第1章 -1
使い魔にタランチュラのちゅらさんを従えることになった俺だったが、一つ疑問に思ったことがある。タランチュラのエサの確保だ。
調べてみるとタランチュラは虫を捕食するらしい。虫かぁ……あげるのキツイなぁ……
そんなことを考えて少しブルーな気持ちになっていると、申し訳なさそうにちゅらさんが話しかけてきた。
「ご主人様……申し上げにくいのですが……」
「気にすることはないよ。遠慮なく言ってくれ」
「私…………お腹が空いてしまいました……」
早速か! 中庭で良さげな虫でも探すか?
「分かった……ちゅらさんの好みは分からないが、昼食にするか。何食べるの?」
「私、実は好物がありまして……」
「好物? それは主としては聴いておかなければならないな。是非教えてくれ」
「私……アツアツのワンタン麺が大好きなんです!」
「えぇ! 君は昆虫だろう!? 麺をすするところなんか想像出来ないし、アツアツのスープは身体が持たないだろう!」
いけないついついツッコんでしまった……
「ワンタン麺……食べられないんですか……?」
今にも泣きそうな声でちゅらさんが訊いてきた。
「確か学食にはあった気がするから、一緒に行こうか」
「本当ですか! うわー嬉しいです!」
ちゅらさんは目をキラキラさせて喜んでいる。
ちゅらさんと一緒に学食へ行くことにした。
「スープアツアツですかね?」
あ、やっぱりそこは気になるんだ……
「ここのワンタン麺、とっても美味しいですぅ!」
「ほぅ……美味しかったら連れてきた甲斐があった」
どうやら学食のワンタン麺は当たりだったようだ。喜んでくれて俺も満足だよ。ああ、俺がよく頼むカツカレー、今日も美味しいなぁ。
「お食事が終わった後ですが、少しお話をさせてもらってもいいですか?」
ちゅらさんが改まって話しかけた。
「私……使い魔になるまでに……その……お友達が居なかったので……ご主人様以外にも気さくに話しかけられるお友達が欲しいです!」
そっかぁ。俺もまだこの学校に入ったばかりだし、クラスメイトなりに話しかけて友達を作らないといけないな。
「そうだな。俺も入学したてだからアテがない。ちゅらさんと一緒に友達を作るよ」
「本当ですか! 一緒に頑張りましょうね!」
この学校で頑張ることがまたひとつ増えた。