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第二十五話 信用に足るか否か

『まずいな。』


 連合国の主力キャスターエイノールの大部隊と敵対していたユリアはアルベルトの一言に緊張感を張り巡らす。


「どうした? シュタイナー少尉。」

『いえ、帝国軍の状況があまり良くなさそうなので。このままでは他の作戦も想定通りいくか分からないですね。』


 それを聞いてユリアもレーダで確認をする。見ると帝国軍は予想に比べて押されていた。

 そのため詳細をより確認すると、巨大要塞へ取り付くことが出来ずに作戦可能な機体が減っていた。


『少尉、貴官は帝国の援護に向かえ。残りの作戦はこっちで行う。』


 ソフィアがアルベルトにそう指示を出す。


『ですが、それでこちらの陣形が崩れてしまえば司令に危険が及びます。』


 ユリアは白々しいことを言うと思う。そんな表面限りの心配など必要ないと。


「大丈夫だ。敵はこちらに対して主力部隊を割いていない。寧ろこのまま帝国の部隊が撃破されてこちらの部隊に包囲網を形成される方が不味い。」


 ユリアもソフィアの指示に賛同するように言葉を付け加える。どのみち気が散っているパイロットなど戦場では役に立たないしという一言は言わなかった。


『わかりました。』


 彼は機体の進路を変えると帝国の方に向かう。


「わざと行かせたでしょう。」

『当然です。あの要塞、破壊できなければ我々も撤退ルートを失います。それならば少し耐えるだけで確率を上げる方にしますよ。』


ユリアはこのとき自分の言葉に嫉妬心が隠れていることに気づかなかった。



 敵へ接近すればするほど激しくなる攻撃をエミリアは余裕の無い表情でかわしていた。本来であれば安全な距離から巨大兵器の火器類を破壊したかった。

 しかし予想はしていたものの、その想定を上回る防空網がそれを許すことはない。そのため刻一刻とエミリアたちは追い詰められていた。

 一機、また一機と味方機が戦闘不能になっていくのを見ながらもエミリアは必死になって巨大兵器にとりつこうとする。そうしなければこの敵は倒せないと。


 そんな勝率があまり高くない作戦でも親衛隊の機体がついてくるのは彼女のカリスマ力だった。


 しかしだからと言ってこのまま行っても勝ち目があるわけでもなかった。そのためなにかよさそうな場所は無いかと敵の動きを確認する。


「ここだ!」


 対空砲が破壊されたことによって一か所だけ防御が薄くなっている箇所があった。

 そこに機体を急速度で近づける。

 そのときコクピットでなり続けていたアラームが更にけたたましくなる。巨大兵器から撃たれた実弾が直撃コースだったのでエミリアはすぐさまシールドで防ぐ。

 だが間髪入れずに発射された次弾が目の前に迫っており、更に要塞に搭載された高出力プラズマライフルがエミリアのアレースをロックオンした。


「しまっ……。」


 シールドで弾丸を受け止めたせいで生まれた硬直によって片方を回避してももう片方が回避できないそんな状況に追い込まれてしまう。


 アルバートのアレースもそれに気づきすぐに動こうとするも巨大兵器の他の砲塔で阻止されてしまう。


 間に合わない、そうアルバートが思った時である。


 一機、いや二機の機体がその間に割って入った。

 一機の機体が投げ込んだ機体は巨大兵器の弾丸に当たり粉砕する。同時にコーティングを施されたシールドがプラズマを弾くときに生じる独特な音が辺り一面に響いた。


 その音にエミリアが顔を上げる。


 それがウルが自分を守っているということに気づくのに半秒近くかかってしまう。しかしすぐに我を取り戻すとアレースをウルの後ろから移動させる。

 アルベルトの乗るウルもそれを確認すると被弾しないように注意しながら下に移動する。


「助かりました。」


 帝国、連邦共に通信の周波数は合わせているのでエミリアはすぐにそう礼を言う。


『これからあれをどうするんですか?』


 一方でアルベルトは一言、エミリアに質問した。それに対し攻撃ルートを提示するか一瞬迷う。

 実際このルートについては機密情報の観点から連邦側にはおろか帝国内でも知っている人間はごく少数しかいないのだ。

 それを言ってしまっていいものかと彼女は判断に迷ってしまう。

 その間にアルベルトは攻撃を行い、注意を引き付けながら要塞に接近をする。


 それが時間稼ぎだと気づいたエミリアは彼を信じることにした。


「今データを送りました。そのルートで行きます。」

『分かりました。援護します。』


 アルベルトはそういうとウルの機体を更に加速させる。そしてプラズマライフルで要塞に搭載されている迎撃兵器を丁寧に一つずつ破壊していく。

 その戦い方は今まで貯めていた鬱憤を晴らすような戦い方であるのと同時に敵の注目をより集めるものであった。

 そんな彼を見てふとこの戦いで死ぬ気なんじゃないかと思うがそれを敢えて口に出すことはしなかった。


「デグレア少佐。今のうちに私たちは要塞内部に突入するわよ。」

『了解しました。』


 エミリアはアルベルトが無事に戻れるといいがと思いながら要塞にとりつくと内部に侵入した。

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