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prologue

初めましての方が多いと思います。MSです。今回書く小説は五年前に投降した小説の続編となっています。ただ五年前の小説とは一部設定などを変えたところもありますので、その辺は以前の小説を読んでいただかなくともわかるような内容に書いていくつもりです。

内容的には前半はシリアスな場面が続きますが、ぜひご愛読いただけたらなと思います。

「アイン!」

『アルバートォ!』


 全長二十メートルを超える二機の巨大な人型ロボット――キャスター――はパイロットである二人の少年の心を表すかの如く、漆黒の宇宙で白く眩い光を放つ。


『アルバート! 貴様が! 貴様があの人を殺した!』


 まだ二十にも達していない少年、アイン・ダールは憧れてた人を殺された悲しみからそう叫ぶ。その声は悲痛と怒り、その二つが相混ざった悲鳴だった。


「戦争に巻き込んだ人間が偉そうに!」


 しかし、同じく二十に達していない少年、アルバート・デグレアはかつての学校の親友であり敵国のスパイであったアインにそう叫び返した。


 二機は磁界により粒子をコントロールしている青く光輝くピアスのような形をした武器、プラズマサーベルでつばぜり合いをしては離れてを繰り返す。


「貴様を、あのとき殺していれば!」


 アインは初めての実戦でアルバートと戦ったときのことを思い出す。

二人がかつて通っていた学校でアインは新型機を奪い、アルバートと彼の彼女である二人を殺す寸前まで追い込んでいた。しかし二人を殺すことは出来なかった。

スパイとして潜入していた敵国の幼年学校で出来た数少ない仲の良い友人であったためだった。 そのときの迷いが全ての元凶だった。

そして殺せるときに殺さなかったから取り戻しのつかないことになった。パイロットとしての能力を覚醒させ、強くなったアルバートに勝てなくなってしまった。その結果アインが好きだった女性はアルバートに殺された。アインを守る代わりとして。


「お前さえいなければ!」


一方でアルバートもまたこれまでやってきたことを思い出す。アインによる新型機強奪に巻き込まれてから常に戦争の中心を渡り歩いてきた。心なんて何度も折れそうになったし、死にかけたことなんて数えきれないほど経験した。それでもここまでやってこれたのは好きな人を守るためだった。彼女の隣にいるためだった。だからここで負けるわけには、死ぬわけにはいかなかった。今度こそ戦争を終わらせて、あの日の、平穏な日常を取り戻したいと心の底から思っていた。

 アルバートは傍から見ても冷静さを欠いているアインの機体を、機体性能の差を感じさせないくらいに対処していた。しかし彼とて冷静でいられるかというとそういうわけでもなかった。


 アインの乗る機体との性能差を抑えるために必死に戦っていた彼の方も集中力が限界であった。もし、後少しでも長引けば負ける、そういった予感すらあった。

その余裕の無さが、一瞬だけ機体の動きに影響する。

 アインはその隙を逃さず攻撃をする。

 しかしチャンスだと構えた彼の機体の動きは大振りであった。

 それを見てアルバートはその隙を突こうとした。


「「俺はお前に!」」


 その言葉とともに宇宙空間で二機が激突し火花が散る。

 次の瞬間二機には光の剣が深々と突き刺さっていた。

 各種制御系統を破壊され、姿勢制御システムも移動手段も失った二機はそのままぴったりと機体をくっつけた。

 二機の機体の頭部にあるツインアイの光は点滅しながらもゆっくりと消えていく。

 そして両機に搭載されていたバッテリーパックが大きな爆発を起こした。



 ガゴン。

 アルバートは機体が大きく振動する音で目を開ける。


「ここは……。」


 目を開けると真っ暗な空間にまだ辛うじて生きているコンソール類だけが小さく、そして白く光っていた。そしてその灯りだけを頼りに周囲を確認する。

コックピット内で周囲を映すモニターは全て割れていて外の状況が分からない。レーダーも壊れていて、機体の外ではどのようなことが起きているのかなにひとつ分からなかった。


「俺は……、一体なにを……。」


 先程までなにをしようとしていたか思い出そうとするが、なにも思い出せなかった。


「エミ……リア……。」


 呟く名前が誰の名前か分からないままアルバートは再び襲ってきた眠気に耐えられず再び目を閉じた。



 戦歴2236年、二機のキャスターが戦っていた戦場、宇宙要塞ロンギヌス近辺での戦いをもってエニシエト連邦とドミニア帝国、そうよばれる二つの大国が繰り広げていた一年を超える長い戦争は終結した。世界の覇権を狙っていた二つの国は、長期間における戦闘によって経済活動が停滞するとこを嫌い、お互いに争う合うことを辞め、協調する路線を取った。


 この戦争によって以前の戦争から大きく変わった概念がある。それが今まで大した戦力として見られていなかった魔術師専用の兵器、キャスターの兵器としての有用性はほかの兵器とは比較にもならないくらいに高くなり戦場の華形となった。一方でそのパイロットとなり得る魔術師の数だけは戦争によって減少してしまい、両国共にその確保に躍起になっていた。

 だからこそこの戦争に参加していなかった他の国々は今こそ大国を崩すチャンスだと、世界の覇権を取ろうとその機会を伺った。

 その結果世界を大きく変える戦争の幕開けとなるとは知らずに。

今後の投稿予定ですが、2023/1/3までは毎日投稿いたします。その後は週に二回ほど投稿を行う予定です。投稿する日は金曜日と土曜日の夜にしようかなと考えています。

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