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虹色の煙  作者: 相花
7/9

闇のなかに光る、ふたつ目

「誰?」

 ジオモは震えた声で聞いた。闇のなかの目が動いた。まばたきをして闇に隠れては、ふたたび黄色く光る。そのふたつの目が近づいてきた。そして、ジオモを真ん中にぐるぐる周り始めた。


 不意に、体に柔らかいものが押しつけられた感触がした。ジオモは怖くなり、ただじっとしていた。そうするより他はなかった。


 ようやく自由になったので、柔らかいものの正体を見極めようと、目を凝らした。それは黄色いふたつ目の鼻のあたまだった。

 目が合った。ジオモよりは大きな目に身がすくんだ。

「君に頼みがあるの」

 ふたつ目は可愛らしい声でそう言った。ジオモは目を白黒させて、言葉にならない声をあげた。

「驚いているの?」

 ころころとふたつ目は笑った。

「わたしの名前はクロ。黒い毛なみから、そう名付けられたの」

 夜闇でよく見えなかったのは、体が黒いせいだったんだ。じっと見ると、黒い毛が見えなくもない。

「ぼ、ぼくはジオモ」

 ジオモはつまりながらも、ようやく返事ができた。案外恐ろしい生き物ではないみたい。少しづつ、ジオモの緊張もほぐれていった。

「明るい場所に移動しましょ。話は後でいいかしら」

 断ることもできないまま、ジオモはクロについていった。クロはここらの地理をよく知っているようだ。すいすいと、闇のなかを進んでいく。


 ジオモはクロに連れられて、ある家の前に来た。街灯で少し明るかった。クロは振り返って、ジオモを見た。


「話すよりも、見てもらう方ががいいと思うの」

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