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夢見ぬ異端者  作者: ねるこえめ
〜束ねる花見〜
2/6

Peace1-1

"ふと夜空を見上げると鏡花水月のようなオーロラで満ちていた。8人の心は、不思議とオーロラが告げてくる感情で溢れた。"


あるところに地球のようで少し異なる世界があった。その世界の人間は10歳ほどで成長が止まり、13歳で成人する。

小学校は4年あり、5〜8歳まで通う。ここでは様々な科目を体験し、自分の専門分野を探す。

次に専門校が3年で9〜11歳まで通う。大半の人が専門分野に特化した勉強をするが、まだ自分の専門分野が決まっていない人、複数の物事に興味がある人はこの段階で絞る。

大学は基本3年で12歳〜14歳まで通う。エンタメや芸術系は2年、医学系は4年まである。実習を通して社会に貢献する準備をする。

この世界は可愛さと技術の発展を重視した世界で、長く生きることは非効率的とされ、地球より寿命が短い。

それに伴って、"性別"という概念が重要ではなく、10歳ほどで成長が止まり、早く働けるように13歳で成人する。


-朝-

オーロラの件はたちまちニュースで取り上げられた。"天から送られた手紙とも言われるオーロラ""○○年振りに再来"

ゆら「フィフィ、おはようございます!今日は皆で待ち合わせしていて、山に向かいますよ!」

そうぬいぐるみに話しかける。フィフィはうさぎとりすの特徴を持つぬいぐるみで、小さい頃からいつも一緒だ。ゆらはフィフィを手に抱え、部屋から出る。

ゆら「行ってきます!」

母「こんな朝早くからどこに行くの?」

ゆら「山です!」

母「課題はもう終わったの?」

ゆら「はい!」

母「明日学校なんだから、早めに帰ってくるんだよ!」

ゆら「分かってます!」


ぼくは人より成長の遅い子どもでした。皆ができていることがぼくにはできない。努力して出来た頃には、皆次のことが出来ている。

どんなに努力しても、才能が求められるものは特に、上手くできませんでした。

(お母さんはそんなぼくを心配して、気にかけてくれてるのに、少し鬱陶しいと感じてしまうなんて…。)


友達と待ち合わせの場所に向かう。桜並木の道は、花びらの絨毯になっていて、桜は緑の葉が目立ち始めている。

ゆら「早めに着いてしまいました⋯フィフィ、持ち歩きすぎてそろそろ黒ずんできてます⋯洗濯しないと⋯。」

「ねえ、あの人一人で喋ってるよ。」

「ぬいぐるみ持ってるし、話しかけてんじゃない?(笑)」

「冗談キツいって(笑)そんなんただのヤバい奴じゃん(笑)」

ヒソヒソと話す誰かの声が、ゆらの耳に聞こえてきた。いつものことだった。


この島は昔、社会で上手くやっていけないと判断された人の隔離場だった。だがその人だけでは経済が回らず、貧困問題が絶えなくなり、社会に適合できる者も住むようになっていった。

そうして今は、普通に生きられる人とそうでない人が一緒に暮らしている。しかし島外ではそうもいかないようで、社会に適合できないと診断が下ると、必ずこの島に流される。


ゆら(昔みたいに、社会で上手くやっていけない人だけだったら、もっと分かり合える人も多かったはずなのに⋯。)

みれい「ゆらー!おはようです!」

みれいはゆらの背後から飛びつく。

ゆら「みれい!おはようございます!」

みれい「フィフィもおはよ〜です。目潰して良いですか?」

ゆら「駄目です!」

みれい「でも昨日アニメで『二本指しかなかったら目を狙え』って言ってました。」

ゆら「それ相手が攻撃しようとしてくる時の話でしょう!?フィフィは人畜無害です!」

みれいは専門校からの付き合いで、お互い社会に適応できないことを共有し、大学でも学部は違えどよく遊ぶ間柄です。

みれい「それにしても、ふらん遅いです。」

ゆら「そうですね⋯。あ、メールで『先に行ってて』と書いてあります。」

ゆらは携帯を確認し、ふらんに返信した。

みれい「じゃあ先に行きましょっか!」

ゆら「と言っても、山を登るだけですけどね。でも、昨日のオーロラ本当に凄かったです!ついお願い事をしてしまいました!」

みれい「お願い事?それって⋯」

ゆら「はい、もちろん⋯(ガタッ」

ゆらが道に敷き詰められた石に躓き転ぶ。

みれい「ゆら!?大丈夫です!?」

ゆら「はい、それよりフィフィが⋯!?」

みれい「ふらんナイスキャッチなのです!」

ゆら「え?」

ふらんはフィフィを見事抱き抱えていた。

ふらん「フィフィは無事だけど、ゆらの方が心配だよ〜。」

ゆら「ふらん!ありがとうございます!」

ふらんはみれいと同じ芸術学部で、ぼくとはみれい経由で仲良くなった友達です。ふらんも社会に適応できないそうで、ぼくとみれいは相談にのりたいものの、ふらんは聞き上手で、いつの間にか相談にのってもらっています。


しかし本当は、ふらんが自分の話をしたくないから話をズラしているのではないかと、みれいは勘づいているが、ゆらは気づいていないようだ。


ふらん「遅れてごめんね。何の話してたの?」

みれい「ゆらが昨日のオーロラにお願い事してたんですって〜。」

ふらん「へー!聞いても大丈夫な話?」

ゆら「は、はい。2人にはいつも相談してますから。⋯その、気になってるかすむ先輩ともっと仲良くなりたいって⋯。」

みれい「現実的な願いですね!フィフィとお話したいとか、かすむ先輩が空から降ってきますようにとかだと思ってました!」

ゆら「は!それもお願いしておけば良かったです⋯。」

ふらん「ま、まあ流れ星じゃないんだし⋯。」

みれい「確かに、オーロラって天からの手紙ともいうらしいです。それなら天に願い事するというより、天からの願いを聞かなきゃかもですね〜!」

ゆら「そ、それならぼくの願いは届いてもないんですね⋯。」

ふらん「ほらほら!今日ふらん達はこの山の御伽噺、湖の上の教会を探すんでしょ〜!」

ゆら/みれい「はい!」


この島の中心にある山は、山頂の真ん中だけ凹んだ不思議な形をしている。その昔、天使がこの山の凹みにあった湖に教会を作り、そこで人々を見守り、時に未来を啓示してくれていたと言い伝えられている。その御伽噺が今は、湖に浮かんだ教会を見つけた者は、天使に願いを叶えてもらえるという都市伝説のようなものに変わった。その理由の一つとして、どんなに上空から山を見渡しても、湖が存在しないからだろう。


ゆら「でもこんな山に本当に湖なんてあったのでしょうか⋯。」

ふらん「山の真ん中が凹んでて不思議な形はしてるけど⋯実際にあったかは分からないもんね⋯。」

みれい「それに、湖に浮かんだ教会ってそんな幻想的なものがあったなら、絵でも何でも残しておいてほしいものです!」


結局、山に入っても普段と変わらず、特に何もなかった。

用意していたお弁当をそれぞれ開き、皆でピクニックを楽しんだ。

みれい「これで桜が咲いてたらお花見楽しめたでしょうに〜!」

ふらん「上まで来るともみの木だらけだよね〜。クリスマスは飾り付けされて綺麗だけど。」

ゆら「それにしても、ここはいつ来ても落ち着きます、ねえフィフィ。」

日が暮れ始めた街並みを眺めるゆらはそう呟くも、ぬいぐるみのフィフィが返事をすることはなかった。

2人はそんなゆらの様子を微笑ましく見ていた。

ふらん「どうする〜?もう少し探索する?」

ゆら「…明日も早いし、帰りましょう。」

そして各自家に帰り、ゆらは眠りについた。


-夜-

ゆら(あれ...?今何時ですか...?家に帰ってすぐ眠っちゃいました...)

虚ろな目を開けると、人気のない霧の中で身体を起こす。少しすると目の前の霧が晴れかけ、淡い光の先の湖上に、教会がそびえ立っていた。

ゆら「え?あれ!?!?家に帰りましたよね!?もしかして山で寝ちゃいました!?!?」

??「大丈夫、ちゃんと眠ってるよ。」

ゆら「え...?」

どこか哀愁漂う雰囲気を纏う人影が現れた。

ゆら「…きれい」※ゆらは軽度の面食い

朧気な姿がはっきりとする頃、その人は問う。

??「君は…。」

ゆら「あ、はじめまして双葉ゆらです!昨日山の上にオーロラが見えたので、もしかしたら山の御伽噺にある湖も見れるんじゃないかなって。でも現実にはなくて気がついたらここに…というかぼくの夢の中に…。」

ゆらは知らない人を目の前に緊張して、気がついたら早口で話していた。

??「…じゃあもうすぐだ。」

一方で銀髪に青い瞳を持つ人物は、落ち着いていた。

ゆら「はい?(初めて明晰夢見ましたけど、この人誰です?)。」

ろわ「私は神楽ろわ。先に教会に入ってよう。」

ゆら「教会って…」

ゆらは目の前の教会を見上げる。

ゆら「とっても綺麗…。(自分が想像したとは思えません。)」

ゆらの事はお構い無しに、ろわは湖に浮かぶ教会へと繋がる橋を、淡々と渡る。ゆらは慌ててろわについていった。

橋を渡り終わる頃、ろわは扉の目の前で立ち止まり、下を見ていた。

ゆら「ど、どうしたんですか…?」

ろわ「本…。」

ゆら「え…?何でこんなところに…。」

装飾が施された煌びやかな分厚い本が、教会の前の地面に落ちていた。

ろわ「ゆら、開けてみて。」

ゆら「ぼくが!?」

(まず君は何者ですか!?現実で見たことないですし!あー八方美人な自分が嫌です…。夢の中の人にまで気を遣って、言われた通りにする必要ないでしょう!)

ゆらはそう思いながら手を伸ばす。

2人「…っ!」

ゆらが本を開こうとした途端、眩い光が視界を覆った。

次に目を開けた時、ぬいぐるみのフィフィのようなものが目の前に浮いていた。それだけでなく、天使のような羽が生えている。

ゆら「なんですかなんですか!?フィフィ…ですか!?!?」

フィフィ「待ちくたびれましたフィ。」

ゆら「え!?しゃべっ…まあ夢ですし喋りますよね。いや、フィフィが喋ってますう!」

ろわ「フィフィは君の守護精霊。」

そう言っているろわの傍には、羊のような見た目の、天使の羽が生えた生き物がいた。

ゆら「守護精霊?じゃああとの子達は⋯」

フィフィとろわの守護精霊(?)以外にも6体、フィフィのような羽の生えた生き物が浮いていた。

ろわ「他の人達の守護精霊。あと6人来るから取り敢えず、中に入って待ってよ。」

ゆら「は、はあ…。それより夢の中でフィフィと話せる時が来るなんて!」

ゆらはフィフィを抱きしめる。

フィフィ「苦しいですフィ。フィフィを抱きしめる時はもっと優しくですフィ!」

ゆら「は、はい!って、フィフィってこんな性格だったんですか?」


中に入ると、よく教会で目にするステンドガラスやパイプオルガンがあり、吹き抜けで2階にも続いていた。ただ、普通の教会では同じ方向を向いているはずの椅子が、円形の机を取り囲んでいる。

ゆら「教会ってこんなダイニングみたいなレイアウトでしたっけ?この夢ちょっと斬新すぎません?」

そんな時、後ろから聞き覚えのある声がした。

ふらん/みれい「ゆら!」

ゆら「え?」

ゆらが振り返ると、みれいが抱きついてきた。

みれい「ゆら〜!」

ふらん「ゆらもいたんだ!」

ゆら「みれい!ふらん!」

見覚えのある姿に安心する。

ゆら「良かったです〜!夢だとしても知ってる人がいると安心します!」

ふらん「え?これふらんの夢じゃないの?」

ゆら「あれ?ぼくの夢だと思ってました⋯。」

みれい「じゃあゆらの夢に引き摺りこまれたのです?」

???「そういうことではないと思います。」

2階から声が聞こえた。

???「ここの本、夢にしてはよく出来すぎていますし。」

2階には黒髪を後ろでまとめ、本を読んでいる人物がゆら達に話しかける。

ゆら「又もやきれいな人が⋯。」

ふらん「又もや?」

ろわ「りおう、いつからいたの?」

最初に会ったろわも2階に上がっていて、りおうという人に尋ねる。

りおう「いつの間にかです。」

ろわ「曖昧な返し⋯。」

(あの2人、知り合いっぽいですけどなんか距離があります⋯?)

???「ここどこ?」

??「さあ。というより見たことない服!」

次々と知らない人達が現れる。水色の長い髪を不思議な結い方にしている人につられ、ゆらは自身の服を見た。

ゆら「服?本当だ!ぼくこんな服持ってないです!」

みれい「白基調で、全員違いますね!楽しいですっ。」

ふらん「ふらんこの服現実でも欲し〜。」

ゆら「そう言えば寝る前に髪も解いたはずです。でも、結ばれてる…のに結んでる感じがしません。」

???「それにこのぬいぐるみ喋るんだけど何?」

ストレートの紫髪を靡かせた人が、鳥のような守護精霊の頬を引っ張る。

????「ヴェ?」

ゆら「あ、その子達は守護精霊?らしくて⋯」

???「ねーこれどうなってんのー。」

ろわ「あ、せれん。これで全員揃ったかな。」

守護精霊が8人それぞれの近くに集い、ろわが指定した椅子に7人は座った。その後、ろわも席に着く。

小説をあまり読まない為、脚本調になっています。

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