37 決戦当日 中島砦と首のお話
今作中で一番の残酷表現があります。心して
お読みください(>@<)
中島砦に入るころ、雨がまた本降りになる。
兵を砦で休ませた信長は、やっとそこで作戦を告げた。
「我らはこれから敵の本隊を攻撃する。大したことではないぞ、向こうは戦闘続きで疲れ切っておるからな。小勢だからと言って大軍を恐れるな。勝敗の運は天にあるのだ!」
これはただのハッタリである。兵数が多い方が有利に決まっていた。
しかし今は嘘をついてでも味方の士気を上げる必要があった。
勝つためには絶対に。
もちろん重臣たちは大反対。
「ここからでは義元にたどり着く前に全滅でござる」
体を押さえつけてでも止めようとして来る。
信長はふりはらいながら演舌を続けた。
「敵が攻撃してきたらすぐ引け。向こうが引いたら攻めろ。この戦いは速度が要じゃ、目指すは義元の首一つ」
言葉を発しながら、ふと考えがひらめく。
「聞け、首は義元だけ取れれば良い。ザコの首など放っておけ。勝利の手柄は参加した者全てに与える!」
これが効いた。
この時代には敵を何人倒したかによってほうびが決まる。
どうやって数を確かめるのかと言うと‥倒した相手の首を切り取って持ち帰り報告するのである!
そして首が多ければ多いほどほうびも増えるので腰にくくりつける袋を何個も準備しているのだ!
残酷だが、それが戦国時代の戦いである。
しかし人間の頭だったものを腰にぶら下げれば当然重い。歩く速度も遅くなる。
それなのに、戦が終わって城に帰るまでそれを続けなきゃいけないのだ。
首を持って帰るまでが戦なのである。
行軍速度も攻撃パフォーマンスもダダ下がりする最大の要因を信長は取り除いた。
余計なことにわずらわされることがなくなった織田軍は、猛スピードで進みだせた。
この速度こそが勝敗を左右する。
元寇で有名なモンゴル軍は、敵の耳を切ったそうです。
首よりは持ち運びやすいですね。
怖い事に変わりないけど。




