欲望
いつの間にか、朝になっていた。
体がだるかったので、二度寝しようとして、布団をかぶったが、怜香に阻止された。
「起きてよ。いつまで寝てるの? これから隙を見て寮に戻らないといけないのに」
怜香は海斗の華奢な体を揺さぶった。
渋々、海斗は布団から這い出して、大きく伸びをした。
睡魔と闘っている海斗に呆れるようにため息をつきながらも、怜香は自分の布団をまくりあげて、シーツを見た。
「あーあ、やっぱり血がついてる。まあ、いっか」
怜香は自分の布団を畳んで、隅に押し寄せると、ハンガーでカーテンレールに掛けている服に触った。
「まだ、ちょっと冷たいけど、だいぶ乾いたみたい」
そう言って、怜香は海斗に彼の服を渡した。
服を受け取るときに、はだけた浴衣の胸元から、前かがみになった怜香の非情に深い胸の谷間が見えた。
前かがみになっているせいで、普段より大きく見える。
海斗の視線に気付いたのか、怜香は照れ笑いを浮かべて、彼の頭を小突いた。
怜香はあくびを一つすると浴衣を脱ぎ捨てた。
下着を身につけてなかったので、全裸になる。
昨日は月明かりしかなかったので、よく見えなかったが、日の光を浴びた彼女の体はただただ美しかった。
程よく筋肉がついて引き締まった細身の体は、出るところはしっかり出ており、豊かに実ったGカップの乳房も、丸みのある臀部も重力に抗うかのように張りがあり、綺麗な形をしていた。
豊かな乳房の先端の可愛らしい突起は、色素が薄めでツンと上を向いている。
体毛の薄い白くなめらかな肌は、生まれたての赤ん坊のように汚れがなくすべすべとしていた。
すらりとした四肢を艶かしくくねらせながら、怜香は衣服を身につけていく。
昨日は恥じらいを見せた怜香も、海斗に対して自らの肉体を晒すことにもう抵抗がないようだ。
海斗は怜香の美しく扇情的な肉体に見とれながら、口元を僅かに歪めた。
「僕のものだ」
自分でも無意識のうちに、ほとんど聞き取れないほどの小さな声で海斗は呟いた。
子供の頃から、海斗はあまり周りに反発せずに自分を殺して生きてきた。
人に拒絶されることが怖かったからだ。
だから、自分の中に育ててきたどす黒い闇も必死に隠してきた。
しかし、我慢の限界に達した海斗が、時折、自分の心の中の怪物の一端を見せると、ほとんどの者たちが匙を投げた。
でも、怜香は違う。
怜香は、海斗の異常さを知った上で受け入れてくれた。
彼女なら依存させてくれる。
もちろん、彼女にすべてを話す気はない。
本当のことを知れば、せっかく手にした彼女に裏切られてしまうかもしれないから。
これからも自分は、彼女を欺き続けるだろう。
海斗は自己嫌悪を覚えながらも、後ろから怜香に抱きついた。




