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第六十一話 次の一手(1)

「これで即応部隊も全滅させたか。ここまで一方的だとな。」


 シリル・ラークは敵基地へ若干同情の念を隠せなかった。敵基地にあった対キャスター用の砲台は既に全門破壊していた。その後に何十機かの帝国軍主力機であるクロノスが出撃するものの、それも全機撃墜していた。

 しかもアルベルトはただ指示を出していただけで彼は何一つ攻撃をしていなかった。


「しかしこうもうまくいくとは拍子抜けだな。」


 新兵ばかりの部隊でこうも隊列行動をとって一方的に勝つこと、それが難しいことはよく分かっていた。一方でこうも思う。こんな簡単に終わってしまっていのかと。精鋭部隊の作戦という特性以上もっとハードルが高いものかと思っていた。


 そしてこの程度の作戦をしていただけで精鋭部隊と名乗っていたのかと思う。流石にこのような任務ばかりではないと思いたいがそれでも今までの実戦の中で一番楽な作戦ではあった。


「後は敵基地へ攻撃をするだけか。」


 当初の作戦案にはなかったものの、このまま基地へ攻撃を開始しても問題はないだろうとダースは判断する。実際アルベルトからも余裕がある場合は基地への攻撃をするという言葉もあった。


『全機、予定より早いが撤退する。』


 だからこそアルベルトからの通信を理解するのに時間がかかった。


「撤退ですか? 敵はまだ反撃すらしていないのですよ?」

『敵艦隊の起動シークエンスが終わっている。いつ撤退できなくなるかも分からん。その前に撤退だ。」


 敵のどこにそんな準備があるというのか、シリルはそう思う。遠距離ではあるものの、アルベルトより近くで敵艦隊を視認するが、特に動き出す様子すら確認できていなかった。

 しかし指示である以上従わざるを得ないと諦める。


「分かりました。」


 下手に攻撃に巻き込まれて犬死するよりはマシだと彼の言葉に従った。


 そうしてアルベルトが初めて行った作戦は味方には全く被害の無いまま終わった。



 アクタール基地に戻ったアルベルトは初めての作戦成果の報告のためにユリアの部屋を訪れていた。


「以上が作戦結果となります。」


 アルベルトは作戦完了の報告をユリアに行っていた。


「もう少し敵基地の破壊とかできたんじゃない?」


 ユリアからの質問にアルベルトは首を振った。


「あのまま行くと敵艦隊からの攻撃が始まっていました。撤退が後十秒程度遅れていたら、全機帰還は少し怪しくなっていたと思いますし。」


 それでも彼女は納得する気配を見せない。


「その根拠は?」

「展開していたドローンの情報から確認済みです。砲塔が動くときには敵の射程圏内に逃げ切るにはあのタイミング以外ありませんよ。」

「そう。」


 その声音に少し懸念の色が含まれているのを彼は感じ取る。


「なにか問題でもあったのですか?」

「まぁ他の部隊からね。なんであんな簡単な任務やっているのに精鋭部隊だと名乗るんだ的なことを言われてね。」

「まぁ確かに結果だけ見ると奇襲して一方的にねじ伏せただけですからね。」


 確かに一理あるかと納得をする様子を見せる。


「ただ今回は一連の作戦ですからね。まだ評価するにもされるにも早いとは思っていますが。」

「確かにそうかもね。」


 それよりもと彼女は立ち上がる。


「ドローンで得られた情報を現場で即座に分析して反映、作戦指示を出せそうなパイロットはいた?」

「エルミート少尉は使えそうですね。」

「へぇ。」


 ユリアはその答えが少し意外ではあった。アルベルトが誰かを認めることは割と少ないと考えていたからであった。


「そう。一人でもいるなら良かったわ。今後はより多くの情報を判断して方向性を決めていく人間が必要だから、それが見つかったら良かったわ。」


 



「敵がイレスコ基地に攻め込むのも時間の問題か。」


 エミリアはアクタール基地の部隊から次々と侵攻を受けた基地のデータの確認をしていた。父親であるオズワルド・アークウィンと兄も死んだため、アークウィン家とイルキア基地を引き継ぐため階級を上げ准将となっていた。

 そのため今までと異なり戦略も考えるようになっていた。その中で彼女が注目していたのは、最近アクタール基地の部隊が次々と前線基地への攻撃を行っていたことだった。


「基地三か所を損害無しで攻撃か。目的は……補給部隊を消耗させることかな。」


 彼女は自室で考え込むように顎に手を当てる。そのときふと昔アルベルトに見せられた論文を思い出す。


「この戦略、アルが昔考えていた……。」


 凡そその指揮官が誰なのか察知するとため息を吐く。


「薄々勘づいていたけど、敵に回すとやっぱり一番嫌なことを容赦無くしてくるわね。」


 ただそれでもその選択はあまりよくないのではと思う。


「よくあんなムラができる戦術を使う人間を指揮官に使おうと思ったわね。ユリア・ベッソノワ。それとも大きな戦果を出さないと組織がまとまらないほどのよくない関係になっているのか。」


 エミリアはそう呟くと拠点ごとのマップを確認する。


「せめて次にどこを攻撃すれのか分かればいいけど、今まで攻撃された三か所の拠点だけでは判断はできないか。けど今度は……。」

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