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修学旅行の思い出という題で、絵を描きましょう

作者: にゃあ

 初めまして、にゃあと申します。今は無き「すぴばる」で何編か投稿しておりました。

 にゃあは、基本的に長いものが書けない字書きです。こちらでも、幾つか、短編を投稿させていただきたいと考えています。

 よろしくお願いいたします。

 さて、今回は、三題噺。『課題』『水族館』『教卓』です。


 教卓の上にうずたかく積まれた課題の絵の山を見ながら、私(20代後半女性、教師、独身)は途方に暮れていた。


 先日、私のクラス、6年3組は関西方面に修学旅行に出かけた。

 帰ってすぐに、「修学旅行の絵」という課題を子供たちに課したわけであるが、ここまではごく普通の出来事だ。

 違和感を覚えたのは、子供たちの反応である。

 まず最初に、一人の女子(体格的には、私を十分に圧倒している)が、手を挙げて質問した。

「先生、水族館の絵でもいいですか?」

「もちろん、いいですよ」

「では、水族館の絵を描きます」

 おかしい。

 私は笑顔で答えながら、胸の中ではどろどろと黒いものが渦巻くのを感じている。修学旅行の絵と言われて、行った先の一つ一つを確認するなんて・・・・。低学年の子供たちでもあるまいに。

 そのあとも、何人かの女子が同じような質問をした。

 この年代の子供は、特に女子は体格的にも精神的にもグンと大人びてくる。一方の男子は、完全に女子に置いてきぼりをくわされる。下手をすると、高校1年生くらいまでこの状態が続いたりする。

 そんな女子たちが、このような質問をすると言う事は・・・・。本当に分からないのではない。私の許可、すなわち言質を取ろうとしているのだ。

 子供たちが、絵を描いているのを眺めながら、私は、O市の巨大な水族館のことを思い浮かべた。

 この水族館は港に面したビルの中にあり、先に最上階にあがってから、螺旋状の通路を降りつつ水槽の中を見学する。

 水槽を泳ぐ珍しい魚たち。赤い絨毯、薄暗い照明、広い通路。何か見落としているものがあるはずだ。


 放課後、私は、乾燥棚の金網の上から子供たちの絵を集め、一枚いちまい教卓の上で確認をしていった。

 映画をモチーフにした遊園地や動物園の他に、水族館の絵が何点か見つかった。

 そのうちのほとんどが、真っ黒な絵だった。

 心理学的に言えば、真っ黒な絵は、要注意の絵である。

 けれども、この絵はそんな絵ではない。

 真っ黒な中に一様に、人物が書き込まれている。

 若い男と、女。

 抱き合ったり、肩を寄せ合ったり。

 キスのアップまである。

 そうか。私の言質を取ったのは、これを描くためだったのだ。

 あの水族館は、デートスポットとしては有名なところなのだ。子供たちは魚たちそっちのけで、暗がりで愛をささやくカップルに興味津々だったに違いない。

 こんなもの、教頭に見せられるかああ。

 ああ、勤務評定が・・・。

 頭を抱える私。


 私は、なにげなく一枚の絵を裏返した。

 そして、そこに書かれた文字に、さらに愕然とした。

 そこには、こう書かれていた。

「先生、うらやましい?」


 前書きにも書きましたが、基本的に長いものは書けません。

 以前書いたものと、登場人物が似通っていると、合わせて、合わせて、まるで群体のごとく長編になったりもします。

 魅力的な登場人物(あくまでも、にゃあにとってですが)が出来上がると、シリーズ化することもあります。

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