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序章

おとぎ話を読んだことはあるだろうか。王子様のキスで目覚めるお姫様もいれば、お姫様に毒を盛るような悪い魔女もいた。

一度はおとぎ話のように魔法を使ってみたいなと考えたことはないだろうか?

もし、魔法が使えるなら何をしたいか? もちろん人に毒なんて盛らないし、自分に都合の良いようには使わない。

ーーただ、誰かの役に立ちたいーー

俺、上山祥一郎はそう考えていた。


俺の家系、上山家は先祖代々から不思議な力が使える家系だった。昔は神様から授かった生得ものの神通力だと考えられていたようだが、現代においては魔法と言って差し支えないようだ。

昔は魔女狩りなんてあったらしいが、現代においては魔法使いが存在することは世間の人々も知っている。魔法使いの魔法に助けてもらって生きていることを彼らは知っているからだ。

俺の両親は世界中の人々に魔法をかけて幸せになってもらうべく各地を転々としているようだ。俺もいつかはそんな暮らしをするようになるだろう。

魔法と言ってもどんなものがあるかと言っても様々だ。魔法使いとして絶対に体得しなければいけない魔法は、回復魔法だ。この魔法を人々にかけることで、心と体の疲れを取り、明日も頑張ろうーと思ってもらうのが魔法使いの仕事だ。何気無い言葉で救われるた人々は多い。これが魔法なのだ。これをひっそりと行うのが魔法使いなのだ。

また人々に害を与えるような魔法は禁忌とされていて基本的には使えない。ただし、例外はある。自分の身を他の魔法使いから守るためには攻撃魔法は使える。

魔法は自分の魔術書に術式を書き込んだ後、練習で体得することになる。体得出来れば利き手に体内の魔力を集中させ、口から呪文を唱えれば魔法は発動する。体内の魔力量は個人差があり、また魔力の微調整は非常に難しい。魔力≒体力であり、魔力が減れば体に疲労として現れる。

ちなみに 俺はほうきで空を飛ぶことができて、炎系の攻撃魔法が使える。回復魔法の修練は意外と難しい。それを覚えるために通う高校が、西南里北東(にしみなみざとほくとう)高校である。

全部の方角が書いてあって非常に伝わりにくく読みづらいので小高い山の上にあることからリトルハイスクールと呼ばれている。中学校ではないんだけどな。

この高校のクラス名は格好をつけているためか、宝石名だ。4クラスあるのだが、内訳は、ダイアモンド、クリスタル、パールそして、ウニ。いやウニは海産物だろって思っただろうが、彦○呂さんから言わせたらウニは宝石の類になるだろうって……あんまりじゃないか?

また4クラスもあるんだからまかり間違ってもウニクラスに入るわけないって思っていたらクラス分けを見たらウニクラスだったし……

魔法学校なんて日本にはここしかないんだから仕方がないのだが……海外の魔法学校が羨ましい……

そして、魔法使いのお供である使い魔の抽選が始まった。使い魔は魔法使いの仕事をサポートする存在だ。複数の使い魔を自在に操る魔法使いもいれば、一匹を大切に扱う魔法使いもいる。高校にいる間は抽選で決まった使い魔しか使役することが出来ない。

くじ引きで決まる使い魔……ガラポンから出た数字を読み上げる。

俺の使い魔は……黒いタランチュラだ……触れないよ!

俺が完全にタランチュラにビビっていると、タランチュラが俺に話しかけてきた。

「私、魔法使いの使い魔になれて本当に嬉しいです。えっと……使い魔の間ではちゅらって呼ばれていたので、これからは”ちゅらさん”って呼んでくださいね」

えぇーまさかの女の子? 声めっちゃ可愛いじゃん! ちゅらさんって沖縄の方言で美しいだっけ?

俺は不覚にも声には少し惚れてしまった。

「あ……あぁ、俺は上山祥一郎って言うんだ。よろしく……もっとなんていうか……使い魔って鳥を想像していたからさ……驚いちゃって……」

俺は頭を掻きながら言う。

「いいえ、大丈夫ですよ。よく驚かれますから……私めは使い魔ですから、これからはご主人様と呼ばせて頂きますね」

「いや……それは……照れるというか……」

「照れるなんて……可愛いらしいですね。あの……肩の上に乗せてもらっても良いですか? 使い魔なのでご主人様体の一部となって粉骨砕身して参りますので、何卒……」

あれ? なんでこんなイイ雰囲気になっているんだ? 相手は……大きめの蜘蛛だぞ……だけど、使い魔は肩とか腕にいるイメージがあるからいいか……

「わかった……俺の左肩は今日からちゅらさんの場所だ。よろしくな」

俺はちゅらさんの前に右手の手のひらを差し出した。ちゅらさんは”失礼致します”と言った後手のひらへゆっくりと歩いていった。そして俺はそっと左肩の上にちゅらさんを乗せた。ちゅらさんは俺の肩を落ち着きなさそうに2、3往復したあとこう言った。

「肩幅広いんですね……とっても暖かいです……シャンプーの香りも素敵です……なんだか……我慢出来なくなって……」

俺は唾を呑んだ……俺の使い魔とは言え、こんな言葉を肩越しに語りかけられるなんて……次にちゅらさんから紡がれる言葉を俺は促した……

「我慢出来なくなって……どうしたいんだい?」

「首筋の辺りを…………甘噛みしたいです……」

「それはダメー!!」

あんたタランチュラなんだから毒持ってんだろ!

そんなこんなで、ちゅらさんとともにリトルハイスクールで魔法を学ぶことになった俺であった。

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