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ねこと期待

『人間に戻れてもギルの傍に居れる……?』


カナルトの森に向う馬車のギルの腕の中でミーツェは夢見心地でした。


『ギルと結婚?』


ミーツェは恥ずかしくって仕方なくなりました。この間まで憂鬱だった結婚話が今は希望に満ちています。大国テルゼの王子……いえ、ギルと一緒に居れたらどんなことでも楽しいに違いないと思いました。


『オリビエを倒して、人間に戻って……。そうしたら……。』


ミーツェはウトウトと眠ってしまったギルを下から見上げるだけでドキドキしました。猫になって散々だった自分を助けてくれた優しいギル。傷を負ったときは何度もミーツェの様子を伺いに来てくれたのも知っています。


『ギル……大好き。』


ミーツェの小さな胸の中はギルでいっぱいです。

国のため、父親のため、ローランドのため……そして自分の為にオリビエを倒そうとミーツェは誓いました。


*****


「雪が降らない事には雪の魔女には会えないな。母上はミミは特別だから大切にするように言っていたんだが……。」


宿に着いたギルはラルフに後を濁すように言いました。ラルフはこれ以上主人に彼のかわいい猫を可愛がる方法があるのか首をひねりました。ギルは母親からミミを淑女の様に扱いなさいと言われていました。ギルが「十分可愛がっているつもりだ」と言うとミミの前で着替えをするなとかヤタラにキスするなとか言われていました。含みのある笑顔と共に。


「猫に勲章と郊外の城を褒美に取らせるとは王妃様や王様には驚かされました。」


ラルフは数日前の出来事を思い浮かべて言いました。レイラ王妃は自分が戻れたのはミミのお蔭だと豪語するや否や小さな白い猫に勲章と褒美を取らせました。王妃に内緒の打ち明け話をしてもらった王もニコニコとそれはそれは丁重な扱いで子猫を扱いました。


「やっぱりお前は凄い猫だ。ミミ。」


ギルの声が聞こえていつもの柔らかい感触が鼻の上でした子猫は彼を見ながら


にやおん。


と言いました。




****




カナルトに着いたギルたちは宿で雪が降るのを待ってから迷いの森へ行くことにしました。


「しかし、母上があのゴブリンだったとは……。」


「王妃様は私の無礼もお許しくださいました。」


「俺もラルフと同じだ。母上と気づかず酷い目にあわせたさ。もう、気にするな。」


「すいません……。」


「あ……。」


「どうされました?」


「ラルフ、準備をしろ。雪が降ってきた。」


ギルとラルフは舞い始めた雪を見ながら急いで出かける準備にかかります。


『私も連れて行ってくれないと!』


その様子を見て置いてかれまいとミーツェもギルの所へ急ぎました。


「ミミ。よし。良い子だ。俺のマントに入れ。外は寒いからな。」


ギルは当然の様にミーツェを抱いて彼のマントの中に入れました。ミーツェはマントの隙間から顔を出します。ミーツェはいつの間にかこの指定席にも馴染んできていました。


『雪の魔女と会えるかしら……。』


ミーツェの不安を余所に雪がうっすらと大地にかかる頃、ギルたちの前に雪の魔女は現れました。



*****



金色の雪の中から現れたのは間違いなく雪の魔女です。

しばしその姿に見とれていたギルとラルフは考えていた質問を彼女に投げかけました。


「初めまして、雪の魔女。俺の名はフェリエ=ロアノア=ステラヅティ=テルゼ=アルギル。貴方は俺のことは知っているのだろう?」


雪の魔女の言葉は呪いのかかっていないギルには通じません。雪の魔女はギルを見ると彼にゆっくりと頷きました。


「俺が調べた魔女の倒し方が数種類ある。良い方法に頷いてくれ。」


ギルが一方的に雪の魔女に質問するのを眺めながらミーツェは自分の順番を待ちました。やがてギルがすべての質問を終えてラルフと相談に入ったのを見てこっそりミーツェは雪の魔女に話しかけました。


『ギルの片目を取り返すにはどうしたらいいの?』


雪の魔女はミーツェをみてにっこり笑いました。


『同じ色の指輪を壊せばいいのです。』


『じゃあ、オ……最強の魔女を倒す方法は?』


『聖なる銀の剣で心臓を刺すのです。』


『……その剣はどこに?』


『神の国フルハップのモデリー二教会のシンボルの中に。』


『フルハップの象徴ともいえる教会ね。セルーお兄様が居る……。なんとかして、聖剣を手に入れるためにフルハップにギルたちを誘導しないと!』


ラルフと相談しているギルの方を見てミーツェは作戦を練ることにしました。






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