表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

マリーと魔法の暖炉

作者: 綸子

なろうラジオ大賞5参加作品です。

使用ワードは「暖炉」。

ここは、深い深い森の中。


しんしんと雪が降り積もる、冷たい夜です。


1人の少女が、よろよろと森を彷徨っていました。


少女の名前はマリーといいました。


マリーは、貧しいお百姓の娘でしたが、口減らしの為に意地悪な商人のところへ奉公に出されていました。


でも、商人の虐めに耐えかねたマリーは、とうとう我慢できなくなって、こんな寒い晩にお屋敷を飛び出してきてしまったのです。


宛もなく彷徨い、知らない森に迷い込んでしまったマリーは、空腹と寒さで今にも倒れてしまいそうでした。



「ああ…私、このまま死ぬんだわ…」



ついに座り込んでしまったマリーは、ふと、木々のむこうに、扉があるのを見つけました。



最後の力を振り絞り、マリーは扉の前まで辿り着きました。


夢中でドアノブに手を伸ばすと、鍵はかかっておらず、扉はすんなりと開きました。




朦朧とする意識の中、ほとんど本能で明るく暖かい方へ身を寄せたマリーは、しばらくたって身体が温まり、少し人心地がついたとき、自分の眼の前にある暖かいものが、見知った暖炉ではないことにようやく気付きました。





そこにあったのは、ぴっかぴかのバイオエタノール暖炉だったのです。



そこへ、1人の男性が現れました。



「いやー、やっぱり鍵も掛け忘れてるし暖炉も消し忘れてるわ。注意力散漫になってるんだなぁ、スランプって怖ぇなぁー」



誰もいないと思って心の声を全部口に出していた男性は、ソファーの影に隠れていたマリーに気づくとものすごく驚きました。


マリーは、ここを追い出されては今度こそ死んでしまうと思い、一生懸命これまでのいきさつを話しました。



マリーの話を聞き終えた男性は、



「これはアレだろ、扉で異世界と繋がっちゃった的なやつだろ!マジかー、…てかこれで次回作イケるんじゃないか…?!」

と、また独り言を言いました。



実はこの男性は売れっ子小説家でしたが、最近はスランプに悩み、別荘にこもって次回作の構想を練っていたのです。



小説家は、マリーの世界の話を取材させてくれるのなら、ここで衣食住を保証すると約束してくれたのでした。




こうして、ネタ切れ小説家と薄幸少女は、お互いWIN WINな関係となり、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これ面白いですね! まさかこんな結末になるとはw 小説家の先生がどんな作品を仕上げるのかも気になりますし 2人の共同生活の行方も気になります!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ