表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/62

勇気を出したら死んじゃいました

 誰しも「死にかけた瞬間」っていうのを語りたがる。

 俺も一度はそんな経験を誰かに語ってみたいな、何て楽観的に考えていたんだ。



 ──昨夜


 どこにでもいる普通の学生「櫻井雄二」はその日もなんとなく日々を過ごしていた。


「あーあ、なんか面白いこと起きないかな」


 そんなことをふと呟くと、


「雄二はいつもそれだな!」


「武勇伝が欲しいんだもんな」


 友人たちに茶化される。


 いや、まぁね? 俺が変なこと言ってるのは分かってるんだけどさ……

 そうは言っても刺激的な体験なんてものをしてみたいんだよ俺は。


 ただ刺激的な体験ってのは、いきなり来るものということをこの時の俺はまだ知らなかったんだ。



 ──現在


「全員、全員殺してやる!」


 友人と別れ帰路に着く俺の前にそう叫ぶ男が。

 最初は撮影かな? なんて思ったけどそうではない様子。


「や、やめてください」


 どうやら女性を人質に取っているようだ。

 これ俺に救えってことか? 難易度高くね? 

 いやでもこれはチャンスなんじゃないか? 

 とりあえず突っ込んでみるか! 


「うおおおおお!」


 俺の渾身の体当たりが炸裂! 

 俺が漫画の主人公ならこれでみんな助かるんだけど.そうはいかないよなぁ。


「は? 誰だよお前は? もういい、お前から死ね」


 それは俺のセリフだと言いたいところだったが、そんな暇はなく、ナイフが俺の身体に刺さる。


 痛い、痛い、痛い、痛い──


 いやマジで痛すぎる。

 アニメやドラマはフィクションだったのかよ! あんまり痛そうじゃなかったじゃん! 

 あぁ、でも今俺が刺されたことで、あいつを取り押さえる隙が出来たようだ。


「大丈夫ですか! 大丈夫ですか!」


 さっき助けた女性が俺に向かって声をかけている。

 ここでカッコ良く、「大丈夫、君を守れて良かった」なんて言葉をかけれるやつが主人公になるんだよな。

 もちろん俺にそんな気質はない。


 ──だからとりあえず素直に思ってたことを言っておこう


「──将来は英雄なんてもんになってみたいもんだ」


 薄れゆく意識の中で俺はそう呟いた──

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ