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『裏切者のLOST‐No.(ロスト・ナンバーズ)』 ~ナタリア・ヴィントレスは、今日も逃げ出したい~  作者: てばさきつよし
Chapter 15:~ Good luck , Your life with Happiness (さようなら、友よ)~
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♯7.My Knuckie(私の拳は鉛弾でできている)


「ふにゃーーーっ!?」


 気の抜けた猫みたいな悲鳴を上げて、私は逃げ続けている。


 上空から落ちてくるのは、石材の塊や、木片の雨。

 一瞬でも足を止めてしまったら、あっという間にデッドエンド間違いなし! 私はヴァイオリンケースを抱きかかえたまま、背後にいる存在に悪態をつく。


「ちょっ、ちょっと待ちなさいって! 知ったかぶりをしたのは悪かったって。だから、そんなに怒んないでよ!」


「いいえ、許しません。別に、人間がどう生きようが興味ありませんが、この私を馬鹿にしたことは絶対に許せません」


「馬鹿にしてないでしょ! ただ、画家や絵画について詳しいんだなって―」


「ほう、それで? 私のことを、美術館でウンチクを垂れる面倒な男だと、そう思いはしませんでしたか?」


「……まぁ、ちょっとは」


 正直な自分が恨めしい。

 あはは、と笑いながら頭をかきながら笑う。そんな私に、悪魔卿ロードのエドガー・ブラッド卿は、頬を痙攣させながら口を開く。


「……やっぱり、ブチ殺しましょう。殺され方は圧殺と撲殺、どちらがいいですか?」


「どっちもお断りです!」


 私は半壊になっている美術館の中に滑り込み、両脚を踏ん張って姿勢を反転。

 その勢いのまま、ヴァイオリンケースのロックを解除。中に隠していた銃を取り出すと、迷うことなく悪魔卿を名乗る男に銃口を向けた。


「最後に確認なんだけど、あんたは悪魔なのよね?」


「えぇ、もちろんです。他に何に見えますか?」


「それにしては、随分と流暢に話すのね。私の次くらいには頭が良いんじゃない?」


「お褒めに預かって光栄です。まぁ、偉大な画家の一人も知らないクソ小娘ガキには、私のような高尚な存在は目障りでしょうね」


「あぁん? 誰が頭の悪いクソガキだって? 舐めてるんじゃねーよ」


「では、この美術館に飾られている巨匠ドラクロワの絵画。その代表作といえば?」


「……」


 私はそっと息を吐き。

 迷うことなく答えを言い放った。


「女は拳で語るもんなのよ! 死にさらせーっ」


 対話という平和的なコミュニケーションをこちらから断ち切って、鉛弾で答えてやる。

 狙撃スコープを覗き込み、しっかり肩と両手で支えながら引き金を絞る。別に、答えがわからなかったとか、そんなんじゃないんだから! 


 パシュパシュパシュッ!


 完全消音狙撃銃の『ヴィントレス』から放たれた対悪魔用の純銀弾が、悪魔卿へと放たれる。距離は、およそ150メートル。フルオート射撃での精度に不安がある『ヴィントレス』でも、まず外すことのない距離。通常の悪魔であれば、これで決着だ。


 ……がはは、勝ったな!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 残念姫自らフラグを建ていくw
[一言] ナタリアさん、自らフラグを建てる。
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