表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ドラゴンキラー掌編

ドルガ・ルザ

作者: あびすけ






オレは裁きのいかづち、黒竜様の打ち下ろす鉄槌と共に、咎人に降り注ぐ滅びの落雷。オレが血を求めるのは黒竜様に忠義を示すためだ。オレが闘いを求めるのは敵を焼き滅ぼし、背信者を等しく塵に還すためだ。いいか。逃れられると思うな。オレはオマエ等の恐れる【死】そのものだ」


 哄笑と共に落雷が豪雨のように降り注ぐ。ロードルド海域に展開していた魔導艦隊が、極大魔法の嵐に呑まれ、沈む。


「呆気ないな。所詮人間だ。オマエ等ごときがオレを殺そうなど、笑い話にもならない」


 つまらなそうに呟く。


 ドラゴン、と呼ぶにはあまりにも小さな影が、ゆっくりと降りてくる。膨大な熱量に空間が歪み、海面が煮えたぎる。蒼い雷がぜ、鳴り、疾る。雷竜の身を包むのは甲蟲の外骨格と、堅牢な蒼竜鱗。魔蟲の凶暴性、竜の狂悪性。そして甚大な雷魔力マギ・ライネルス。立ち塞がる敵をことごとく撃ち滅するその化け物は、節目立ふしめだつ長い尾をかかげる。


 五統守護竜ガルゾディ・ドラゴンズの一柱。


 雷竜ジンライネル。


「そう、せめてオマエ等だ。なあ、生体兵器」


 ジンライネルの尾先にひとりの人間がぶら下がっている。雷竜の尾の鱗は一枚一枚が剣のように鋭く、棘のように逆立っている。尾先に集中した鱗は槍の様相をていし、まさしく魔槍と呼ぶに相応しい。胸を貫かれた人間は低くうめく。雷竜は獲物の腕を見る。


「【No.42】第二世代か、どうりでよく動く。だがな、オレの相手をしたいならせめて最初期番号オールド・ナンバーズを連れてこい。そして本当にオレを殺したいなら、No.11イレブンを使え。あの鬼神をな。ッカハハハハ、あの鬼、人狼どもを皆殺しにしたらしいじゃないか。さすがはゾラペドラス様の認めた男だ。しかしな、ボロスはオレが狩るつもりだった。オレは獲物を横取りされるのが好きじゃない。代わりにNo.11イレブンの首を黒竜様に捧げるとするか」


 その言葉に死にかけの生体兵器は顔をあげ、ジンライネルの顔面に唾を吐く。そして嗤う。


「サツキには誰も、勝てない。蒼い雷神ドルガ・ルザ、貴様でも、だ」


「まだ動けるのか。その闘志と殺意は驚嘆に価するが、あいにくオレは貴様などに興味がない」


 瞬間、尾が蒼い爆発を起こし、生体兵器は掻き消える。


 焦げた肉の残骸が海に消えていく。


オレが闘いたいのは真に強き者だけだ。オレを殺せるほどの強者ならなおイイ。死の淵を舐め、絶望的な闘いに勝利してこそオレの黒竜様への忠誠心が証明されるというものだ。イヤ、違うな。たんにオレが壮絶な殺し合いを求めているだけかもしれない。いまだ我執がしゅうからは逃れられないか。まあ、それもイイ」


 ジンライネルの狂笑がこだました。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どこぞの魔獣狩りさんとマッチするんか?
[気になる点] 何処の場面でこの回想入るのかがイマイチわからんとですw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ