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ささくれ黙示録 ~ショートショート集・ソノ1~

ショートショート025 絶望

作者: 笹石穂西

 外は雷雨だった。


 男は、絶望の淵に立たされていた。


「嘘だろ相棒……」


 それは、いきなりのことだった。


 相方が一瞬苦しそうなうめき声をあげたかと思ったら、直後に意識を失ったのだ。


 あまりにも突然の、にわかには信じられない、信じたくないようなできごとだった。


 小刻みに震える手で、軽く相方の体をゆすってみた。しかし相方は、目を覚ましたりはしなかった。何の反応も返ってこなかった。


 想像もしていなかったこの緊急事態に、男はしばし呆然としていた。だがすぐに我に返り、自身を叱咤し、奮起した。


 頼れる者はここにはいない。相棒を、俺の大事な相方を救えるのは俺だけだ。俺にしかできないことだ。俺はこいつを、何としてでも救わなければならないのだ。


 男は必死に手を尽くした。できる限りのことを試した。電話をかけて助けを求め、指示を受けたとおりに行動し、あらゆる知識を総動員して、相方を救おうとした。




 しかし、どうすることもできなかった。


 相方は、まだ意識を失ったままだ。


 時間もけっこう過ぎてしまった。


 もう、だめだ。




 男はしばらくのあいだ、がっくりとうなだれていた。


 しかしやがて顔を上げ、窓の外をキッと睨みつけ、すうっと深く息を吸い込んで、絶望の声をとどろかせる。




「雷のバカ野郎! 明日は、もう二回も延ばしてもらった締め切りなんだぞ! 原稿のデータを今すぐ返せ! 返してくれよお……」

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― 新着の感想 ―
[良い点] うーん。落ちがぜんぜん読めなかった。 すごい発想ですね。
[一言] 読ませていただきました。 もし実際に起こったら、放心状態になるかもしれません。
[一言] 原稿が書けなかった時のいいわけトップ5にはいそうです。本当になったら発狂しそうですけど
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