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4話

ラヴィーネさん話がメインです


サブタイトル表記どうしよ……

********


とりあえず、なにも予想外のことが起こらなければ牢屋の私とラヴィーネさんとミーシャさんは今日と同じようにここに来るので、待機しているように、ということでお開きとなった。


結局あのあとハルトとは一言も口をきかずにさっさと天井の中へと入っていってしまった。私とアキラスが話している間中ずっと睨まれていたような気がしたのは気のせいだったのだろうか。視線は感じたのは確かなのだけど。


彼らが去ってすぐにラヴィーネさんから「早く寝てしまいましょ」というお声がかかり、そのまま眠りに入ることになった。確かに明日は色々と動くし、早く寝るに越したことはない。


この牢屋に入って二度目の夜だけれど、そろそろ身体を洗いたい。髪がちょっとだけしっとりとしてきたし、お手洗いの水しかないから、さすがにそれでは洗えない。


でも、明日にはここ出られる。出してもらえるのだ。色々と予想外のことが続けているけれど、ここを出してもらえることが何よりもいちばん予想外で嬉しいことだ。

嬉しいことだ、と思い浮かべながら眠りにつこうとしているはずなのに、なぜだろうか。まぶたを閉じると、頭の中が一面茶色くなるのだ。そう、まるであの、麻袋の中に仕舞われたときのように。

私はあのとき特に見てはいけないものをみたわけではないのだが、だからこそなのだろうか、自分で何も見えない状況になることが心底怖いのだ。目を閉じては飛び起き、また閉じては飛び起きを数回行ったころだろうか、もう横になっていたラヴィーネさんが突然体を起こしたので、私がうるさくて起こしてしまったのだろうかと思い、謝ろうとしたら、ラヴィーネさんは私に抱きつき、そしてそのままゆっくりと体を倒した。当然、私の体も横になる。それからしばらくの間、ラヴィーネさんは私の体を撫でるように優しくさすってくれた。不思議と体は暖まって、目を閉じて頭に思い浮かぶ世界が一面茶色くても大丈夫になった頃、ラヴィーネさんから話しかけられた。


「私とラディの母親はね、ある貴族のお屋敷に勤める住み込みのメイドをしていたの」


モノローグでも始めてくれるのだろうかと思い、眠くなったら寝てね、という彼女の言葉に甘えて目を閉じて待っていると、彼女から思わぬ爆弾が落とされた。


「そして同じ屋敷で庭師をしていた父と共に幼い私とラディをのこして、ふたり一緒にこの世を去ってしまった」


私は閉じかけていた目をついバッと開けて、ラヴィーネさんの方を凝視してしまった。


「状況は今回とほとんど同じ。不正を犯した当主が国に断罪されるときいて、本当に不正に加担した使用人たちはそれぞれ己の罪を自分より下の使用人のそれぞれなすりつけて、屋敷からそそくさと逃れたの。そして両親は不幸にも、ふたりとも罪をなすりつけられてしまってね。ふたりは何の弁解もなく、国から騎士の方々が捕縛しに来る前日に互いに互いを刺し合って死んだの。後から私の両親になすりつけたふたりもまた夫婦であったということがわかったのだけど。でも実際には何もしてないのだから弁解の余地もあったはずなのよ。」


悲しそうに瞳を伏せたラヴィーネさんは目頭に涙を潤わせて、口元を歪めた。


「……最近になってね、両親と同じ屋敷に勤めていて今でも良くして下さってる方がいらっしゃるのだけれど。この間、顔をあわせる機会があって。そこで教えていただいたの」


あなたたちの親御さんは、あなたたちを守るために、濡れ衣を被ったのよ。


「かわいいかわいい双子の命はお前達の選択にかかっている、と言って脅されていた姿を目撃したんですって」


これほど辛いことが他にあるだろうか。

頭の中が一面茶色とかどうでもよくなってしまった。なぜ死んでしまったのかと疑問に思っていた親の死が、実は自分が理由だったと知らされたのだ。辛くないわけがない。


「それでも生きていてほしかったと思うのは、傲慢かしらね」


そう言って涙を一筋ながしたラヴィーネさんに私が唯一出来たことは、必死に頭を振って彼女の憂いを否定することだけだった。



早く寝ましょうと私が言ったのにごめんなさいね、と謝られて、また体をさすってもらいながら今度こそ夢へ落ちていった。


明日は無事にここから出て、使用人たちをみんな捕らえることに貢献しよう。

私自身にできることなんてのは大人しく牢屋で待ってることぐらいかもしれないけど、それならせめて気持ちだけでも。


*********


そう思って眠りについたのが昨日の夜。

そして今はおそらく夕方ごろ。


正確な時間の頃はわからない。なぜなら今この部屋には窓がない。ちなみに言うと牢屋には風を通すための小窓がひとつ、上の方についている。(格子つき)


まあつまりはあれだ。

出されてしまったというわけだ、牢屋を。


手には相変わらず枷がはめてある。変わったのは脚にも枷がついたことくらいか。部屋は牢屋に入れられる前と同じだし。

部屋は同じでもあの中年貴族はいない。私をここまで連れてきたのは同じ召使いだったのだが。


召使いが牢屋の前に現れたときは私はまだ寝ていて、ラヴィーネさんとミーシャさんが必死に起こさないでくれと言っている声を頭でなんとなく聞きながら、その声に甘えて寝たままでいたところを叩き起こされたのだ。


しかもまた左頬。痛い。

冷やし続けてそれなりによくなった私の左頬だったが、完治するには至らず、青黒い痣となって未だ私の頬の上に居座っている。


また麻袋かと警戒していると、召使いがどこからともなく足枷を取り出してさっと嵌めてしまった。そして座り込んでいた私に構わずに簡単に肩に担ぎ上げてここまで連れてこられたというわけだ。



それにしても……


『予想外のことが起こらなければ』



予想外のこと、起こっちゃってますけど!


短くてすいません


次で一区切りつくと思います

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