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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
997/1585

11-48 どちら様?


おにの守マホ、フラッシュバックでガクブル。泡を吹いてバタン。その一時間後。




「ハッ。」


クワッと見開き、ムクッと起き上がる。


「山守へ行かねば。」


フラフラと立ち上がり、山守社やまもりのやしろへ。






嘘だと言って。


「恐れながら申し上げます。山守神やまもりのかみ、良く御考えください。」


「ヒャイ。」


良山よいやまに手を出せば終わる、終わるのです。」


クワッ。


「ヒャイ。」


「これは脅しではアリマセン。」


ズズイ。


「ヒャイ。」


「・・・・・・山守社に祝、要りますか?」






山守の祝は皆、祝になるとオカシクなる。祝人はふりと祝女はふりめも継ぐ子も同じ。


山守神は『生贄いけにえも人柱も要らぬ』と幾度いくたびも、幾度も幾度もおおせなのに求める。強い力を持つ者を山守に、攫うように連れ帰らせるのだ。



山守には山守社と祝社はふりのやしろ、二つも社が在る。


山守社には国つ神で在らせられる山守神、使わしめシズエ。離れには社の司に禰宜ねぎ、祝、継ぐ子たちが暮らしている。


祝社には祝辺の守と、強い祝の力を生まれ持つ継ぐ子たちが暮らしている。霧雲山の統べる地のおさでもある人の守、死んでも力を失わない隠の守。






「山守の祝だったテイ、呪い祝となったテイが祝を狂わせる。祝人も祝女も祝になると狂うのだから、祝にしなければ良い。違いますか。」


マホにせまられ、ビクビク為さる山守神。


「その通りです。けれど祝が居ないと、困る、事が。」


山守神とマホの間に入ったシズエまで、タジタジ。


「祝人頭と祝女頭が居れば、祝が居なくても困りません。祝になれば狂うのですから、テイの呪いが解けるまで山守に祝を置かなければ良い。違いますか。」


マホ、更にググイ。






言っている事は正しい。


祝に就任すれば必ず呪われるのだから祝にせず、祝人頭と祝女頭が助け合いながら祝の務めを果たせば良いのだ。『祝』が居なくても困らない。


何てったって山守には祝辺の守がウジャウジャ、ではなくて大勢いる。



崖を登れなくても大丈夫。隠の守は隠だから、人には行けないトコロへも行ける。


山越烏を従える事は無い。けれど山守社の事は山越烏、祝社の事は平良ひらの烏と今まで通り務めてもらえば良いダケの事。






「山守神。良山には大蛇神おろちのかみめぐし子が居るので、手出ししてはイケマセン。」


「ヒャイ。」


「山守の祝は」


「待ていっ!」


山守神、使わしめシズエ、祝辺の守マホの前に現れたのは・・・・・・。どちら様?


「私が山守の祝だ。良山へ使いを出し、祝の力を持つ者を差し出させる。止めるな! 聞かぬわ。ワッハッハ。」






山守神、シズエ、マホが見合って、静かに溜息をいた。


遅かった。もう決まっちゃったよ、山守の祝。やる気だしちゃったよ、山守の祝。テイの呪いを受けちゃったよ、山守の祝。



高笑いしながら駆け出した祝は元、祝人頭。温厚で優秀なヨキはテイに心身を奪われ、別人のようになってしまった。


生命力の塊のような黒いカサカサより、いろいろ強いカモ。






「私たちには止められない。」


社の外で立ち尽くす、社の司と禰宜が呟いた。


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