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第二十八話 終戦(1)

『大佐、今からそちらに向かいます。』


 アルベルトからの通信にソフィアはギデオンの部隊が壊滅していることを確認した。場所から見ても後五十秒で到着する。


「これで後は!」


 アルベルトが合流することを見越してソフィアは次の動きを考える。ここまで切り崩してしまえば後は残党狩りになる。そのときに手痛い仕返しを受けないように少しの逃げ道を用意しながら戦いを膠着状態に持っていく。

 そして最後に追い込むべく、形作りを行っていく。


 ここまで行けば勝ったも同然であった。


 しかしギデオンたちもまだ負けはしていないと必死に反抗をする。それはまるでなにかを待っているようであった。


『隊長! 周りの敵が!』


 イオクからの報告とほぼ同時にエイノールの部隊がユリアの駆るイルクオーレに対して一斉にライフルを向ける。そのライフルは従来のものとは明らかに違っていた。


「司令!」


 ソフィアは慌ててユリアの駆るイルクオーレを突き飛ばす。


 そして代わりにその場に留まってしまった彼女の機体の各素子が高電圧で破壊され、予備系統の駆動システムに移るために機体の挙動が一瞬止まる。その瞬間、彼女の機体のコックピットにはギデオンのプラズマサーベルが深々と突き刺さっていた。



「ソフィア!」


 ユリアが大声で叫ぶときには彼女の乗るウルが爆発をする。


「そんな……。」


 その数瞬後にギデオンが機体を動かそうとした瞬間、真横からの攻撃で動きを止める。


「今更来たところで……!」


 ユリアはそうアルベルトの機体を睨む。

 しかし彼はそんなことを全く意にも介さず次のターゲットを選んでいた。


『貴様! 今更どの面下げて!』


 ダースからの怒声が響く。

 その言葉に対し、アルベルトはただただ冷静に部隊の危機を対処していた。


『今後の作戦はどうしますか、司令。』


 そう酷く冷め切った声で司令であるユリアに指示を仰ぐ。彼はソフィアから言われた通り、ただそれだけをやろうとしていた。

 しかし、心の整理が追い付いていなかったユリアには返答が出来なかった。


『少尉、もう一機の新型機の相手はできる?』


 代わりにイオクが、冷静にこの場を把握しようと質問を投げかける。


『了解です。』


 アルベルトの言葉にユリアは少し落ち着きを取り戻すとこの状況を切り抜ける手段を考える。


「シュタイナー少尉は新型機を相手にして時間稼ぎを、残りの機体は十一時の方向に攻撃を集中することで敵包囲網に穴をあける。」


 その声は少し震えていたが、彼女は冷静に判断を下す。例え精神が不安定になろうともその安定した指示を出せるのが、彼女が生まれつき持っている強みでもあった。


 各機からその指示について返事があったのちにユリアは目の前の部隊を睨む。敵部隊の動きは確かに一般の連合国の部隊に比べると練度が高いものではあったが、それでも機体性能の差をひっくり返せるほどのものではなかった。


「やっぱりあの新型機が一番の敵だったのか。」


 そう思うのと同時に包囲網は崩されて、ユリアと親衛隊は全滅の危機を免れていた。



「これで!」


 一人だけ連合国の要塞に残っていたエミリアは最後の爆弾を仕掛けると外に出る。既に外ではエイノールの部隊と親衛隊各機が戦っていた。

 ただその中にはアルベルトの機体は既になかった。一瞬撃墜されたのかと心配になりレーダーを確認すると既に連邦の持ち場に戻っていた。


「全機、設置した爆薬を起爆しろ。」


 エミリアはそう告げると、彼女が設置した爆薬も起爆した。

 連合国の巨大要塞各部から黒煙が上がる。その巨体を支えていたムカデの様な多脚があちこち折れ始め、ゆっくり胴体のような箇所が地面に落ちていく。

 そして最後の爆弾がエネルギーコアがある部分に着火したのか大きな爆炎を上げて燃え始めた。


「少しやりすぎたか。」


 地上部隊突入までに鎮火しているがいいがと思いながら、エミリアは連合国のキャスターの掃討作戦を開始する。


『大佐。どのようにして叩きますか?』

「キャスター部隊は連邦で抑えてくれていそうだから、予定通り市街地近辺の基地を叩く。各機は目標の場所へ攻撃を始めろ。」


 アルバートの最後の確認にエミリアは当初の予定通りだという返事をする。

 機体を移動させて目標のキャスターの格納庫へ向かう。

 今までの連合国の動きから、強力な迎撃兵器が出てくるという前提で接近には注意を払う。


 ターゲットとなる格納庫を視認すると周囲の状況を確認する。そして格納庫に狙いを定めるとライフルを榴弾にして撃つ。本来であればミサイルで攻撃をしていきたいところだったが、巨大要塞相手に既に撃ち切っていた。

 アルバートも同様でエミリアの機体と一緒にライフルで攻撃をしていた。

 もう既に迎撃する気力も無いのか格納庫からの反撃が無かった。

 そのことからエミリアは連合国の方はもう既に末期戦に近い状態だったのだろうと考える。そう考えているうちに格納庫の破壊は終わっていた。


「各隊、状況報告。」


 エミリアは他の部隊が苦労しているようなら援護に行こうかと思っていた。しかし報告は全てターゲットの破壊が完了したという報告のみだった。


「司令部、連合国のターゲットは全て破壊した。地上部隊の導入を。」


 エミリアは最後に地上制圧に特化したキャスター、サンダーが来るまで連合国に動きが無いか監視するため滞空する。


「これで連合国との戦争は終わりか。」


 そう呟くものの、実感は全くなかった。

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