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へタレ野郎とバスケットボール  作者: 束子
高校生編 二年生 春
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それぞれの想い ②

絢の視点になります

 目の前に座っている由佳ちゃんは機嫌が悪いみたい。


「絢、これからどうするの?」


 試合を見た帰り道に由佳ちゃんが、機嫌悪そうに「話を聞かせなさい」と言ってきたので、途中にあったファミレスに立ち寄ることになった。


(きっとさっき会ったみーちゃんの事だろうなぁ……)


 予想は的中して、席に座ると直ぐに由佳ちゃんの追及が始まった。


「えーっと、まずは……あのみーちゃんていう子は?」

「みーちゃんは小学校時代の仲良しの友達だよ」


 由佳ちゃんが私の返事を聞いて不思議そうな顔をしているので、私は小学校の頃の説明を簡単にした。


「その友達が宮瀬くんの部活のマネージャーをしているのは知らなかったの?」


 私が「うん」と頷くと、由佳ちゃんは少し呆れた顔をしていた。

 これまで何度も試合を見に来ていたけど、まさかみーちゃんがバスケ部のマネージャーをしていたのにはとても驚いた。試合に出場しているよしくんしか見ていなかったから普段ベンチにいるみーちゃんには全然気が付かなかった。

 みーちゃんとは中学の一年生頃まで頻繁に連絡を取り合っていたけど、それ以降はたまにメールするぐらいでこの一、二年は殆ど連絡をしていなかった。だからみーちゃんに会ったのも本当に久しぶりで、マネージャーをしていることも知らなかった。


 そして由佳ちゃんの本題はここからだった。


「多分、彼女は宮瀬くんのことが好きだと思うのよ」


 由佳ちゃんは怪訝そうな顔をしているけど、私はあまり驚きはせずに、さっきと同じ様に頷いた。何故ならそんなことは分かりきっていたから慌てることなかった。逆に由佳ちゃんは私の余裕がある反応を見て慌てている。


「な、なんでそんな反応なの?」

「ええっと……」


 最初の説明では、このことに触れていなかったので、詳しいことを知らない由佳ちゃんは私を見て動揺している。本当は、あまり触れたくは無かったけど、みーちゃんとの関係を今度は詳しく説明した。


「……絢、何で大事なことを言わないの」

「ごめんなさい……」


 由佳ちゃんは不機嫌な口調で、私は気落ちして俯いた。


「どうするの? これから……」


 私が弱気になった様子を見て、少し間を空けて由佳ちゃんは落ち着いた感じで尋ねてきた。


「でもね……みーちゃんに……敵わないんだなあ……」


 寂しい感じで私が下を向きながらゆっくりと呟くように返事をした。落ち着いてた由佳ちゃんが私の顔を見て今度は心配そうにしている。


「何でそんなに弱気なの?」

「ううん……それはね、宮瀬くんも好きなの……」

「はあぁ⁉︎」


 唖然とした表情をしている由佳ちゃんを見て、私はハッと気が付き言い直した。


「間違ってた、好きだったんだよ」

「あぁ、なんだ、過去形なのね」


 由佳ちゃんは安心した顔で落ち着いたみたいで、カップに入ったコーヒーを飲もうとしていた。私も気持ちを落ち着かせようと同じ様にコーヒーを飲む。


「確かに、過去形であっても絢が不利な状況なのは間違い無いわね……」

「……うん」


 俯きながら私は由佳ちゃんをチラッと見ると何か悩んでいる様子だった。由佳ちゃんの言う通り、よしくんとは学校が別々で顔を合わす機会は今のところバスケの試合の時ぐらいで後はメールなどのネットでのメッセージを送ることしか出来ない。後はたまに電話するぐらいで……

 みーちゃんは学校が一緒で、部活動も一緒なので一日中近くにいる事が出来る。いくら過去のことでもこれだけの差があるとなかなかチャンスがない様な気がする。落ち込んだ気持ちで俯いたまま暫く黙っていると、由佳ちゃんが励ます様な声で提案をしてきた。


「こうなったら、絢。待ってるだけではダメだわ……こっちから積極的に攻めないと勝ち目が無いよ、彼女の方が圧倒的に状況は有利だからね」

「えっ……」


 暫く黙ってぼんやりとしていたので、由佳ちゃんの話をちゃんと聞いていなかった。私は慌てて聞き返すと、由佳ちゃんが少し呆れた顔をしている。


「もう……だから敵わないとか弱気なことを言うのよ……」

「そ、そんなことないわよ……」

「まぁ、あまりのんびりとはいかないわね。宮瀬くんの試合予定は分かるの?」


 私の都合はお構い無しに由佳ちゃんが話を進めてくる。


「分かるわよ。一応、部活の予定も……」

「そうね……思い切ってデートに誘いなさい!」

「はぁ⁉︎」


 予想外の提案に私は驚いて声が出ない状態で目を見開き由佳ちゃんをジッと見つめた。


「打開策はこれしかないわ。もう絢を見ているとあまりに焦ったいから、これぐらいしないとダメだわ」

「えっ、えぇ〜、そんな……」


 困惑した顔で私は天を仰ぐと由佳ちゃんはニヤリと笑っていた。

 明日の試合で勝つと来月初めまで試合の予定はないので、週末に予定を入れてもらうことは可能だろうけど、どうやって誘ったらいいのか……


「そんな難しく考えなくても大丈夫じゃないの、普通に誘ったら、中学の時にも何度か一緒に出かけたりしてるじゃない」


 由佳ちゃんが笑みを浮かべて簡単に言うので、私は「そうだ」と助けを求める様な目で由佳ちゃんを見た。


「もう〜、私はついていかないよ。絢と宮瀬くんの二人きりでだよ」

「ううん、由佳ちゃんのイジワル……」

「意地悪じゃないわよ、絢」


 ムッとした顔で由佳ちゃんが見るので、私は落ち込んで小さくなる。ため息を小さく吐くと由佳ちゃんは私に優しい口調で話してきた。


「しっかりしなさいよ。絢なら大丈夫、想いは伝わるわよ」

「……うん。分かった……できる限りやってみるね」


 自信は無いけど、由佳ちゃんが私の為に真剣になって考えてくれているのだからここで頑張らないといけない……由佳ちゃんと顔を見合わせてはにかんだ。

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