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そして覇者になる ~織田信長の物語~  作者: ノーネアユミ
第一章 桶狭間編

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21/61

20 謀反・尾張

「これでまた敵に(かこ)まれたな」

 信長はため息をつく。


「この清州にいれば大丈夫でございますよ」

 側近(そっきん)機嫌(きげん)を取ろうとしてくる。


「北の岩倉には攻めやすくござる。それに那古野の城を守っておられるのは、殿を元服(げんぷく)前からお支えしている林殿ですよ、ご安心を」



 しかしその林が裏切(うらぎ)った。


挿絵(By みてみん)

 子供の頃から知っていると言うことは吉法師のバカ(さわ)ぎをずっと見て来たことでもある。


 林にとっては信長はただの乱暴(らんぼう)者。戦が多少(たしょう)好きなだけで()がままに家臣を()り回すダメ殿だ。


(織田家を(ひき)いるのであれば、学問を(おさ)め、礼儀(れいぎ)も正しく、(われ)らの言葉に素直(すなお)に耳をかたむける方でなくては)


 それは信長じゃない。


(ふさわしいのは信勝(のぶかつ)様じゃ)


挿絵(By みてみん)


 林は信長の弟である末森(すえもり)城の信勝に目をつけた。

 末森の家老、柴田権六(ごんろく)に話を持ちかける。


「美濃が敵になった今、信長様では織田家が(あや)うい。当主であるべきは信勝様であろう」


「しかしそれは謀反(むほん)じゃ」

 柴田は当たり前な理由で(ことわ)る。


挿絵(By みてみん)


 その程度(ていど)で林はあきらめない。

 柴田は頑固者(がんこもの)だ。だからこそ一度味方に引き入れさえすれば、以降(いこう)はつげ口の心配もない。


「権六殿はこのまま主家(しゅけ)(ほろ)びるのを見ておられるつもりか。それがしには那古野城がありまする。後は権六殿の武勇(ぶゆう)さえござれば、うつけなど相手になりませぬぞ」


「それは‥そうであるな」


 権六は林の口車(くちぐるま)に乗った。



 そして家老を引きこめれば信勝の説得も簡単。


 信勝は昔からずっと兄はうつけで自分は優秀だと言われ続けていた。

 本人にも兄を(かろ)んじる気があったのだろう、すぐその気になる。


柴田権六勝家 今なら脳筋あつかいでしょうか。


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