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(ここはどこなんだろう)
裸足のまま、ぺたぺたと床を走り、ドアノブに手をかけた。開いたドアの隙間から、冷たい風が吹きこんでいる。そのままドアを開けると、私は目を丸くした。
ーそこには信じられない光景が広がっていた。
まず圧倒されたのは、思わず声を失うほどの、高い高い木。普通じゃないくらい。
背丈がとても高い針葉樹で、私の身長の何十倍もありそう。
地面には柔らかい草が生えていて、先端の丸まった茎のような植物があちらこちらに生えていた。
「私の他に…誰もいないの?」
バルコニーを下りて、自分がいた家を見渡してみた。
まりあって名前が書いてある…まるで私のために用意されたみたい。
…どうして、誰がこんなことをしたの?
私は一体、今どこにいるの?
「…んーと……んん?」
……そんなの考えてもわかるわけないか。
…分からないことを延々と考えるよりも、随分と久しぶりに見上げた青い空に、私はただただ心奪われていた。
せっかくの久しぶりの外だもの。夢でもなんでもいい、細かいことなんてどうでもいい。
遊びたい…!
私は草むらへ駆け出し、素足で走り出した。
胸いっぱいに、新鮮な空気を吸いながら。