34 決戦当日午前 熱田神宮
信長は清州から南に向かい熱田神宮を目指す。
三里(12kmくらい)の道を一気に駆けぬけた。
到着したのは辰の刻(午前八時ごろ)。
信長が南を向くと空には煙が見える。
「砦が持っているうちに間に合えば良いが」
馬を休ませながら清州軍を待つ。
しかし追いついたのは騎馬武者が一人と雑兵が二百人ほど。
「まあ良いか、社に参ろう」
集まっただけで熱田神宮に参拝する。
戦の前の戦勝祈願だ。
「草薙剣よ、日本武尊よ、我らに力を」
信長の言葉で兵たちは神妙になる。
死地に向かう悲壮感がうすれていくのだ。
(これこそ神の力だ)
雰囲気が一新した軍勢に、信長は号令をかける。
「次は丹下に向かうぞ」
丹下の屋敷に到着すると騎馬兵には馬を休ませ歩きの雑兵には水を飲ませ、屋敷にいた小者を使いに出させる。
その間に信長は屋敷の守備兵をほとんど自軍に組み入れた。
「この戦は攻めることに専念する。守りは形だけで良い」
それでも兵数が全然たりない。
「次は善照寺じゃ」
しかし清州から来た組はもう疲れだした。
重い具足を身に着け、槍や弓矢をかかえての行軍。
清州から全速力で来たのだ。ろくな朝飯も食べていない者が多い。
戦いの前にへとへとになる。
大体作戦が分からないまま命令にしたがうことは心理的にもキツイのだ。
おまけにパラパラ雨まで降って来た。
「やはり雨か」
信長は空もようを確認しながら寺に入る。
「みな屋根の下で休め! 飯もあるぞ」
善照寺では米が炊き上がっている。先に使いを出して食事の支度を命じていたのだ。
握り飯のにおいに兵は歓声を上げた。
腹が減っては戦はできぬってお話です。
早朝に出発して、決戦はお昼過ぎなので
どこかで食事させたと思うんですよ。
以前読んだ本に本隊が到着してから炊かせる話が
あったのですが、時間がかかりすぎるので
本作は地元の者に先行させ準備させました。
長槍は重すぎるので、この時点で集まったのは
多分ほぼ弓兵です。
長槍も2・3人でかつげば走れるのでしょうか?




