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第七十話 アルバート・デグレア捕獲作戦(2)

「デグレア少尉の捕獲作戦、本当にやるんですね。」


 エミリアの部屋でエマソン・エチュートは少し感慨深い顔で言う。


「当然よ。なにか問題でも?」


 頷くエミリアの顔色は、根を詰めすぎたせいであまりよくなかった。それでもその眼光は他の意見を認めないと言う形だった。


「いえ異論は全くありません。」


 その言葉は彼女の本心であった。エマソン自身、かつてのアルベルトがどれだけ苦労したいたかはエミリア以上に分かっている自負もあった。


 エミリアの隣に立ちたい、彼女の役に立ちたい、その考えだけは誰よりも分かっていた。だから今回のこともなにかエミリアのために理由があるのだろうと推測することも容易であった。


 だからこそ彼を楽にしてあげたい、彼女もそう思ってしまう。せめて報われて欲しいと。

 その想いがあったから反対する理由は一ミリたりとも無かった。


「ただ少佐の気持ちも少しは理解してあげてくださいね。 」


 しかし一応釘をさしておく。もし仮にアルベルトを確保してもアルバートとの関係もある。そこをどうするべきなのか、それが一番の問題であると彼女は思っていた。

 エミリアであれば確実にアルベルトを捕まえる、それだけの執念がある。それなら心配すべきことはその後のことだろうと彼女は思っていた。


「それも分かってはいるわ。ただ穏便に済ますことは難しいでしょうね。」


 しかしエミリアの答えもまた彼女自身その先がどうなるか分からないといった様子であった。ただそれが皮算用にならない様にアルベルト捕縛のために出来る手を全て打てるように入念な準備を行い続けた。



「やはり攻撃を仕掛けてきたか。ただベッソノワに加えてアガニコフも攻撃を仕掛けてきたのは想定外だが問題は無いだろう。」


 思ったよりも敵の攻撃網が厚いなと思いながらもダン・ヘンリーは防衛部隊を展開していく。


「それとアルベルト・シュタイナーは見つかったか?」

「はい。エリア21の方に展開をしていきそうです。」

「ならばそこにアークウィン大佐の部隊を送れ。後の部隊はこちらで対応するとしょう。」


 そのまま敵部隊の展開をヘンリーは確認を行う。アリード・アガニコフがイレスコ基地を占有しようとする気はないことも知ってはいた。それでもユリアとアルベルトがいる以上何が起こるか分からない、その予感もまたあった。


「このままうまく捕まえてくれるといいが。」


 もしそれが失敗したらどうなるのか、それが彼にとっては一番怖いところではあった。



「思ったより反応速度がよくないか。」


 急遽アリード・アガニコフが配備した悪魔シリーズの一機イポスに乗っていたアルベルトはそう不満を口に出す。


 イポスという機体はこの段階で既に二機あった。一機は今彼が乗っている機体であり、もう一機は極秘開発されている機体だった。

 本来であればそのもう一機に乗って今彼が乗っている機体は即座に廃棄する予定であった。しかしアガニコフからの指示によって今乗らざるを得なかった。


 そのため急遽機体の調整を行って乗っていた。


 それでも十分に調整はしており、今のイポスで出すことが可能な最高の性能で戦闘をしていた。


「やっぱり敵基地への攻撃は苦手だな。」


 アルベルトは目の前に次々と現れるクロノスへの攻撃をする。ただその進軍スピードはいつもより遅かった。


 さてどうしたものかと考えているとアラーム音がコックピットに鳴り響く。


「こんなときにエミリアか。」


 正面から向かってくる三機の機体にライフルを向ける。


「メーチェ少佐。」

『どうしましたか?』


 アルベルトはルーシーに通信をつなげた。


「すみませんが、部隊の指揮をお任せしてもいいですか?」

『分かりました。』


 ルーシーに任せれば部隊の方はとりあえず安心だと思う。


『隊長。』


 ただナタリヤから通信が来た。その声が少し不安そうなものであった。それは彼を心配してのものだが、アルベルトはナタリヤがルーシーと一緒に戦うのが不安なのだろうと感じ取った。


「後は任せたぞ、エルミート少尉。」


 だから彼は一言彼女にそう告げた。その時ルーシーがため息を吐いたのが聞こえる。ただ彼としては目の前のエミリア達に意識が向かっていたため、それについて考えることは無かった。


『隊長も気を付けてください。』


 ナタリヤの言葉を最後に通信を切ると目の前に集中する。彼が今この場で行うべきなのはエミリア達をいかに引き付けるかであった。



「今度こそ。」


 アルバート・デグレアはエミリアから聞いた作戦に対して反対をしなかった。それは彼なりにエミリアの気持ちを考えた結果であった。


 彼もまたエミリアがアルベルトにかける思いは分かっていた。それに今エミリアが彼自身に対して親身なのはアルベルトがいたからというのも分かっていた。

 そのためには今回はエミリアの作戦の足を引っ張ることのないように戦う必要があった。


『全機攻撃開始!』


 エミリアからの指示に合わせてアルベルトはアレースのライフルで目の前にいる深紅の機体へ攻撃を始める。

 絶対に失敗させる訳にはいかないと、いつもより慎重に攻撃を始めた。

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