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別れても友達はふった方のエゴ

戻りたくないあの夏を俺は繰り返す。

出口のない夏休み。

苦悩と葛藤の日々。

青春はいつも辛く苦しく

悲しく傷つくものだ。

「戻れないあの夏を俺はまた繰り返す」



俺は夏休みから抜け出せなくなっていた。

あれだけ戻りたかったあの日に戻れず、

戻りたくもない夏休みを繰り返している。


1章「別れても友達はふった方のエゴ」

俺は夏休み前日そう終業式彼女にフラれた。

それも2年間付き合った彼女に。

夏休み前日だぞ?

テンションハイ!だぞ、なのに?

高校2年の夏は最後の夏。

来年は受験で夏休みも勉強地獄。

一般的には学生最後の夏なのに、

花火大会、肝試し、お泊りデート

あわよくば童貞卒!!

その夢すべてが儚く散ったのだ。

彼女から別れを切り出され、

俺は何も言えず

俺の儚いランデブーはおわった。

彼女の最後の言葉は、

「別れても友達だよ」だった。

エゴだ。

まぁ別れるときには付き物の言葉だった。

ほぼ1週間俺は泣き崩れていた。

まさに悲劇の主人公のように・・・。

追い打ちをかけるように

別れた彼女はもう違う彼氏を作っていた。

あのくそ尼が。

SNSなんて・・・。

SNSが裏目に出たのだ。

俺は彼女と新しい彼氏を死ぬほど恨んだ。

よりを戻す?ないね。

俺は俺のことが好きな彼女が好きだった。

違う男が好きな彼女なんてただのメス豚だ。

中学でひねくれていた性格が、

ここでまたひねくれてしまった。

俺はそのぽっかりと空いた彼女の穴を

アニメで埋めた。

今まで馬鹿にしていたアニメ、

泣き崩れ深夜テレビをつけるとやっていたアニメ。

くだらないことの連続、

日常と言いながらまったくの

非日常にあこがれた。

俺は所謂アニオタになってしまった。

アニメの中のうっふきゃははしている彼女たちは

決して俺を裏切らない。

俺はそんな存在がほしかった。

俺が安定できる、俺の心のよりどころを。

ある女友達に言われたよ。

「愛されたくば、人を愛せ」

今の俺にはくそみたいな言葉だった。

愛される確証もない相手を愛すなんて、

それが普通の恋の始まり方なのだが、

フラれ満身創痍の俺は、

到底理解できなかった。

俺の夏休みは終わった。


始業式当日俺は重い体を起こし

学校へ行く準備をした。

聞き覚えのあるニュースが流れていた。

「長いことやってんだなこのスキャンダルも」

俺は急ぎ足で学校へ向かった。

いつも通り熱い通学路だ。

こんなことならチャリじゃなく

バスで行けばよかったなぁ

家を出てそう思った。

今日は始業式だ。

体が重い彼女も同じ高校なのだ。

不幸中の幸いで クラスは別なのだ。

式のため体育館へ移動する。

そんなとき別れた彼女とばったり

あってしまった。

俺は彼女の顔をみれなかった。

とても気まずい。

彼女の友達も、ひそひそと

何か話している。

くそ尼どもが。

階段から転げ落ちろ。

そんなことを思いながら

体育館へ向かった。

式が始まり、また校長の長話だ。

死ぬほどつまらん。

もっと簡潔に話せ。

こんな恒例行事に飽き飽きだった。

ふと、彼女も俺のことを

飽きたのかそんなこと思いながら

式は俺の思いとは裏腹に くっそ長く続いた。

式が終わると、

各教室に戻りHRが始まった・・・。

「明日から夏休みだ。羽目を外すなよ」

先生からは予想だにしない言葉が・・・。

俺は笑いながら横の友達に、話しかけた。

「先生とうとうボケたか」

友達は不思議そうに俺を見る。

みんな本気で明日から夏休みだと思っているらしい。

慌ててスマホを取り出した。

日付は・・・。

「7月20日・・・。夏休み前日・・・」

来るはずの始業式当日8月31日じゃない。

俺が混乱しているのをよそに、

HRも終わった。

これが現実で7月20日終業式もうすぐ別れ。

別れを告げられることになる。

昼からは彼女が家にきて、

別れを告げるそんな日だ。

前と同じように俺は彼女と一緒に家に帰った。

もちろん、話などできなかった。

「俺のこと好き?」

俺は震える声で彼女に聞いた。

「・・・もちろん」

引きつった笑顔だった。

そしてその日俺はまた彼女にフラれた。

また言えなかった。 嫌だと。

声にならない俺の思いは、

彼女には届かなかった。

「別れても友達だよ」

彼女は涙をぬぐいながらつくった

笑顔で俺にそう言った。

まただ、俺の戻りたくもない夏休みが始まった。



6章編成予定です。

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