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再び目を覚ましたとき、真っ先に目に飛び込んできたのは、灰色の天井だった。
目を横に向けると、古そうな本や人形や、かまどに暖炉……誰かの家みたい。
「…ここは、どこ…?」
死んだんじゃなかったの?
ちゃんと感覚がある。
温度も痛みも感じるし、体も動かせる。
私はゆっくりと体を起こした。
けれど、いつものように、痩せて深く突き出た骨で痛みを感じることはなかった。体も少しふっくらしているような気がする。
「…………私、なのかな」
ベッドからゆっくりと下りて、部屋の隅にある大きな鏡に向かって歩いて行った。そして、全身を映した。
紛れもなく、私のようだった。
切り揃えられていない長い茶髪も、顔も。
けれど、あの棒切れのようだった細い足も腕も、普通と言えるだけの太さになっていた。