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銀龍の操獣士  作者: 裕裕
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監禁

 会議室に呼び出された海斗を含めた数人の成績優秀者の前で、教官の伊藤が口を開いた。

「いいニュースと悪いニュースがある」

 こういうことを言う時、大抵どちらも悪いニュースだということを海斗は知っていた。

「まずは悪いニュースからだ。昨日、護送中の神宮寺が仲間の助けを借りて逃走した。詳しい捜査状況については明かせないそうだが、現在は島の外に逃げたと考えられている」

 喜んでいいのかどうかわからない。

 神宮寺が逃げたのは大問題だがあのまま死刑にされていても、海斗としては後味が悪かった。

「次はいいニュースだ。逮捕したテロリスト連中から、やつらのアジトを聞き出すことに成功したそうだ。現在、島の外に偵察部隊を派遣して確認を取らせている。詳しいことは後ほど話す予定だが、そこを潰せば近頃の害獣たちの馬鹿げた襲撃の回数を大幅に減らすことができるはずだ。しかし、不幸なことに連日の害獣たちの襲撃で我々の戦力は急激に低下しているし、一時的にでも、島の防衛力をあまり下げることはしたくない……そこで、アジトへの襲撃作戦には君たちにも協力してもらう……言い忘れていたが、この作戦が終わるまで君たちを解放することはできない。作戦の参加を拒否することはできるが、その場合は、軍規違反として一年間の懲役刑を受けることになる」

 いくらなんでも、訓練生相手に横暴ではないかと思ったが、あちこちを害獣たちに占領されている島の現状を考えれば、あまり呑気なことも言ってられないのだろう。

 怜香の姿が見当たらないうえいつもより集められている人間の数が少ないので、不思議に思っていたが、大事な作戦だけに確実に戦力になるものだけを集めたのかもしれない。

 その後、海斗たちは軍の施設に連れて行かれた。

 個室は与えられたが、部屋の外から鍵をかけられ、監禁状態と言っても良かった。

 急なことだったのでさっきまで実感がわかなかったが、このまま戦いに駆り出されたあとそのまま死ぬかもしれないことを思うと身震いした。

 あれだけ死にたがっていたのだから、このまま死ぬのも悪くないという気持ちと、どんなに辛い目にあっても生きていたいという気持ちが彼の中でせめぎ合っていた。

 自殺を考えるたびに思っていたが、どんなに死にたくなっても死の恐怖だけは絶対に付きまとってくる。

 怜奈もこんな気持ちだったのだろうか。

 結局、彼女に対して償いをすることはできなかった。

 それどころか、悲しみと怒りと罪悪感とで精神が破綻した怜香の弱みに付け込んで、彼女を自分を慰めるための道具にしてしまった。

 彼女にはいまだに本当のことを話せてない。

 しばらく布団にくるまっていたが、海斗は体を起こすと、紙とペンを取り出した。

 もちろん怜香に手紙を書くためだ。

 今からでも、本当のことを彼女に伝えたかった。

 自分が死ぬかも知れない状況に陥ってから、こんなことをするのは卑怯だと思うが、こんな状況にでもならなければ自分はペンを取れなかっただろう。

 海斗は頭の中で考えをまとめてから筆を進めた。

 変に飾った文章を書いたり、言い訳がましいことを書きたくなかったので、下書きはしていない。

 海斗は書き終わった手紙をたたむと、封筒に入れて、宛名を書いた。

 あとで夕食を運んでくれる係員にでも渡そう。

 中身をチェックされるかもしれないが、軍事的に問題のあることを書いているわけではないので特に問題はない。

 余計なことを考えて、決心が鈍らないようにするために、海斗は夕食まで眠ることにして、ベッドに入っていった。 


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