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第十九話 各国のシステム

「なにやってるの? アルバート。」


 コンゴウの格納庫でアルバートは愛機であるアレースを見上げているとエミリアから話しかけられる。


「前の作戦のときに連合国の兵士が言ってたことが気になって。」

「言ってたこと?」

「魔術師は使い捨ての消耗品でしかないと。」

「まぁ、それはそうね。」

「お前たちはそんな劣悪な環境にいないから私達の気持ちが分からないとかも言っていましたね。」

「所詮は敵の戯言よ。」


 彼女の声音は突き放したものだった。


「それに帝国も連邦も連合国もそれは同じ。どこでもパイロットは使い潰されるものよ。」

「ですが、そんな風習変えるべきなのでは?」

「そうね。だけどどんな手を使ってもそこは簡単には変わらない。所詮は言葉遊びになるだけよ。」

「そうですが……。」

「ただ、いつまでもこのままじゃいけないのも事実よ。魔術師と非魔術師が互いに助け合っていく世界にしていかなきゃ、人類もこれ以上発展しないでしょうし。」


 彼女はアルバートの頭を優しくポンポンと叩く。


「小難しい話はここでおしまい。さ、行きましょう。」


 アルバートはエミリアの言葉に頷くとアレースに乗り込んだ。それから出撃までの時間はエミリアの言葉を考えるいい時間になった。



 アルベルトが立てていた作戦は、皆の思惑を裏切り、予定通り進んでいた。そして連合軍の超高性能機ギデオン九機で構成している中隊を相手にアルベルト達は徐々に包囲網を完成させ有利な状況にしていた。


「後もう少し行けば!」


 ソフィアはアルベルトの指示に従いながら、小隊の包囲網を強くしていく。九機のギデオンを相手に連邦は以前に比べ、まともな戦いをしていた。


『アルファ隊各機は右側に展開している一気に重点的に攻撃を集中させてください。ブラボー隊は中央の機体を、チャーリー隊は左側の機体を!』


 アルベルトは的確な指示を出しながら、高機動力を誇るギデオンの進路を限定し、より攻撃しやすい環境を構成していた。

 その様子にソフィアは心配することなく、自分の仕事を果たす。自分たちが敵対しているギデオンは既に瀕死状態であり、ほぼ撃墜したも同然の状態であった。


「ユリオン中佐、リャーエフ少佐。三方十字砲火であの一機を撃墜させる。」

『『了解!』』


 その瞬間機体のフォーメーションを取り、敵に逃げ場がないように、三方向から同時にウルに搭載されていたライフルを撃つ。

 その内の一発がギデオンのメインブースターに直撃し、機動力が下がったのをソフィアは確認すると即座にプラズマサーベルを引き抜く。

 そのまま機体の速度を一気に最高速にし、薄くなった装甲を狙う。


 プラズマサーベルによる攻撃なので大きな音はしなかった。

 しかし、その数舜後に機体が温度上昇に耐えられず爆発する音が辺り一面に鳴り響く。


「よし。これで一機。」


 このままいけば残り八機もそこまで大きな被害を出すことなく撃破できると考えた時だった。


『シュタイナー少尉。』


 後方で作戦指揮を執っているバザロフからの通信が入る。

 直感的に嫌な予感がしたソフィアはそれがなんなのか傾聴する。


『これよりバーベラ大佐とシュタイナー少尉には主力部隊に合流してもらう。またこの戦域の指揮は私が執る。』


 バザロフからの言葉にソフィアは一度目を見開く。


『待ってください! ここまで完成した包囲網を今崩すのは!』

『シュタイナー少尉。これは命令だ。ここでこの部隊を抑えなければ我々は敗けることになるのだ。』

『ですが、今ここで指揮権を引き継ぐなど!』


 そうだ。こんなの無茶苦茶なことであるとソフィアは思う。


『シュタイナー少尉! これは命令だ! リャーエフ少佐はそのまま敵機を抑えろ。』

『えぇ!』


 イオクの素っ頓狂な驚きの声が響き渡る。

 同時にバザロフは包囲網を形成していた部隊に指示を出していく。そうして崩れた包囲網から天使シリーズの部隊が猛攻を仕掛ける。そのうちの一機をアルベルトは正面から対処する。

 ソフィアは一瞬どうするか考えてからダースとイオクに言葉を告げる。


「少尉の方に関しては私が援護する。」

『分かりました。』


 ダースからの返答に彼女は頷くとアルベルトの援護を始めた。



「うわ、なにこれ。滅茶苦茶じゃない。連邦の司令部はなにしてるの?」


 目標であった敵キャスター部隊の陽動を終えたエミリアは連合国へ侵攻するために前進した。その結果

 連邦軍と連合国の部隊は乱戦になっていた。


『しかもまた旧型のデュラハン一機でギデオンと戦わされていますね……。』


 アルバートはギデオンと一騎打ちで戦っているアルベルトに同情の声を漏らす。


「まぁ武装はある程度更新されている物を使っているようだしまだ敵対は出来るとは思うけど。」


 それでも機体の性能差が違いすぎるだろうと思う。それに加えて味方に当たっても構わないとばかりに背後から援護射撃と呼べるか分からないものをしているウルの中隊もどうなのかと思う。


「あんな作戦指揮を執っている士官では流石に現場がかわいそうね。」


 エミリアも同じく同情の声を漏らしてしまう。


『どうしますか?』


 エマソンからの問いかけにエミリアは戦況を確認するとその方針を考える。


「ここでこの部隊が突進して来ても厄介か。」


 ならば取る方針は一つだけかと考える。

 その答えさえ出れば後にやることは単純なことだった。


「全機、敵新型機部隊への攻撃を行う。」

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