじゃないか人間、囮になって女を守ろうとは」


 うおおおおお! なんか声聞こえてきた! 強いパートナー来るやつだろ! 

 頼む! 頼む! ソシャゲで言うならSSR来い! 


「私の力を貸してやろう。あの竜を倒すぞ」


 しゃあああああ! 勝ちパターン入ったな。嬉しくなってしまい、思わずガッツポーズを決めてしまった。

 大きな期待をしつつ、振り返るとそこには! そこには! 


「このマスタースライムがな!」


 ……スライムがいた。……スライムがいた。

 もう1回言わせてもらおう。


 ──スライムがいた。


「……行けんの? 相手竜だよ?」


 緊迫した状況の中思わず聞いてしまった。

 いや相手が相手だったからさ。

 RPGばっかやってたから分かるけど、スライムじゃドラゴンに勝つのは流石に厳しいんじゃ……


「私に不可能はない」



『スラフラッシュ』



 そう言ったあと何かスライムが光った。いや無理だろこれ。マジで光っただけだぞ。それにしてもすごい光だな……眩しいわ。

 呑気にそんなことを考えていた俺だったが……


 ──グガアアアアア!! 


 ドラゴン倒しちゃった☆

 このスライムクソ強えええええ! 

 呆気にとられている俺を前に、


「少年のこと気に入ったぞ。私が力を貸してやる」


 そうスライムが告げる。突然のことすぎてまったく頭に入ってこなかったが、とりあえず「あ、はい」とだけ答えておいた。


 ──マスタースライムが仲間になった! 


 いや仲間になった! じゃねえよ! なんだこれ! 

 まぁありがたいんだけどもね!? 


 良くあるライトノベル風に言うならば 「ただの人間である俺が異世界転生したら最強のスライムが相棒に!?」


 とかだな。うんこれいいタイトルだ。

 そんなこんなで現実逃避していたら、俺を呼ぶ声が聞こえた。


「あ、あの助けていただいてありがとうございました!」


 さっきの女の子がお礼を言ってきた。うんお礼を言われて悪い気はしないんだけどさ、

 ……マジで俺何もしてないんだよね。

 真下にいたマスタースライムに改めてお礼を告げると、


「なんと言ってもマスターだからね。すごいんだよ私は」


 と若干ドヤ顔で言われた。少しウザかったけどマスターのおかげで助かったしここはなにも言わないことにした。

 マスターって凄えや! そう改めて実感した俺でした。


「あのさ、信じてもらえないかもしれないけど、俺別の世界から来たんだよね」


「あ、そうなんですね! 命の恩人さんのお話なら信じますよ!」


 うわぁこの子騙されやすそう……可愛い子だし、本当に心配だ……

 聞くところこの騙されそうな女の子の名前は「アリサ」というらしい。


 助けてくれたお礼にこの世界のことを教えてくれると言うのでお言葉に甘えることにした。

 正直願ったり叶ったりだ。アリサに詳しい話を聞いて、現実世界へ戻る方法を考えよう。


「ありがとう、俺は櫻井雄二。ぜひ聞かせてもらいたい」


 ユウジさんよろしくお願いします! とお辞儀をしながら丁寧に返される。

 めちゃくちゃ良い子だ……1人感動した俺であった。


※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 そんなこんなでアリサの家に来たのだが……ここで女の子の家だ! とか言って、テンション上がるやつもいるだろう。

 だがしかし、ドラゴンやら馬鹿みたいに強いスライムやらのインパクトに比べたら全然薄い。

 ……そんなこと言って結構ドキドキしていたのは内緒だ。


 アリサの話をまとめると、この世界は人とモンスターが共に生活している世界らしい。

 当然モンスター同士を戦わせるシステムも存在しており、 『ランク戦』 と呼ばれるものに挑戦することで自身の強さを測ることができるとか。

 そして一通り話し終えた後、アリサがある物を取り出した。


「このモンスター手帳で全ての確認ができる上、モンスターを収納することもできます!」


 アリサが嬉しそうに手帳を出して来た。俺の世界より文明が発達してやがる……

 それよりこれあれだな……ポケ◯ンとかデジ◯ンとかにあるあれだな。


「俺ゲーム好きだから分かったけど、これ手帳に入れると回復するとかでしょ」


「おおおおお! 凄いです! その通り!」


 ──ゲームの知識は異世界でも使えるみたいです。皆さん活かしてください。


 ふとそんなことを考えていると、アリサがさらっと言い放った。


「マスターランクのさらに上──モンスターマスターになると、全てを知る『統率者』に会えるみたいですよ!」


 それはとてもありがたい! 現実世界に戻る方法を知っているかもしれない。正直現実世界にそこまで執着しているわけではないけど、やっぱり元いた世界には戻らないとな! 


「ユウジ。話は聞かせてもらった。私に任せておけ。今日から私達は相棒だ」


 一緒にいたマスタースライムが俺に向かって言い放った。どうやら、本当に俺を認めてくれたみたいだ。

 これほどまでに頼り甲斐のある言葉があったろうか。もちろん俺が断る理由はなく、返事をしようとしたが──


「おっと敬語はいらないぞ。対等な関係でいこう」


 バレてたみたいだ。お互いに微笑み、握手を交わす。運が良いのか、分からないけどとりあえず分かったことがある。


 ──俺が 『最強のスライム』 使いになったということだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ