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テーマ詩集:食器棚

箸袋

作者: 歌川 詩季

「はしぶくろ」。


 意外と、難しい漢字。

 ふたりでひとつに いつまでもひっついてたんじゃ

 用を()さないと

 やがて ふたつに()かれて しまうのなら

 それは彦星(アルタイル)織姫(ベガ)


 不憫(ふびん)には思うけどしかたないよねって

 せめて おたがいの身を(むし)りとることなく

 綺麗にふたつ()かれることを祈る


 私が白鳥座のデネブなら

 ()かれてしまう運命も

 天の河のように はばたきで飛び越えて

 またひとつに ひっつけてあげたいけど

 うすっぺらい 紙きれの翼ではそうもいかない


 せめて()かれてしまう それまでは

 私のなかに包まれて

 ふたりでひとつの時間を楽しんでほしい

 どうせ ふたつに()かれて用を()したあとは

 またひとつにもどれることなんかなく

 用済みだとばかりに うち捨てられてしまうのだから



 これは(あわ)れな 彦星(アルタイル)織姫(ベガ)

 (つか)の間愛の巣である うすっぺらい紙袋の物語

「割り箸」のタイトルで描きはじめたら、うまくいかなくて、「箸袋」に変えました。


 綺麗に割ってね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 箸と袋で割りばしとその紙袋を連想しました。
[一言] 箸が彦星と織姫……なんて素敵な発想。 箸袋は確かに悲劇のふたりを繋ぐ愛の巣なのかも。 白鳥座のデネブなら……の一節が好きです。 箸袋の優しさにじんわりと癒されました。 歌川さん、ありがとうご…
[良い点]  うち捨てられるのは自身もなのに。  愛の巣の役目を終えたあとは折られて土台にされたり。汚れたふたりを迎え入れることになったりするというのに。  優しい箸袋ですね。 [一言]  横に持っ…
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