7 オレの仲間になれ!
「強くなるためですか、やはりご自分の手ごまをもっと持たれた方が良いかと」
主君から相談を受けた平手政秀はとりあえず直属の家臣を増やす提案する。
(我ら以外に若いのを育てて行けば、いずれ農兵を率いる将になるであろう)
信長の家臣として、信秀から平手の他に林や青山や内藤がいる。それぞれ息子が何人もいるから最低限の家臣は確保されていた。
つまり平手が提案したのはあと何人かの余力であった。
しかし信長はそうは考えない。
お供と一緒に近所の村々をかけめぐる。
「ワシの家来になりたい奴は集まれ」
若殿の命令である。農作業にあきてきた子供たちにあらがえるはずは‥ない。
「よし、これだけ集まればアレができるな、みな竹を持って来い」
信長の一声で子供たちはわっと竹やぶにつっこむ。
「二組に分かれて打ち合うぞ、勝った組にはほうびをやろう」
この時代は子供の遊びも激しい。ケガ人だって出る。
しかしそうやってみな戦い方を覚える。つまりは模擬戦なのだ。
「ええい」
「いてっ、この野郎!」
信長は審判のように竹槍戦をながめる。
前田の犬千代や池田の勝三郎がまず強い。他に目立つのは長い竹ざおを持っている奴。
当たり前だけど、長い方が先に相手に届くもの。
(これは本番の戦でも同じであろう)
勝利組の全員を城に連れて行く。なぜなら城の敷地に市を開いたからだ。
「ふっふ、ここでは十日に一度買い物ができるのだぞ。みなで遊びに来い」
餅をおごりながら自慢する。まぁ津島と比べたらとっても小規模なんだけど。
「すっげ~」
「若に一生ついて行きます!」
数十人ものわんぱく小僧たちはあっという間に信長の手勢になった。
那古野城は当時の様子が分からなかったので
描写は適当です。