30 悪報
さあ物語も佳境ですよ
東から大軍が向かってくるとの情報に織田家は大さわぎ。
「軍勢の数が二万じゃと」
これまでの敵はせいぜい数千だった。
「今川め本気じゃな。以前とは全然違いますぞ」
「何を弱気な、小豆坂の借りを返してくれる」
「二万など大げさではないのか。駿河と遠江を合わせても一万がやっとのはず」
うろたえる家臣団。
信長も兵力差にはビビった。
(ヤバい?)
もちろん表には出さないようにしながら次々と命令を出す。
「鷲津と丸根の砦に兵を入れろ、義元が来る前に大高城の兵糧を断つのじゃ。鳴海城は丹下屋敷と善照寺で囲む」
信長は感覚が鋭くなるのを意識した。
この感じは嫌いじゃない。
今川軍の拠点に対策をしつつ情報も集める。
「斥候は放ち続けろ。敵の進む方向、兵の数に、大将の位置、ええい、分かること全て報告せい」
やることが決まれば家臣たちも動き出す。
しかし集まった情報は予想を軽く超えて来た。
「申し上げます、敵の数およそ二万五千!」
「二万五千? バカを言うな、増えておるではないか」
「今川軍、沓掛に到着しそうです」
「えっ、もう?」
「あの‥それがし雑兵の会話を聞いて来たのですが軍勢は全部で‥四万だと」
「は? 四万?」
織田家中は一気に青ざめた。
「さすがに四万は言いすぎでしょう」
「そ、そうじゃ。大きく言いすぎじゃ。ほとんど小者でありましょう」
信長はだまりこんだ。
織田家の戦力は、小物までかき集めて五千。
後詰を残すことを考えると、約十倍の敵と対決しなければならない。
「どどどどうするのでござる」
「どうするも何も籠城しかありませぬ」
「籠城? 援軍もないのに? ありえん」
「では打って出るのか、焼け石に水ですぞ」
「つまり降伏‥ゴホン。いや何でもござらん」
ろくな対策が立てられないまま時間はすぎる。
「この季節はジメジメしておるな。雨はいつも通りなのか」
信長の一言で場が静まる。
「え~と殿?」
「道も泥だらけじゃな。ほら、この間すべって田に落ちた奴がいただろう、腰まで水につかっておったわ」
「はあ‥?」
家臣たちは何を言っているのか分からない。
「明日は雨になりそうじゃが、大雨になると思う者はいるか?」
「あの、家内が頭が痛いとぼやいておりまして、そのような場合は大雨が良く降ります」
答える家臣に信長はうなずく。
策も決まらぬのに、だんだんと日は暮れる。
今川の軍勢が二万だったのが四万に。 増えてる!ガビーン!
この夜信長が話した世間話は
適当に作りました。
木曽川の決壊とか考えている風です。




