表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
995/1586

11-46 良山に手を出してはならぬ


良山よいやま御坐おわす二柱。



大実神おおみのかみは豊かな実りをもたらす神で、人のときおにの世を繋ぐ道を取り仕切って御出でだ。



大蛇神おろちのかみは水神で、良村よいむらの人にまつられた事で国つ神に御戻り遊ばした。


めぐし子は確か、鴫山社しぎやまのやしろ祝女はふりめの孫。






「人の守よ、どう思う。」


「はい。霧雲山に来るという娘、良村に預けられたか救われた娘でしょう。大蛇神の愛し子ではアリマセン。」


「私もソウ思う。大蛇神なら愛し子を霧雲山では無く、和山なぎやまに御隠し遊ばすだろう。」






良村は『早稲わさ他所よその』人の生き残りが釜戸の祝に認められ、大実山おおみやまに新しく作った村。


大実山は良山と名を改め、手を入れた事で守りながら戦える山になった。いくさ好きな大国おおくにに攻め込まれてもビクともシナイ、そんな山に。



近づけないのは人だけでは無い。隠や妖怪も許し無く山に入ればスッと清められ、跡形もなく消えてしまうオッソロシイ山なのだ。


入るドコロか近づく気も無いが、祝辺はふりべの守でも同じコト。命も魂も幾つ有っても足りない。






「北山から救い出され、引き取られた子。」


宝玉社たかたまのやしろの継ぐ子も幾年いくとせか、良山で過ごしています。」


「心の声が聞こえる社の司のめい。水を操れるのは、祝の妹の娘だったか。」


「はい。二人とも玉置、宝玉社に戻ったと聞きました。」






玉置が落ち着くまで預けられていたミヨとタマは、茅野かやのから託されたタエと共に良村でイロイロ学び、楽しくノビノビ過ごして戻った。


良山はマルの力で守り清められているので、祝辺の守でものぞき見る事は出来ない。



ミヨとタマが玉置に戻ったと知ったのは、二人を乗せた舟が森川から鮎川に出て直ぐ。


タエが良山に入り、良村で暮らしている事。マルが隠の世と人の世を行き来したり、大実社おおみのやしろを通って他の社にうかがう事。どんな闇も指先一つでスッと清められる事など、知らない事だらけ。



北山から救い出された子の中に、鴫山社の祝女の孫が居た事。良村に引き取られ、力を増した事などナド。山守や祝辺が知れば間違い無く、力尽くで奪いに来るだろう。


とはいえマルは大蛇神の愛し子。神の愛し子に手を出せばドウなるか、嫌になるホド強く聞かされている。


だから気に病む事は無い、のだが・・・・・・。






「良山に強い祝の力を持つ者が生まれた。いや、他の地から逃げ込んだ。引き取られた、託されたか。」


「あの山には大実神と大蛇神、二柱の国つ神が御坐します。山を守っているのが大蛇神の愛し子なら『北山の生き残り』というコトも。」


「霧雲山に来る娘、大蛇神の愛し子では無いな。」


「はい。となると、他の生き残り。」






釜戸社かまどのやしろなら誰がドコに引き取られたのか、どのように暮らしているのか。どんな力を生まれ持ち、誰と共に居たのかナド、コチラが知りたい全てを知っている。


けれど、ソレが外に漏れる事は無い。聞いても教えてくれないし、探る事も出来ない。



他では暮らせない、暮らしにくい。そんな子は雲井社くもいのやしろに託され、乱雲山みだれぐもやまから出ないだろう。


釜戸の祝は釜戸神かまどのかみの、雲井の祝は雲井神くもいのかみの愛し子。力尽くでドウコウ出来ないし、許し無く近づけば消される。






「良山に手を出してはならぬ。他から来るなら、黙って見守ろう。」


「はい。けれど山守が、呪い祝がジッとしているとは思えません。」






動かなければ、止めなければ!



「マホさま?」


「山守の次の祝、いつ決まる。いや決まる前に消す。」


「エッ! お、お待ちください。」


「ええい、止めるな。離れろ・・・・・・重い。」


体の上にドサドサ乗っかられ、とっても苦しそう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ