第十一話 精鋭部隊
投稿時間が遅れました。すみません!
「本日より親衛隊に配属となりました、アイン・ダール少尉です。」
アクタール基地にてアインはバラノフ家の親衛隊に配属されたアインは敬礼をして自己紹介を行う。
「まぁ自己紹介したところで貴官があまりよく知らないのはベッソノワ少佐くらいだろう。」
「はい。そうなります。またベロワ大佐と一緒に作戦を行うことが出来てうれしいです。」
親衛隊隊長であるロマン・ベロワの言葉にアインはそう返す。
ロマン・ベロワはアインが潜入任務を行う前に彼にパイロットとしての基礎的な技術を教え込んでいた。アインとの年齢は十くらい離れている。そのためキャスターのパイロットの平均的な引退の年齢が三十歳前後であることを考えると、引退間際のベテランパイロットになる。
「それで分隊としてはアインは私と組んでもらう。ベッソノワ少佐とアース少尉は士官学校で同期だったこともあって息もよくあっているからな。」
「承知しました。」
「それじゃあ後は機体の受け取りだな。知っての通り、親衛隊ではパイロット一人につき、専用機を一機与えられる。これについては、アース少尉のがいいか。案内してやってくれ。」
ロマンはアズリトからの視線を感じるとそう彼女に指示を出した。
「はい。」
アズリトはそういうとアインを引っ張って格納庫に向かった。
*
「まだ生きているとは思ったよりしぶといな。」
オリバー・パトンからの報告を受けてオズワルド・アークウィンは少しばかり苛立たしげに言う。
「はい。思ったより反射もよかったです。それに今回の件でもう不意打ちは無理かと。」
「だろうな。流石アレニスの息子といったところか。」
二人してため息をつく。
「それに今回の件でブライムからも意見書が来ている。流石にやり過ぎだな。」
「それについては反省しています。」
パトンがそう謝罪の言葉を述べるがオズワルドはそれを目を動かすだけで見る。
「反省の言葉はいらん。私が求めているのは結果のみだ。貴官は隠ぺいが上手いというのは私も認めているところだ。この意味は分かっているな。」
これは次の失敗は許されないということであるとオリバーは理解していた。
「ですが、ゼウスでは恐らく……。」
「ということは新型が欲しいということか。分かったいいだろう。新型機に関しては手に入り次第やるといい。それまでは極力貴様とエイブラウ隊が同じ作戦をするように調整する。次こそは確実に殺せるようにデータを集めておけ。」
「分かりました。ところであの件に関しては?」
「当然、準備をしてある。あの件が終わればブライムにももう用はない。後はバラノフと協力するだけだ。」
そう言ってオズワルドは口角を上げた。
*
ブライムから呼び出しを受けたアルバートが部屋から出るとエミリアが緊張した面持ちで立っていた。
「エミリアか。どうした?」
だがアルバートが普通に接してくるのでエミリアは拍子抜けしたように緊張が無くなった。
「いや、とくになにかあるわけじゃないんだけど。」
エミリアが話しにくそうにしているのを見て、アルバートはさっきのことを思い出す。
「そうか。さっきは悪かったな。」
アルバートはそう少しばかり顔を背けて恥ずかしそうに謝る。
それを一瞥してブライムの部屋に向かおうとするとその後ろをエミリアが付いてくる。
「なぜついてくる……?」
「何か問題でもあるの?」
エミリアは自分でもちょろいと思ってしまうがそれでもその嬉しさを隠すことができなかった。
だがアルバートとしては他に誰も連れてくるなと言われていたので大きくため息をつく。
「隊長から呼び出しがあったんだよ。」
そういうと心配するかのように顔を覗き込ませてくる。
「またなにかやったの?」
「いや、特に何もやってないはずだが?」
アルバートも胃が痛いと思いながらも部屋に向かっていたのでエミリアのその発言に一瞬足が止まる。
「何か心当たりがあるのね。」
その言葉に完全に足が止まる。
「だからこそ思うんだ。むしろ逆に何もやってないからそれで怒られるんじゃないかと。」
その歩みは既に止まっていた。
「一緒に行ってあげようか?」
その言葉に一瞬うなづきかけるが誰も呼ぶなと言われていたのを思い出す。
「いや、一人でいけるさ。」
「流石に部屋の中まではいかないわよ。部屋の前まで。それに場所分かるの?」
「わからない……。」
そういえば緊張のあまり部屋の場所を聞くの忘れていたな思う。
アルバートがそういうとエミリアは優しく微笑みかけるとアルバートのてをとる。
「行きましょうか。」
そのまま手を引っ張られるのでアルバートはおとなしく従う。
*
「それで部屋の前まで連れてきてもらったというわけか……。」
目の前のデスクにいるブライムは軽くため息をつく。
「はい、そういうことになります。」
謝るような口調で言うがそれでは納得しなかったようだ。
「准尉、基地内であまりそういうことは……。」
「いえ、自分もそれは分かっているのですが、相手が相手じゃないですか……。」
「いや、まぁ、確かにそうだが。准尉が強く言えばなんとかなりそうなものだと思うんだが。」
「なんとかるのならあんなにべたべたしてくるわけないと思うのですが……。」
アルバートはブライムに出されたコーヒーを飲みながらため息をつく。まぁブライムもなんとなくエミリアの性格が分かってきたのでそれ以上追及することはしなかった。
「そうか。それで准尉、悪いが今回の作戦でもパトン中佐と行動することになった。」
アルバートは特に驚くことも無く無言を貫く。
「分かっていたという顔だな。」
「呼び出された理由の一つとして考えていましたので。」
そう当然のことのようにいうアルバートにブライムは素直に感心した。
「戦場では何個か考えを持っておくことは大事だ。常に考えるようにしておくといい。」
「肝に銘じておきます。それでお話というのは?」
「分かっている通り恐らく中佐は再び何か仕掛けてくるだろう。」
ここでブライムは一度ため息をつく。
「それでだ、今回の作戦中佐の敵味方識別信号を変更する。味方からも攻撃できるように。これに関しては上からも許可を取り付けてある。これでどうだろうか。」
「その辺が落としどころといったところですか。」
アルバートは内心違うだろうなと思いながらそう形式だけでの質問をする。
「そうだ。」
「分かりました。ですがもしそれでも攻撃してきた場合は。」
「そうだ。俺が撃墜する。上官の殺害は極刑だからな。」
ブライムが釘をさすのでアルバートもそれにうなづく。
「ならいい。話はこれだけだ。」
「分かりました。では自分はこれで失礼します。」
ブライムは話が終わったとばかりに立ち上がるのでアルバートも部屋から立ち去る。
「なんの話だったの?」
エミリアが部屋の前で待っていたのでアルバートが優しく微笑む。
「それは言えないな。」
「そう。」
けどその後ろをついていくエミリアの足取りはいつもより軽やかなものだった。
*
「私たちもマリノアス基地に向かうことになったらしい。」
アインが機体の受領をし、すぐに使えるようにアズリトとコックピットで準備をしているときにユリアが二人の元に来るなりそう発言をした。
「今からですか?」
アインがそれで察したように尋ねる。
「あぁ、そうだ。後二時間後に我々はマリノアス基地に向かうことになる。移動するのは我々とイザリア中隊だそうだ。」
「イザリア中隊ですか。」
ユリアがそれに感心したような声を出す。
「向こうの方もそれなりの戦力の移動が確認されたからな。こちらもそこそこの戦力を出さなければいけないしな。」
「ですがイザリア中隊といえば比較的最近になって名前を上げだしたところですよね。」
アズリトが補足する。
「そんなに有名なのですか?」
聞きなれない部隊名なのでアインは思わず質問をする。
「そうか。少尉は暫くいなかったから知らないのも無理はないか。まぁ中隊一個で帝国の一個大隊を撃破した。しかも損害0でな。0対36のスコアで完勝したりした部隊だ。しかも敵の部隊は第八大隊だ。」
第八大隊というのはアインも帝国で上の方に位置する精鋭部隊をのぞいたら最強の大隊だというのは聞いていた。
なのでアインはそれを聞いて感心するが、一つ疑問が生じた。
「ですがなんで今回はそこに我々も加わるんですか? 私に至ってはまだ機体の調整が終わってもいないのですが。」
「あぁ。それなんだが先程のアーレイ基地についてだが次期主力量産機を配備した中隊が二機ほどやられたらしい。だから警戒して私たちも向かうことになった。」
「そこまで警戒することなのですか?」
「どうにも上の方がうるさくいらしい。ベロワ大佐も散々ぼやいていたよ。ただあの人強い人と戦うのが好きだからまんざらな顔でもなかったが。」
「だけどアインの機体の調整終わるか分からないわよ?」
アズリトがユリアにそう反論をする。
「一応連れていくだけだと。隊長もアインにはそこまで求めていないみたいだったが……。」
「あの隊長のことだからどうせアインも駆り出すに決まっているわよ。分かったわ。とりあえず今の状態でも戦闘することは可能だから、もう少し詰めておくわ。」
「あぁ。その方がいい。まぁその新型機はアズリトの機体と兄弟機だからしっかりとアース少尉に整備してもらうといい、ダール少尉。」
ユリアはそれだけ言うと離れる。
「戦闘ですか。」
そう呟くアインの顔は少し曇っていた。
第十二話は24時ごろに投稿します。




