プロローグ:運命のリール
これからストーリーを投稿していきますが
一話、一話短いかもしれません…
それでも頑張ります!!
「運なんて、クソくらえだ」
夜の街を一人歩きながら、俺はつぶやいた。風がネオンを揺らし、まるでこの街自体が回転し続けるスロットマシンみたいだと錯覚する。けど、当たりなんか出やしない。俺には。
名前は堂嶋レイ。二十五歳、無職。かつてはプロのパチプロだった親父の背中を見て育った。が、そんな親父も五年前――「遠隔操作でイカサマを暴こうとして殺された」。警察は事故だと処理した。だが、俺は信じてない。
それ以来、俺は運という言葉を捨てた。勝ちも負けも、確率も、すべては仕組まれた幻だと――そう思っていた。
あの日までは。
廃ビルの解体現場。変わり果てたパチンコ店の跡地で、俺はそれを拾った。
――「ラックドライバー」
壊れかけのパチンコのハンドルがついた、異様な機械。なのに、手に取った瞬間、胸が高鳴った。
「チャンスタイム突入!」
不意に鳴り響いた音声に、頭が真っ白になる。気づけば、視界が光に包まれ、重厚な銀の装甲が俺の身体を覆っていった。
「変身――フィーバー、タイムだ」
ガチャン。
ハンドルを回すと、機械が唸り、スロットリールが俺の胸元で回転を始めた。揃う図柄――777。
「仮面ライダー……ジャックポット!」
派手な光と爆音の演出と共に、俺は“運命”に選ばれた。
これが始まりだった。テンカイと呼ばれる犯罪組織、そして――親父の死の真相に迫る旅の。
次回:「リールが回る街」