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第一話:リールが回る街

変身が解けた後、俺はしばらくその場から動けなかった。

 ビルの廃墟、砕けたコンクリートの中に埋もれたラックドライバーを抱え、さっきまで起きていたことが夢だったのか、現実だったのかさえわからなかった。

 だけど――目の前に転がっているそれが、現実だった証だ。

 黒いスーツを着た男。腕には奇妙な金属の装置。そして、全身に散らばるスロットの絵柄。さっき、俺が戦った“あいつ”。

 「テンカイ……」

 耳に残る声。やつが言っていた。

 「ラックギアの資格を持つ者か……面白い。お前も運命の輪に選ばれたな」

 あのとき、ただの人間じゃ勝てないことはわかった。けど、俺は勝った。あのド派手な鎧――「仮面ライダー」になって。

 「クソみたいな運だけじゃない。俺には――理由がある」

 父さんの死、その真相。テンカイとラックギア。そして、俺の中に芽生えた感覚。何かが動き出している。

 翌日、俺は街に出た。変身の力を手に入れたことで、逆に妙な責任感が生まれていた。運命のリールは、回り始めてしまったのだ。


 街では、異変が起きていた。

 人が急に暴れ出す。目が赤く光り、意味不明な言葉を叫びながら建物を破壊する。その様は、まるで“確変”に突入したかのような狂乱。

 「新型ドラッグか? いや……違う」

 現場に残されたのは、奇妙な銀の玉。パチンコ玉よりも大きく、淡く光を放っている。

 「……こいつ、反応してる」

 ラックドライバーが、勝手に振動し始めた。まるでそれが敵を感知しているように。

 その瞬間、悲鳴が聞こえた。

 「逃げてぇぇぇ!!」

 繁華街の中心――スクリーンに流れるCMが突然、乱れる。代わりに映し出されたのは、ノイズ混じりの“リーチ演出”。

 《激アツだぜぇ……! 今日の運試し、いってみようかぁ?》

 画面の向こうで、不気味なマスクをつけた男が笑っていた。派手な音、眩い光。そして――街の中心に現れた、巨大な人型の機械。

 「アイツは……まさか、“リーチギア”か」

 俺はラックドライバーを構える。

 「逃げるのは簡単だ。けど……それじゃ、また何かを失う」

 俺は、ハンドルを回す。

 「変身――フィーバー、タイムだ!!」

 銀と赤の鎧が舞い戻る。肩に装備された玉が、次々と射出されていく。

 「行くぜ、仮面ライダー・ジャックポット! 運なんざ関係ねぇ、俺が引き寄せるんだよ!

次回:「リーチを超えて、ジャックポット」――街を破壊するリーチギア。その裏に潜むテンカイの幹部・“演出師”が動き出す。レイの運命の回転数が、また一段上がる!

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