10 この想いは何の花に喩えられましょう
私は、えいやっと第4話の投稿を行った。
第4話の内容は下記のような感じになる。
なんとか黒ずくめの集団を撃退したセイ。
黒ずくめの集団の狙いは自分であったことを知ったセイは、このまま村に留まっては皆に迷惑をかけることになってしまうと判断する。
そしてセイは、アティの旅に同行させてもらう形で、村を出ることを決意するのだった。
旅の途中、セイは右手の痣の正体が“聖痕”と呼ばれるものであること。そしてアティの旅の“目的”について知ることになる。
第4話はいわゆる『説明会』と呼ばれる内容になるが、“聖痕”についてや、ヒロインの“目的”が明かされる等、重要な回になっている。
そして、その旨を『活動報告』にも書いた。頑張って書いた。
まだ新規投稿がされていないため、友人への『感想』はまだ書いていないが、投稿がなされ次第、『ネット上』にて感想を返す所存だ。
さて、これで人事はなるべく尽くした、あとは天命を待つばかりである。
――数時間後。
入浴を終えた私は、就寝までの時間をアニメを観つつ、のんべんだらりと過ごしていた。
今期は『少女週末旅行』というアニメが気に入っている。
内容は二人の少女が週末の世界を旅するだけの取り留めの無い話なのだが、パラパラ漫画風のエンディングアニメーションの出来がとても素晴らしく、毎回見入ってしまうのだ。
なお、週末の世界って何? という疑問を持ってはいけない。
アニメを見終わり、あくびを一つ。
そろそろ寝ようかな、と思い始めた時のことだった。
私は『それ』を目にして驚愕する。
初めて小説を投稿したあの日から既に4日が経過していた。
この4日の間、評価らしい評価を受けたのは友人が付けてくれたブークマーク1件のみ。
他には誰からも評価されておらず、本当に読まれているのかさえも分からない。
それが私の小説の現状であった。
つい、数時間前までは――。
既に日課になりつつあった、就寝前にブックマーク等が付いていないかを確認する作業。
昨日までは、期待とはうらはらに変化のない現状に大いに落胆していたものだが……この日、この時、ほんのわずかではあるが、状況に変化が訪れていたのだった。
そう、ブックマーク件数が、1件から、3件に増えていたのだ――っ!
「――いっよっっっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
深夜だというのに近所迷惑だとかそういったことを考える余裕もなく、思わず私は吠えていた。
もし私が実家暮らしであったなら、両親が何事かと部屋に突入してきていたに違いない。
再度ブックマーク件数を見直す。見間違いなどではない。そこには間違いなく『3件』の文字が記載されていた。
客観的に見れば増加したブックマークの件数は、たったの2件である。
しかし、たかが2件、されど2件。
今回から活動報告を書いたのが効いたのか、今回の話の内容が評価されたのか、それとも単にたまたまなのか、それは分からない。
しかし、この2件は紛れもなく私がこの手で勝ち取った、誇るべき2件であった。
顔をほころばせる。頬の筋肉が、頭頂部を目指さんとばかりに駆け上がり、元の位置に戻ってくれない。
私はこの感動を誰かに伝えたくて、この時間帯なら既に寝ているかもしれない、と思いつつも友人にメッセージを送ってしまう。
幸いにも友人はまだ起きていたらしく、すぐに祝福のメッセージが返ってきた。
それから私たちは、明日も仕事だというのに、喜びを語り合い、祝福し合う。
お互いの今後の小説の展望を話していたかと思うと、いつの間にかくだらない話をしていて、かと思えば再び小説の話に戻っていた。
この時ばかりは私と友人、二人の社会人は、子供だった。