二章 エピローグ
読み続けて下さりありがとうございます。
また半年後か一年後にお会いしましょう。
永禄十年八月十五日、稲葉山城は信長の手に落ちる。
「殿、お待ちしておりました」
「お濃‥久しいな」
信長が稲葉山城に入ると、濃姫が出迎えた。
「これより我ら美濃の者は皆殿に従いまする。どうかお手柔らかに」
濃姫の後ろで頭を下げているのは亡き義龍と龍興の妻、そして娘たち。
この一言により、信長は敗軍の女たちに手が出せなくなった。
『斎藤家の妻』は、信長にとっては美濃支配の正当性を支える基盤である。
濃姫は城に残らざるをえない女たちを守ったのだ。
「これで天下にまた一歩近づいた」
信長は城に沢彦を呼びよせた。
「ワシが創るのは新しき世じゃ。城の名前をふさわしく変えたい、何か良い案はあるか?」
「ふむ‥この辺りは岐阜と呼ばれていたこともあるそうです。『周の文王岐山より起り天下を定む』との故事もあるのでいかがでしょうか」
「岐阜か、うむそれにしよう。故きを温ねて新しきを知る、じゃな。ワシは武力で天下を治めてみせる」
決意を内外に知らしめるため、印章を天下布武に改める。
将軍足利義昭を奉じた信長が京に進軍するのは、その翌年のことであった。
終わった! ‥美濃攻略のエピソードは描く人が少ないので挑戦してみたのですが、資料は少ないし戦いは持久戦だし、地味すぎて手を出す人いなかったんだなと納得しております。
丹羽長秀が目立たないのは、彼が活躍する時はほぼ調略ですんじゃうからでしょうか。
伊勢攻略の話は今回は蛇足だったかなぁとか反省もしています。
斎藤義龍が妻子を亡くして宗教にハマった話は、入れ方が分からなくて書けなかったし。
今作は『斎藤氏四代』木下聡・著 ミネルバ書房を参考にしています。
濃姫のエピソードは創作ですが、この時点では生き延びて美濃の妻子をまとめる立場だった説を採用しました。




