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第七話 それぞれの思惑(3)

「いやぁ、シュタイナー准尉も中々面白いミスをするねぇ!」


 アルベルトは格納庫内で隣で大笑いしている女性にしか見えない男性、イオク・リャーエフを睨む。


「仕方ないじゃないですか。まさか機体に苛ついて蹴ったところにピンポイントで無線通信モジュール入っているなんて……。だからって整備長もあんなに怒らなくたって……。」


 一時間程度疲れた体で説教を受けていたアルベルトはそう愚痴をこぼす。


「まぁあの人はあの機体に思い入れがあるから。ただあちこちにセンサーとかアンテナが散らばっているから素人がぱっと見た限りじゃ判断は難しいかもね。」

「イオク、あまり後輩をからかうのは感心しませんよ。」


 そこに金髪をショートカットにした女性、ルーシー・メーチェが現れた。その言葉は聞く限りそこまで怖いものではなかったが、その数秒後にイオクがルーシーにアイアンクローをされて悲鳴を上げていた。

 アルベルトは相も変わらず怖いなと思いながらも恐らくルーシーと一緒にもう一人来ているであろう人物を探す。


「どうしたの、そんなに周囲を見て。」


 その言葉が聞こえると彼はすぐにその方向を向く。

 そこにはピンク色の長髪をツーサイドアップにまとめた二十代の女性、エニシエト連邦で七人いる辺境伯の一人、ユリア・ベッソノワがいた。そのため彼がすぐに礼をすると彼女もすぐに返礼をする。


「後で報告書は確認するけどその前に一応なにがあったのか簡潔に報告をしなさい。」

「式典会場に向かう際に奪取された新型機と遭遇、そして乗機を破壊されました。」

「それは聞いているわ。」


 端的に答えたらそう返されてしまった。


「そうですね。そのときに帝国軍からの支援を受けました。」

「それも聞いているわ。」


 ユリアがなにを聞きたいのかアルベルトにはピンとこなかった。というか彼女の問いかけ時の圧がいつもより強いと感じる。


「後は……。そうですね。帝国のパイロットと話しました。」

「そう。どうだった?」


 これが聞きたかったことかと思う一方でまた厄介なのがユリアの耳に入ったなと思う。


「どうだったと言われても。殺されかけたので殺意が湧いたくらいですね。」


 本当にそれくらいしかわからなかったなとアルベルトは思う。しかしその答えでユリアは自分が知りたいことを彼は知らないと判断をした。


「そう。じゃあいいわ。因みに相手のパイロットは誰か分かる?」

「アルバート・デグレア少佐ですね。」

「よりにもよってアルバート・デグレアか。」


 ユリアはまた嫌なことばかり起こると言った感じで小さく独り言を言う。


「それに関しては後で考えよう。それよりも怪我とかは大丈夫なの?」

「はい。先程大佐にも見てもらいましたし。」

「頭とかも大丈夫そう?」

「はい。なんともありません。頭のネジが外れていないかとかそういう意味では無いですよね?」


 アルベルトの問いかけにユリアは不満気な顔をする。


「別に無事ならいいわ。あなたも大切なパイロットの一人なのだから身体は大事にしなさい。」

「お気遣いいただきありがとうございます。」

「機体が落下したのだから一応検査だけは受けておきなさい。この状況を受けて私たちもすぐにアクタール基地に戻る必要が生じたから、検査はジェルジンスキーの中で受けるといいわ。その辺の書類に関しては後で渡すから。」


 ユリアの言葉にアルベルトは一度だけ頷くと戻ろうとする。デュラハンの通信モジュールを破壊したことがバレないようにと祈りながら。


「それとシュタイナー准尉、あなたが蹴って壊したところの報告書を書いておいてね。」


 その言葉に歩みを止めるとため息をついた。

 そして忌々しそうにイオクを見るが、未だにアイアンクローに苦しんでいる彼はその視線に気づくことは無かった。



 帝国から奪った三機のキャスターはイルキア基地から離れた海洋で潜水艦に収納されていた。


『帝国や連邦の要人たちを殺せなかったのは大変残念なことではあるが、よく帝国の新型3機を奪取することができたな。アドハム・ナセル、バハー・マンスール、ラウダ・クルスーム。これでお前たちも晴れて我々の仲間ということになる。』

「もったいなきお言葉です。」


 潜水艦のブリッジに通信で連合国の大司教からの言葉を聞いていた。


『流石我が連合国が育てた魔術師といったところか。もはや帝国や連邦など恐れる必要は無い。』

「はい。」


 それにリーダー格のアドナムが力強く答える。


『これだけの戦力が整えば帝国も連邦も黙らせることが出来る。私は君たちに対して期待しているのだよ。前の戦争で単独で大多数の敵を屠ったアルバート・デグレアのように働いてくれることを。そのために連合国のリソースを最大限に投入した。』


 またこの話かとアドハムは思う。いつもいつも夢物語ばかりと思う。ただ彼自身も今の帝国や連邦が幅を利かせている状態も嫌ではあったのでもっと現実的な方法でできないかと模索はしていた。


『それがここまでうまくいった。我らの主神は今こそ世界を救うべき時だと。全ては神の意思のままに。』

「神の意志のままに!」

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